大方町の観光

 危惧する事態が起りつつある。風小僧が以前も提言したように大方町の観光の一つであるホエールウオッチングが消えようとしていると言うのだ。
大方町のホエールウオッチングは1989年に地元の漁師達約50人が、朝方に出漁して午後から自前の漁船を使用して経験的にクジラの見える海上へ案内するという漁業の延長線上の観光である。1995年に約18000人が来町、それ以後は減少を続け昨年2001年は1万人を割り込んだ。修学旅行(学生約2600人)は誘致したが一般客の減少には歯止めが掛からないのが現状である。
観光に対する価値観が変化しつつあることを認識すべき時期に来ている。
全国的に見ても壮大なテーマパークが次々と姿を消しそれを維持しようとして莫大な借金に苦しんでいる。いわゆる箱物観光の経営の難しさが不景気という社会情勢に拍車をかけられている状況である。
大方町の観光は何も無いところから出発している事を再認識すべだろうと思う。何も無いから何かが生まれ何かを創造的に生み出そうと努力して何かが生まれる。

参加型・体験型の観光が大方町には必要です。それも単に観光的な参加・体験ではなく、参加して何かを生産し、アフターケアを大方町が行い、生育状況・生産状況などの情報を提供者(観光客etc.)へ返送し、顧客の顔が常に大方町へ向いているような観光が必要であると思う。【ニタリクジラはもういない(思い出作り事業)】にも書いているように、ある事業が今現在は軌道に乗っているとしても社会は或は顧客ニーズはめまぐるしく変化している。新しい方針や方策を準備しておかなければチャンスは背を向けてしまう。特に自治体が行う事業は得てして赤字が累積してから見直す場合が多い事も注意すべきであろう。

◆ 農業、漁業、林業などを活用した参加型観光
ドルフィンスイム、地引き網、炭焼き、林業間伐体験
【例】大阪府堺市 堺・緑のミュージアム「ハーベストの丘」
地域の特徴である豊かな自然環境を保全し、また活用を図りつつ、自然や人とふれあう場を創出することを目的として、広く市民の意見を求めて地域振興の計画作りを進めた。最終的には、地域農業との連携により、農業の持続的な発展を図るべく、体験型農業公園の整備を進めることとなり、農林水産省所管の農業構造改善事業などの補助事業や自治省所管のふるさと融資を導入して事業を推進した。
 施設は、2000年4月14日にオープンし、6カ月余りで約70万人が利用しており、順調な推移を見せている。

◆ 従来の名所旧跡見物型の「観る」観光から「体験・学ぶ・癒す」等の多様な目的を個人が追求する新しい観光
大方町の名所旧跡の調査研究とPR
大方町には別記指定文化財が多くある。町の人さえその故事来歴について知る人は少ないのが現状である。
データを町民に開放し、情報を収集しなければ「知る人ぞ知る」になってしまう。特に、郷土資料の調査や研究を教育委員会まかせにしている市町村が多い。将来への伝承という意味でも各小中学校の研究テーマとして取り組む必要があると思われる。
◆ 里山制度の創設
地形的に「山」とは限らない。「里地」と呼ばれることもある。「里地」については、1994年12月に閣議決定された「環境基本計画」で「(農業など)人間の働きかけを通じて環境が形成され、野生生物と人間とがさまざまなかか関わりを持ってきた地域で、古里の風景の原型として想起されてきた」と位置付けている。

大方町の山林は[林業に相応しい]とは言えない。地形的にも気候的にも、植林しても採算が取れるとは考え難い。しかも、遊休林的存在が何十年も続いている状態で有れば尚更のことである。
◆ 蛍の里作り
谷間に点在する棚田的「田」田圃は今や作り手がなく、農薬が使用されなくなり湧き水が流れる小川には蛍が生息するようになりました。地元の小中学生に蛍の生息マップを依頼したらと思います。
◆ホエールウオッチング観光客を固定客にしよう
便りを出そう彼等へ あなたの植えた桜が咲いたヨ あなたの収穫したナスが売れたヨ クジラが見え始めたヨ
あなたの植えたイチゴが真っ赤に色づいたヨ
修学旅行の学生達が成人式を迎え時「おめでとう」の便りを出そう そして社会へ旅立った彼等へ便りを出そう
何時か振り向いてもらえると思う。彼等の住んでいる地域で、職場で大方町が話題になった時、きっと大方町の夢は現実のものとなる。私はそう信じている。

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