壊される慰霊碑


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 私たちが合同慰霊祭を営んだラバウルの慰霊碑は、壊されたような形跡は認められなかった。しかし、別ルートの合同慰霊祭の会場となったウエワクやマダンの慰霊碑は、銘板が剥ぎ取られる等意図的に壊されていたようである。
 壊される原因は、必ずしも反日感情に基づくものではなく、また、剥ぎ取った銘板を換金する目的でもないようである。「私は、こういうものを持っているよ。」と、誇示する、コレクター的な心情から起こっているとの見方が強いようである。
 これらの慰霊碑は、日本国政府が建立したもので、管理費についても日本政府からPNG政府に百万円が支払われているという。この金銭が有効に機能していないわけである。
 パプアニューギニアの国家機構は、機構そのものや経済や財政などあらゆる面で、未成熟であり、国家間の約束が末端まで浸透することは、極めて困難なようすである。
 皆さんのお話を聞いていて、私は、管理費の支払いは、政府に渡すのではなく、その土地の酋長に渡す方がより効果的だと感じたのである。

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