南十字星


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パプアニューギニアの国旗  ラバウル2日目の夜、夕食の時間になったので、食堂に行ったが誰もいない。
 夕食の時間に間違いはない。おかしいなと思いながら、外に出てみたら、浜辺で大勢の日本語が聞こえる。
 近づいてみると、皆さんで南十字星を観察しているところである。この時期、南十字星は、夕方西の空に沈む直前でないと見えないのだそうである。
 南十字星の四つの星は、大きいから誰の目にも直ぐ判る。問題は、五つ目の星である。十字星だから四つで良いようなものの、南十字星は五つなのである。パプアニューギニアの国旗にも、ちゃんと五つの星が描かれている。
 五つ目の星が十字の真ん中にあるのなら探しやすい。が、菱形の一辺にあるのである。非常に弱い星なので、私の目には、見えたような気がしても、直ぐに見えなくなる。
 双眼鏡を貸してくれた人が居たけど、使い慣れていないものを、俄に持たされてもどうなるものでもない。
 あーだ、こーだと言っている内に、南十字星は椰子の葉陰に隠れてしまった。
 ラバウル小唄の文句じゃないけど、「椰子の葉陰に十字星」だったと、笑いながら食堂に向かったのである。

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