中村・大方・佐賀・西土佐合併検討任意協議会の行方

市町村合併の動きが慌ただしくなって来た。高知新聞からその動きを追って見た。

平成14年4月04日(木)
平成14年3月議会で金子繁昌大方町長は中村市、大方町、佐賀町、西土佐村の四市町村で任意協立ち上げをと訴えた。
これに対して沢田五十六中村市長は当市もも同様な意向を持っている旨を表明した。
西土佐村の宮畠耕三村長は大正町、十和村、西土佐村の北幡地域でも任意の協議会を発足させたい意向を示している。
 4月3日、沢田五十六市長の呼び掛けで、金子町長、宮畠村長、佐賀町の池本明生町長が中村市役所を訪れ、約二時間にわたって協議。四市町村での合併を検討する方針を確認し、任意合併協議会の協議書を五月上旬に取り交わすことを決めた。
 市町村合併問題で中村市、大方町、佐賀町、西土佐村の各首長は三日、任意の合併協議会を五月に発足させることで合意した。
諸条件の調整が順調に進めば、十月にも法定協議会に移行したい考え。
 任意合併協議会は首長、助役、議長と、担当職員の事務局で構成し、会長は沢田市長が務める予定。まずは各市町村の現状を出し合って検討し、将来の町づくりプランを描きながら、十月までに諸条件を擦り合わせて、法定協議会への移行を目指す。
 既に四市町村とも合併問題専従の職員の任命は済んでおり、早急に中村市内に事務局を構え、専従職員を派遣して、任意協発足へ準備を進めていく方針である。
 高知県は四市町村に土佐清水市を加えた合併パターンを提示しているが、沢田市長は「時間的な制限と面積から考えて、四市町村の合併が限界ではないか」と話している。

金子繁昌大方町長は市町村合併について3月の議会答弁の中で次のように表明している。
  個人的な考えでは、市町村合併は人口密度や地形、道路網などから考えて、仮に特例債が五百七十八億円あろうとも、幡多八市町村では非常に厳しいとの認識だ。現在の行政水準を維持したまま、町単独で存続するのも困難だろう。
中村市、佐賀町、西土佐村と四市町村で検討するのが妥当ではないか。合併協を四月中に立ち上げ、町民が議論できる資料を早く提供したい。その上で地域説明会を実施する予定だが、住民投票をする考えはない。
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平成14年5月8日(水)
 四市町村は4月に任意協議会の発足で合意し、中村市に事務局を置く準備などを進めてきた結果、中村市、大方町、佐賀町、西土佐村は5月7日、「中村・大方・佐賀・西土佐合併検討任意協議会」(会長=沢田五十六・中村市長)を発足させた。合併の是非を年内に方向付けるため、住民の判断材料となる資料づくりを進める。
 この日は中村市立図書館に四市町村の首長、助役、議長、担当職員が集まり、非公開で特例債事業など新市づくりの課題について意見交換。任意協立ち上げの合意を確認し、四首長が協議書に署名した。
西土佐村は2日に北幡(同村、大正町、十和村)で任意協議会を発足させている。
 委員は首長、助役、議長の十二人で構成。県内では高幡西部(窪川町、大正町、十和村、大野見村)と北幡の二つの任意協が発足しているが、議会サイドが参加するのは初めて。
 また、今後の会議も非公開とする予定。任意協議会の公開、非公開については、高幡と北幡の両任意協議会では、会議運営規定で「会議は原則公開」としている。
沢田会長は非公開の理由を「自由な意見を言って、方向性を見定める必要性がある。自由度をわれわれに与えてほしい」と話している
 引き続き、二日に土佐清水市が文書で申し入れた加入問題について協議したが、結論は持ち越された。
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平成14年6月4日(火)
 「中村・大方・佐賀・西土佐合併検討任意協議会」の第2回会合が6月3日、中村市立図書館で開かれた。
四市町村の首長らが意見交換し、中村市の沢田五十六市長は「合併後の新庁舎の位置は中村市役所の現在地としたい。この点は絶対に譲れない」との意向を示した。この日は委員12人中、佐賀町議長を除く11人が出席。事務局職員の委嘱などを行った後、合併の方式などについて意見交換した。
 新設(対等)合併と編入(吸収)合併、いずれの方式を望むかについては、大方町の金子繁昌町長は「住民に新設合併を望む声が強い」、佐賀町の池本明生町長は「編入やむなしだが、新市のイメージに合う市名に変更すべき」、西土佐村の宮畠耕三村長は「方式は新設合併で」との考えを示した。
 一方、沢田市長は「中村市にとって自然な方式は編入合併」と述べ
新設合併の場合でも「譲れない点」として、新庁舎は中村市役所を現位置で拡張する▽中村市条例を中心に使う▽中村市の市名は残したい―の三点を主張した。
 沢田市長は中村市役所の現位置を重視する理由について、距離的にみて幡多地域の中心地である▽一条氏の時代から明確な都市計画に基づいて建設されており、市役所がそこから抜ければ小京都が崩れる▽周辺に国、県の出先機関が集中している▽中心商店街の活力に甚大な影響が出る▽地震に強い地盤で市民の避難場所である―などを列挙。新庁舎建設の際には用地を拡張して車の流れも整理し、用地が足りない場合は近くの羽生山を開発、国道56号とのアクセス道路を建設したいとの構想を示した。
 この主張に対し、金子大方町長は「大方町民として納得し難い」、池本町長は「市名は幡多地域にふさわしい名前を模索すべき」と述べた。次回の任意協は六月下旬に開催予定で、引き続き新市のビジョン、法定協議会への移行時期などを話し合う。

 この日の任意協議会では、土佐清水市の西村伸一郎市長が四市町村に対して加入を再要望していた問題についても協議。採決の結果、同市の加入を認めないと最終的な結論を出した。
 協議の中で四市町村は「宿毛グループにも可能性があるのではないか」「(合併特例法期限の)17年3月まで時間的余裕がない」「四市町村より多くなると住民への(行政の)責任が持てない」などの認識で一致した。
 採決の結果、「土佐清水市の加入に反対」に出席者十一人全員が賛成し、同任意協として正式に加入を拒否することが決まった。

 これを受けて西村土佐清水市長は「入り口で閉ざされ極めて残念。住民の選択の余地がなくなった。早急に市議会合併調査特別委員会と協議する。今後は、県にも協力を要請していく」と述べた。
 また、同特別委の武藤清委員長は「住民の意向はあるが、単独の道を模索していかなければならない。特例法、任意協議会の持つ意味にも疑問がある」と国の進める合併論議そのものに疑問を投げ掛けた。
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平成14年6月6日(木)
 中村・大方・佐賀・西土佐合併検討任意協議会が土佐清水市の加入を拒否したことを受け、同任意協会長の沢田五十六・中村市長ほか、大方町の金子繁昌町長、中村市の上野宏議長らが任意協議会を代表して6月5日、土佐清水市の西村伸一郎市長を訪問し6月3日に全会一致で出した結論を文書で正式に報告した。同市側は、西村市長のほか、市議会市町村合併調査特別委員会の武藤清委員長らが応対した。
 沢田市長は「真剣に協議したが、前と同じ(拒否という)結果になった」と述べ、理由として、住民と行政の一体感を考えると地域が広過ぎる▽合併を急いでいる時に、これ以上枠組みを広げると合併を危うくする―などを挙げた。

 これに対し、西村市長は「八市町村が一番良いと考えていたが、二グループに分かれた状況では困難と判断し、経済的にもつながりが深い中村側に加入をお願いした」と経緯を振り返り、「合併はお互いに合意してこそできるものなので、(任意協議会の)最終判断として受け止めている」と答えた。
 一方、これまで続いてきた幡多広域での行政的な取り組みについては、合併問題と切り離し、今後もお互いに協力して取り組んでいくことを確認し合った。
 また、この日開かれた、土佐清水市議会の同特別委員会では、三日の任意協について執行部側が報告。委員からは「宿毛グループの方はどうなのか」「単独の道も詰めていかねばならない」などの意見が出された。
 西村市長は「宿毛側のハードルが下がらなければ、お願いできない状況だ」と答え、単独については「今後の財政状況など資料を精査し、6月議会終了後、市民説明会を地区別に再度開く。改革案作りなど打つべき手は打つ」との考え方を示した。
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