雨漏りする飛行機


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ラバウル→ケビエン航路図  ナマタナイを飛び立って間もなく、すごい積乱雲のような雲に突入した。高度をどんどん下げる。雲の切れ目から直ぐ目の下に山林が見える。墜落の恐怖が頭をよぎる。
 こんなプロペラ機は有視界飛行の筈なのに、雲の中を飛んでいる。伊方原発の傍で、米軍のヘリコプターが墜落したときの記憶がよみがえる。
 大粒の雨が飛行機の横から吹き付ける。隣の窓際に座っていた妻が、窓の隙間から雨が降り込んでくると言った。間もなく、前の席でも、雨が入ってくると言う声がした。隣の席から、般若心経を小声で唱える声が聞こえた。
 スコールというのか、猛烈な雨の中を着陸した。リヒルという小さい島の空港である。空港とは言っても、滑走路だけで、小さい小屋のような建物が一つ有るだけ。管制塔らしきものは、見当たらない。
 大雨の中、キャーキャー言いながら大勢降りていった。我々一行6名の他は1名だけ残って、みんな降りてしまった。大雨の中、キャーキャー言いながら、新たに4人乗り込んできた。
 大雨のリヒルを飛び立つと、今までの雨が嘘のような快晴である。青い海に浮かぶ島々は、珊瑚礁で隈取りされている。真ん丸の環状の珊瑚礁も見える。何故真ん丸になるのかと、聞かれても知らないものは、答えられない。
 ケビエンの手前にタバーという島がある。この島へは着陸することなく、ケビエンまで飛んだ。

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