ラバウルの鳥瞰
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ホテルを出て、ラバウルに向かった我々は、最初に測候所山に上がった。私たちが初めてラバウルを一望したのがここからである。
ここでは、気象や地震の観測をしているという。地震計は、日本軍が使用していたものを今でも使っているそうだ。
この設備は、それまでの観測記録と共に、日本軍からオーストラリア軍に引き継がれたという。通常は、壊して引き継がないものだが、この日本軍の真摯な姿勢に、オーストラリア軍は感動したそうである。
この測候所山から、初めて目にするラバウルは美しかった。
少なくとも美しいと感じた。
伯母山、妹山、花吹山、松島、中之島、西吹山など、日本軍が付けた日本名がこれまた美しい。
「ここに来ると心が安らぐ。」との声も聞こえた。戦死した父を慕う慰霊の心情であろう。
この美しいラバウルは、かっては戦火に汚され、近年は噴火にさいなまれている。
ここから見るラバウルの鳥瞰は、確かに美しい。
だが、下に降りて見るラバウルの現実は、悲惨の一語に尽きた。
戦跡と火山灰、戦火と噴火が、美しい自然と重なり合っているのが、ラバウルだと感じた。
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