ニタリクジラ
大方町の沖合いを回遊するクジラは「ニタリクジラ」と呼ばれるクジラで,上顎にはこの種類の特徴である三本の陵線(盛り上がったスジ,普通の種類は1本)があり,畝(胸にある溝)がヘソまで達していることも特徴の一つ。土佐湾に回遊するグループはやや小さくて約12m位(11t)が最大です。生後6年ほどで大人になり,メスは11ヶ月の妊娠期間の後冬に出産し半年ほど授乳します。大方町の沖でも子供連れを見ることがあります。クジラの噴く息のことをブローと言いますが,ホエールウオッチングで最初にクジラを発見するのは大抵このブローを確認することからスタートします。

*大方町ホエールウォッチングガイドより抜粋

クジラの行動
ブリーチング:身体の3分の2以上を海面から跳び出させてジャンプする
スパイホップ:顔を海面から出して,周りをスパイのように見る行動をする
ニタリクジラとゴンドウクジラ
高知県の土佐湾は室戸沖側は急に1000m深く落ち込んでいるが,大方町沖合いはなだらかに落ち込んでおり,食性の違いから室戸沖合いではゴンドウクジラ,大方町沖合いではニタリクジラが見られるようです。
ホエールウオッチング(ww)
1988年高知県主催の「まんがフェスティバル'88」で高知でのホエールウオッチングが提唱されたことから1989年5月室戸沖合いでゴンドウクジラを目的とするホエールウオッチングが行われた。
1989年8月1日「大方町遊漁船主会」が発足し大方町水産商工課の指導でホエールウオッチングが始まった。
1994年4月高知県土佐清水市下ノ加江で「下ノ加江遊魚船主会」が発足し足摺ホエールウオッチングが始められた。



イルカ(海豚) Dolphin 
水中生活に高度に適応し、尾びれが水平につくことをのぞけば、姿が魚にそっくりになった哺乳類。その中でも小型のクジラ類をさす。カワイルカ科、マイルカ科、ネズミイルカ科、などがある。ここではおもに、前2者をとりあげる。ふつうは体長4m以下のクジラ類をさすが、習慣的な区分であり、さらに大型の種をイルカということもある。体はなめらかで、泳ぎは力強く、全海域に分布している。英語では、porpoiseという語もあり、これはネズミイルカ科に属す種をさす。ネズミイルカ類とは、めだつくちばし状の吻(ふん:鼻づら)と円錐形の歯で区別される。ネズミイルカ類は吻が短く、のみの形をした歯をもち、体はずんぐりしている。

イルカはおよそ32種が知られている。有名なのは、水族館で芸をする人気者のハンドウイルカと、地中海地方で数多くの伝説の題材となったマイルカである。どちらも氷のはらない海に生息して、しばしば船がたてる波の前で独特の跳躍をみせる。アジアや南アメリカには河口に生息する淡水種が数種いる。小型で優雅なカワイルカは、アマゾン川河口から2000km以上上流でみつかったことがある。カワイルカは生息する川によって何種かにわかれる。アマゾン川のアマゾンカワイルカ、チャン江(揚子江)のヨウスコウカワイルカ、ガンガーのガンジスカワイルカなどである。吻が長く、多数のするどい歯がついている。首がよくうごき、目はにごった川水に適応してか、明暗がわかる程度に退化しているものが多い。体長は最小種の1.5mから最大種でも2.6mまでで、比較的小型である。代表的なハンドウイルカは4mに達し、さらにシャチは10m近くとはるかに大型だが、イルカとみなされる。マゴンドウクジラもイルカの1種とされる。
かつてイルカは商業捕鯨の対象で、とくに頭部から少量の良質の油がとられ、時計の潤滑油に利用された。現在では別の供給源から安価な油がえられるので、油のために捕獲されることはなくなった。しかし、多くのイルカがあやまってマグロ漁の網にかかっておぼれてしまうようになった。このため、195972年に、480万頭が死んだと推定される。動物保護団体やアメリカの消費者グループからの圧力をうけて、世界のマグロ缶詰業者がイルカを保護しない漁船団からの荷揚げをうけつけなくなった。水族館や「イルカとおよごう」といったプログラムでのイルカの扱いも懸念されている。アメリカでは海生哺乳類保護法が72年に制定され、88年と92年には改正され、イルカや近縁の水生動物の利用を禁じている。
習性
おもに魚とイカを1日に体重の3分の1ほども食べる。泳ぎがすばやいので獲物にらくにおいつくことができる。200250本のするどい歯をもつあごで獲物をとらえる。魚群を群れになっておいかけるが、その群れの大きさはさまざまである。カマイルカのように、数万頭もの集団をつくる種もある。ハンドウイルカなど、大きな群れをつくらない種では、しばしば数頭のみで構成される。
クジラと同じく、頭頂部の噴気孔で呼吸する。移動中、およそ2分ごとに水面にでて、短く勢いよく息をはいてから、今度は長めに空気をすった後、ふたたび水中にもぐる。他の海生哺乳類と同じく、尾びれを上下にふって、前進する。胸びれは安定させるためにつかう。体型はみごとな流線形で、時速30kmのスピードをたもち、瞬間では時速40km以上だすことができる。急激な水圧の変化は多くの動物の体に異常をひきおこすが、イルカの肺はそうした変化に適応して、水深300m以上までもぐることができる。
ハンドウイルカはもっとも研究のすすんだ種である。メスで512歳、オスで913歳で性的に成熟する。交尾は春におこなわれ、1112カ月の妊娠期間をへて、1頭の子をうむ。子は誕生して数分後にはおよぎ、呼吸もする。生後18カ月までには乳ばなれをする。子は母親がおよぐことで生じる水の流れをそばにいて利用することにより、母親についていくことができる。
発声と知能
 
イルカはチチッというクリック音やピーというホイッスル音をたえず発している。クリック音は、噴気孔のすぐ下にある器官から発する、およそ毎秒300回の短い不連続音である。これらの音は物体の反響定位につかわれる。額の上にはメロンというろう質の部分があり、これが音響レンズの役目をはたすことで音が前方へ送られる。物体からの反響は下あごの後ろ部分でうけとり、下あごの脂肪組織をとおって中耳につたえられる。コウモリのものと似た、この反響定位によって、仲間や大きな物体の間をおよぎ、魚やイカや、小エビさえも感知する。ホイッスル音は、喉頭の奥からでる一定の調子の鳴き声である。これらは警告や、性的興奮や、おそらくさまざまな感情をつたえるのにもつかわれる。
飼育下で複雑な課題をおぼえて演技する能力や、仲間同士でたえずコミュニケートしあっていることや、訓練によって人間がつかういくつかの単語の発音をまねることができる能力からみて、本当に言葉をおぼえて、人間と会話することができるだろうと考える研究者もいる。しかし大半の専門家は、問題を解決する能力からして霊長類レベルの知能はあるものの、そのコミュニケーションが本当の意味での言語の複雑さをもっている証拠はない、という意見で一致している。
分類:クジラ目ハクジラ亜目。ハンドウイルカの学名はTursiops truncatus。マイルカはDelphinus delphis。アマゾンカワイルカはInia geoffrensis。ヨウスコウカワイルカはLipotes vexillifer。ガンジスカワイルカはPlatanista gangetica。シャチはOrcinus orca。マゴンドウクジラはGlobicephala melaenea。カマイルカはLagenorhynchus obliquidens