カイカイ


表紙へ戻る目次へ戻る前の頁へ戻る次の頁へ進む
 南洋の果物は、美味しい。と言っても、食べたのは、マンゴーとパパイアだけである。
 確かに美味しいのだが、ラバウルのホテルでは、食事毎に出てきたのである。
 日本のホテルの食事なら、デザートに一切れか二切れと言うところだが、ここでは大きな鉢に山盛りで出てくる。
 最初の内こそ、うまい、うまいと言って沢山食べていたが、3度に3度では、あまり多くは食べなくなる。
 そこで、給仕の人から声がかかる。
 「カイカイ」
 「カイカイとは、どういう意味ですか?」添乗員さんに訊ねると
 「食べろ」と言っているのだという。
 「そう言われても」と小声でつぶやくと、直ぐ後ろで
 「カイカイ」と声をかけられた。
 ラバウル2日目の夕食には、刺身が出た。これも大きな皿に山盛りである。日本のようにツマは無い。魚の肉だけの山盛りである。
 添乗員さんの話では、サワラだということだが、日本で食べるサワラとは、全然味が違う。大味である。
 しかし、またカイカイと言われない内にと一生懸命に食べたのである。

表紙へ戻る目次へ戻る前の頁へ戻る次の頁へ進む