防空壕
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ラバウルの道路を走っていると、道路の山側の随所に、洞穴を見ることが出来る。日本軍が掘った防空壕の跡である。
その全長は、450キロメートルに及ぶという。
いくら火山灰で出来た掘りやすい島と言っても、膨大な地下壕である。
ラバウルの基地は、航空機を全部トラック島に引き上げられ、攻撃力を失ってからも、撤退命令はなく、終戦まで生きながらえたという。
ラバウルの終戦処理を行った連合軍が、地下壕から次々と出てくる日本兵を見て、驚いたという。さもありなん、全長450キロメートルの地下壕である。
いくら空爆を受けても、攻撃力を失っても、補給が途絶えても、ただ、ひたすら、地下壕の中で生きながらえてきたのである。
大本営の、死守の命令は完遂されたのである。
戦争とは一体何なのか、考え込まざるを得ない。何が目的でここまでやったのだろうか。外国へ出向いて壕を掘るのも戦争なのだろうか。
戦争という異常事態の中で、軍隊という社会が行ったことは、平時に生きる私たちの常識では、理解できない問題なのかも知れない。
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