魅 館 果 汁

<00年2月中旬>


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2月20日(日)

 朝コンビニおにぎり、昼弁当、夜お好み焼をビールで流し込む。

 今日は入試だった。 学校として最も大切な日といってよい。 ミスがなくて当たり前。 万が一、何かあった時には責任問題になる。 神経を使う一日だ。 受験者に公平になるように公明正大に行わなければならないため、心得やらマニュアルやらがある。 私は試験監督に当たっていた。 集合から解散まで、タイムスケジュールが組まれているのは当然として、特に受験生に対して告げるべき内容がそのまま読めばいいだけの文章になったものとして渡される。 受験者に正しく意図が伝わるように配慮されているのだろう。 ところが、監督する側はいろいろで、一言一句間違えないように緊張してしゃべる人、だいたいの意味が伝わればいいからと砕けた言い方になる人、要するに試験が受けられればいいのだと適当に端折る人、など様々である。 それでは困る、というのが全体の統括責任者の立場である。 決められたことはきちんとやってもらわなくては不公平の元になる、というわけだ。 そこで、次第にマニュアルが細かくなってくる。
 「それではただいまから入学試験の第一科目を始めます」
 (最初は数学か。 うわっ、何あのごつい束。 あれが問題なん。 すごい量やなあ)
 「受験票と同一番号の席につき、机の上に貼ってある受験番号の下に受験票を正しくおいてください」
 (正しくおく、ってのは裏表上下を自分から見て読めるようにおけって意味なんやろな、多分)
 「受験票と黒エンピツまたは黒シャープペンシル、ナイフ、消しゴム以外のものは鞄の中にしまって机に架けるか床においてください」
 (ナイフ? そんなもん持ってきてええの? 何をさせたいわけ? …… ははぁん、エンピツを削るのに使うんか。 だったらエンピツ削り器もええんちゃうん)
 「これから問題用紙と解答用紙を配りますが、始めの合図があるまで開いてはいけません」
 (あ、来た来た。 どきどきするなあ。 さっきやった問題とか出てくれたらラッキーなんやけど。 あれれ、全部配ったはずやのにまだ束が残ってるやん。 あれは何やろ?)
 キーンコーンカーンコーン
 「始め」
 (さあ、勝負や!)
 「解答用紙にアラビア数字で受験番号を書いてください」
 (へ? アラビア数字って何や? アラビア語なんか知らんぞ)
 「問題用紙は10ページです。 ページが抜け落ちている場合は手を挙げてください」
 (うーん、わからん。 困ったぞ。 受験番号が書けんと始まらん。 よし手を挙げよう)
 「手を挙げている受験生を確認しました。 しばらくそのままで待機していてください」
 (待機ってなんや。 待つけどさあ、はよ来てくれな時間が足りんようになるやん)
 「受験番号1234番ですね。 何ページが抜けてますか?」
 (いや、そうじゃなくてやね)
 「…… アラビア数字って何ですか、ですね。 しばらくそのままで待機していてください」
 (なんで教卓まで戻るんや。 教えてくれへんのか。 放送の途中で砂嵐になったテレビ画面とちゃうんやぞ。 ん? さっきの残りの束をめくり始めたな。 あ、こっち来た)
 「アラビア数字とは、漢数字でもローマ数字でもない、普通みなさんが使っている数字です」
 (そうなんや。 知らんかった。 それにしてもなんですぐ教えてくれんかったんやろ。 ま、ええか、試験試験)
 チクタク、チクタク、チクタク、チクタク
 (あーあ、たるいなあ。 早う終わらんかな。 監督って、他に何にもできんから嫌やねん)
 「あの、すみません」
 (ん? なんや。 誰か、手挙げたぞ。 さっきのアラビア数字みたいな簡単なんだったらええんやけど)
 「トイレに行きたいんですけど」
 (面倒くさいなあ。 始まる前に行っとけよな。 つってもしゃあないか。 えーと、トイレの時はと…… あった、37ページやな。 なになに、男子の場合と女子の場合があるんか。 えーと、男……だよな、学生服着てるから。 まさか、こんなとこにオナベはおらんやろ。 染色体を調べるわけにもいかんし、男にしとけ。 それから、大の場合と小の場合で違うんか。 どっちやろ。 聞いてみなわからんな)
 「あの……えーと……おおきいほう、です」
 (はっきりしゃべれよな。 まあ、わかった。 そしたら次は誰が付き添っていくかを決めなあかんのか。 監督責任者が任命するってか…… なんや、結局オレかい。 ん? 何か紙を渡されたぞ。 ふむふむ『あなたをトイレ付き添い監督者に任命する』だあ? こんなもんにまで辞令が出るんかい。 とにかく、さっさと済ませよ。 おっと、マニュアルを持っていくの忘れたらあかん)
 「ありがとうございます。 え? いえ、ひとりでできますから」
 (わかってない奴やな。 個室に一人っきりにしてカンニングされたら、オレの付き添い監督者としての責任がとれんやろが。 マニュアルに外れたことはできんのや。 ちょっと待っとけよ、こういうときの対応例は、付録の54ページを見れば……)
 「そうですか。 わかりました。 でも、臭いますよ」
 (アホ! わかっとるわい。 狭いし臭いし男の下半身見て気分悪いし、早うせい)
 「すみません。 側に人がいると緊張してちょっとしか出ません」
 (何ぜいたくいうとんねん。 そんなら試験会場へ戻るか? くそっ、こんなときの対応は載ってたかなあ…… あっ!)
 ビチャン!!
 「あ、落ちましたよ。 濡れてしまってます。 それに……」
 (……終わりだ)
 そんなことを考えながら監督していたら目の前の受験生が手を挙げた。 なに? 消しゴムを落としただと? そそっかしい奴め。 わずらわしいなあ。 えーと、マニュアルどこにおいたっけ……。


2月19日(土)

 朝昼兼用 親子どんぶり、夜はトンカツ定食、ビールを飲んでいい気分。

 巷では動物占いというのが流行っている、らしい。 基本的に占いというやつが嫌いなので今までまったく接触していなかったが、ひょんなことから動物占いのホームページを見つけてしまったので、どんなものか少し覗いてみた。 最初に大層な前書きが書いてある。 陰陽五行説をベースに四柱推命や易学などの伝統的占術を交え、心理学や統計学などの解釈を加えたまったく新しいタイプの占いだという。 鶏がらダシをベースにオイスターソースを交ぜ、XO醤を加えたスープがおいしいのかどうかわからないのと同じくらいに不気味だ。 まずは、生年月日から自分がどんな動物キャラクターに相当しているかを選び、それをもとに占いをするらしい。 キャラはゾウ、黒ヒョウ、コアラなど12種類ある。 中にはペガサスという想像上の生物までいる。 これらは目標指向型か状況対応型か、自分軸タイプか相手軸タイプかで大きく4つのグループに分類される。 まあ、細かいことを言っても仕方がない。 自分のキャラを調べてみると、小鹿だという。 愛想笑いの内ベンケイだとか。 警戒心が強いが、好奇心も旺盛。 誰からも可愛がられたい気持ちが強く、愛情が確認できないと不安になる。 人を育てたり、教えたりするのも上手い。 ほぉ。 それは知らんかった。 生年月日だけでここまで教えてくれてありがとう。
 他にも実に様々な占いがあるらしい。 元素占いもそのひとつ。 私はらしい。 といわれても何のことやら。 好きなことにはとことんのめり込み、リーダーシップがあって柔軟な行動をとり、多くの人と仲良くなれるお人好しで、多彩な能力を持ち、時々人からやさしいといわれる、らしい。 このページの注意書き 「どの元素も決して悪者ではありません。 使い方次第で役に立ったり、悪さをしたりします。 元素を偏見で見て差別してはいけません」 が笑える。
 ここまできたらアイデア勝負だ。 テレビ局占いなんてのもあっていいかもしれない。
 NHK型のあなたは、まじめで勉強熱心、慎重に物事を進めるタイプです。 年末にはたくさんの人たちがあなたの家に集まってきますが、自分の人気だと勘違いしないでください。
 日本テレビ(よみうりテレビ)型のあなたは、自分が世界の中心にいるかのように過信しやすいタイプです。 年に一度、24時間黄色い服を着て過ごす日には居眠りに注意しましょう。
 テレビ朝日(朝日放送)型のあなたは、地味ですが堅実に人生を送るタイプです。 毎週、夜10時にならないと注目を集めないことにくさらず、そのままのあなたでいてください。
 フジテレビ(関西テレビ)型のあなたは、派手好きで人を笑わすことが得意です。 裏方に徹することのできないことは仕方ないですが、特に女性のあなたは異性関係に気をつけた方がよいでしょう。
 TBS(毎日放送)型のあなたは、行動が軽率で周囲に迷惑をかけやすいタイプです。 時々、心に染みるいい話をしているようですが、普段からしっかりしていないと信頼を失います。
 テレビ東京型のあなたは、いつも意表をついてやろうと虎視耽々と狙っているタイプです。 最近、子供相手に朝から元気なようですが、本職のはずの夜の仕事も忘れないでください。
 サンテレビ型のあなたは、甲子園にしか目を向けていないタイプです。 いつも縦縞が目に映っていないと安心できないあなたは禁断症状が現れないようにするためにも、決して関西を離れてはいけません。
 さあ、あなたはどのタイプ? 私はもちろん……。


2月18日(金)

 邪魔板とジャマイカは似ている?

 今月号のジャフメイトを読んでいたら、裏表紙にノンストップ料金所(ETC)が今年の春から一部スタートという記事が載っていた。 Electoronic Toll Collection System の略だそうだが、千葉の高速道路を中心にある意味テストも兼ねて実施されるようだ。 そして来年度中には東名、名神、東北、中央などの主要高速道でも設置予定だという。 このシステムの実現にはあまり時間が掛からないだろうと思っていたが、未来の料金所システムに不安があっただけに嬉しいニュースである。 だって、料金所で出される問題に答えられないと高速に乗れない世界なんて嫌じゃないか。
 気を取り直してはじめから読み始めると、ドライバーの無くて七癖という特集があった。 信号待ちなどで手持ちぶさたの挙げ句に頭皮マッサージを始める女性や、発進する時によっしゃーと声を上げる人、窓の開き具合を助手席の人と合わせてしまう方などなど。 そういえば3番目の癖は私にも当てはまる。 それも全開と半開といった大まかな程度でなく、数センチが気になるのである。 基本的に左右対称が好きなのではある。 これ以外にはそうだなあ、独り言はよく言っていると思う。 特に周囲の車に対する文句は多い。
 「もうちょっと寄せて止めえよなあ。 ぶち当たってもしらんで」
 「なんや、曲がるんやったらウインカー出せよ」
 「おいおい、ウインカー出しとんのにいつ曲がるつもりやねん」
 「後ろからせっつくなよな。 前がつかえとんのがわからんのか、ボケ」
 「なにトロトロ走っとんや。 ここは40キロ制限やぞ。 50キロくらい出さんかい」
 「こっちは追い越し車線やで。 隣と並んで走ってどないすんねん」
 「ほら、お前がゆっくりしとるから、赤で捕まってもうたやんか」
 「前向いとるかあ。 青になったぞお」
 「おーい、今、赤やぞぉー」
 「そこのおばはん、原チャリでフラフラすんなよな」
 「そこの生意気そうなガキ、前向いとけっ」
 「そこのお姉さん、こっち向いてくれへんかな!」
 「♪眠いときゃ歌おう、コーヒーも飲もう、ガムだって噛もう…… zzz、って危ない危ない」
 「ここはどこだろう。 道標とかないのかなあ。 そこはかとなく寂しいなあ」
 「え? ハイオクか、レギュラーかって? まだベンチなんやけど……」
 「われ、どこに目ぇつけとんねん。 もうちょっとでこすりよったやんけ。 ドラム缶にコンクリごと詰めて大阪湾沈めっど!」
 「すんません、70キロ越えてました? ここ60キロの道ちゃいまんの。 勘違いしとっただけですわ。 ほんま、勘弁しとくれやす」
 ああ、心の叫びが充満していることよ。 (一部、どうやら独り言ではなかったようである)

 『SAKURA 六方面喪失課』(山田正紀)読了。 悪くない。


2月17日(木)

 新しい建物の竣工式は、段取りの悪いものであった。

 11時から式典、11:30にテープカットして建物見学、12:40から祝賀会という予定。 ところが、まず式典が長引いた。 式典会場からテープカット場所である建物玄関への移動に10分間の余裕を見ていた。 100人近い列席者があったのだから当然のことだ。 逆に言うと式典そのものに20分しかとっていなかったことになる。 式典では校長挨拶、来賓挨拶、建物概要説明などが行われた。 だが、あの話好きの校長が5分やそこらで挨拶を終わるわけがない。 来賓だってちゃんと時間をとらないといけないと思うだろう。 概要説明は懇切丁寧に話をすることで有名な教授が担当している。 「最低でも30分はかかるな」と同僚と話をしていたが、実際はさらに10分遅れた。 私たちは見学の案内役をまかされ、式典には出席しなかったので、寒空の下、玄関前で30分ほども待たされたわけだ。
 ようやく玄関前に列席者が集まり、司会者がマイクを持って仕切り始める。 ところがどうにもスピーカーの調子が悪い。 声が途切れ途切れにしか聞こえないのだ。 「もう少し前の方にお集まりください」とかなんとか言っているようだった。 大体、集まってきた人たちにどのように並んでもらうのかもあまり考えていなかったみたいで、玄関を妙に遠巻きに囲むような集まり方になってしまっていた。 まあ、それでもテープカットは終わった。 そして見学となったわけだ。
 予定では、5〜6グループぐらいに分かれてもらい、それぞれを案内係が受け持つと聞かされていた。 ところが、みんなぞろぞろと玄関を入って行く。 えっ、どこでグループ分けするの?と慌てて中に入ると、司会役が「ここで15〜20人くらいのグループになってもらいます」と声を張り上げていた。 おいおい、そんなこと今ごろ説明してるのか。 みんな聞いちゃいないぞ。 勝手にうろうろ歩き回り始めた集団がいる。 片隅で名刺を交わしている一団がいる。 どうしていいかわからずに呆然と立ち尽くす人たちがいる。 さっきまで一緒にいた相棒を探している人がいる。 何とかグループらしきものができて案内を始めたが、30人もの団体から10人もいない集まりまで様々。 落ち着いてきたと思ったら、いつの間にかちりぢりになってしまったグループがいる。 私は案内予備員であり、仕事がなくなってホッとしていた。
 ところが、案内にかける時間が短すぎて、本来の予定である12:30には終わってしまった。 予定が元通りになったからよかったのかというとそうではなくて、祝賀会の準備がまだできていないという。 式典会場がそのまま祝賀会場になるので、時間が足りないのだ。 案内役は時間を修正した方がいいと思っていて、かえっておかしなことになってしまった。 狭い玄関ホールでしばらく立ち話をしてもらって、ようやく祝賀会へと送り出した。
 ともかく、これで建物も完成ということになった。 明日から引っ越し開始である。


2月15日(火)

 二日連続4時間耐久会議 17 to 21。

 トップページのカウンタが7000を越えた。 ありがたいことである。 思えば1年と7ヶ月ほど前にアクセスカウンタを設置して以来、約500日。 一日平均14人が訪れていることになる。 そのうち一人は多分自分だから、平均13人。 ううっ、不吉だ。 なんてことはござんせん。 おそらく設置当初よりは訪問者の数は増えていると思われる。 そこで大胆予測! 10,000突破は6月15日。 丁度、4ヶ月後の今日だあ。 これは一日平均25人を想定しての計算。 わははは、結構難しいぞ。 これをクリアするためには魅館箱とこの日記の充実を図るしかないのか? あるいは新しいコーナー設立か?
 さて、こんな話を始めたのは数日前に大西科学というページのコラム(研究内容#208)を読んだからだ。 ここではアクセスカウンタをテレビ視聴率に見立てて、それに一喜一憂するページオーナーの素直な気持ちを述べた上で、測定誤差について書かれている。 誤差に関してはともかく、なるほど日頃視聴率アップのために俗悪な番組を作りやがってとかなんとかテレビの前でぶちぶち言っているが、何のことはない、自分も似たようなことをやっているのだ、と気がついた。 まあ、でもアクセス数が増えると正直に嬉しいものだ。 一日何カウントなどという計算は今日初めてしたわけだが、まあこれを励みのひとつにして地道にページを続けていこう。 そして10000アクセスの日を夢見て、愛機を前にキーボードとマウスを操りつづける所存でござる。
 なんて書いているけど、ここに予想を書いたことなどきっとその頃には忘れているに違いない。 そういう奴なのである、このワタクシは。

 『もつれっぱなし』(井上夢人)を読了。


2月14日(月)

 丸山はアメリカツアー2位、中田はローマ移籍初ゴール、陸上競技世界ランキング制導入、阪神バトルはもう失格?

 今日はなんだか朝からそわそわと落ち着かない。 何故って、明日に専攻科の発表会、先明後日に新棟落成の竣工式、一週間後に学力入試と軒並み大切な行事を控えて、しかしなぜか連絡が遅れてそれぞれでの役割分担が不明であるという、恥ずかしくも情けない状況にあるから…… というのも確かに落ち着かない要素なのだが、もちろんそればかりではない。 今日は、バレンタインデー。 いわゆる、バン・アレン帯の誕生日……ではなくて、進駐軍のバレンタイン少佐が子供たちにチョコレートを配って 「ぎぶ・みー・ちょこれーと」 という謎の呪文を普及させた日……でもない。 (うわあ、完全にパクリだ) 「バテレン大変でぇ」 と貧乏長屋の熊さんが黒船来航を告げにご隠居のところに駆け込んだ日……でも当然ない。 ご隠居が 「お前が見たのはこの菓子かい?」 とのっぺら顔で振り向いたところ、 「こちとら江戸っ子でぃ。 甘ったるくって、上喜撰でも飲まにゃあやってられねぇ」 と熊さんが菓子を頬張ったとか、頬張らなかったとか。(これは苦しい) 実は、メッツのバレンタイン監督がロッテ時代に伝説のカカオを求めてガーナの奥地に踏み入った日……であるわけもない。 大体、そんな日がなんで記念日になるのかわけがわからない。 そうそう、バレンタイン監督はそのジャングルで今のワイフと巡り合ったという。 奥地の恋人というわけだ……。 どうにも切れ味が悪いので、まあ、この辺で勘弁しといたろ。 口ほどにもない奴や。 うーん、ホンマにさぶなってくるから、ファンヒーターのスイッチ入れて仕切り直し。
 今ではチョコレートの年間消費量の4分の1を占めるとされる今日は、西暦269年に兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑された日だという。 それ以後、この日をバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加え、恋人たちが愛の誓いをする日になったそうだ。 現在ヨーロッパでは「愛の日」として花やケーキ、カードなどを贈る風習がある。 ミレニアム・バレンタインとかいって、ナイアガラの滝で200組が結婚の誓いを交わすイベントが行われるなんて話もある。 ここまでやると、なんじゃそらといった感もするが、本来は決して、フェミニズムにも甘党にも関係ない。 言わずと知れたこの企業戦略は日本で昭和33年に始まったらしい。 ほお、もう40年以上も続いているのだ。 侮りがたし、チョコレート革命。 そういえば、かつて7月6日をサラダ記念日という祝日にしようとした作戦もあった。 サラダは失敗に終わったが、バレンタインは便乗商法として大成功したわけだ。 これは若い女性にターゲットを絞ればものが売れることをいち早く見抜いた菓子屋と歯医者と歯磨き粉屋の陰謀なのである。 手作りだの有名店ものだの海外ブランドだの、本命だの義理だの人情だの、ウイスキー入りだのポリフェノール入りだの毒入りだの、うわべに騙されてはいけない。 神代の昔から甘い話には罠があるに決まっているのだ。

 『陰陽師 鬼一法眼 壱之巻』(藤木 稟)を読了。


2月13日(日)

 グリコ・森永事件時効成立でキツネ目の21面相に残り20の顔を見せてほしい。

 プロ野球はキャンプ真っ盛りである。 長嶋がやっと背番号を見せたとか、大魔人の跡を継ぐのは誰かとか、イチローがオリンピックに行かないと宣言したとか、松坂がハンバーガーを3個食べたとか、話題は少なくない。 そんな中で我が阪神タイガースはなかなか明るい話がない。 野村監督を迎えて2年目。 今年は去年よりも安芸キャンプに来るお客の数が減ったらしく、監督が代わったからといって大差なかったチームを諦めたかのようだ。 しかし、それはにわかファンが消えたということを意味するのであって、かえって静かになった安芸は選手の集中力を増すのによい材料と思いたい。
 まず、気になるのは怪我の新庄。 怪我自体は順調に回復している様子であるが、走り込み不足は否めない。 頭を使ったバッティングができるようになるために、練習できなかった間にどれだけ野球について考えたかが鍵だろう。 怪我といえば、福原と大豊が5000m走で足を痛めるなどリタイヤが続出している。 特に大豊はかなり長引きそうな気配。 田中も右ふともも痛で抜けたし、開幕は大丈夫なのだろうか。
 投手陣ではエース薮、川尻の影が薄い。 川尻は負傷明けということもあるが、どうも星野伸の話題に隠れてしまっている。 湯舟などは引退を賭けて背水の陣。 まだこの時期だが、先発の数が足りない状況だけに一人でも投手陣には名乗りをあげてほしい。 移籍の与田も速球派からの改造を余儀なくされつつある状態。 遠山が蘇ったように野村再生工場で復活してほしいのが切なる願いだ。 新外国人のハンセルは抑えとして期待が大きいが未知数。 ミラーとラミレズはどうなのか、情報が少なくてわからない。 そこはかとなく不安な投手陣である。 そんな中でドラフト2位の吉野の評判がいい。 新人に託すのはなんとも情けないが、新しい風を起こしてもらいたいものだ。 もちろん、星野伸には新たに投手陣の精神的な柱としても期待したい。
 新人といえばドラフト1位の的場もすでに即戦力として注目されている。 いきなり切り込み隊長に抜擢される可能性もある。 今岡との二遊間も軽快で、センターラインの強化はバッチリ。 ただ、坪井を2番にまわす手はないように思うのだが。 広沢はベテランだけにまだまだこれからだろう。 外国人として期待されるタラスコとバトルの2人はまずアピールには成功しているようだが、どうしたって計算できない。 ここ何年も裏切られつづけているだけに、シーズンに入ってからが勝負と思わねば。
 問題はカツノリである。 野村監督の真意はどこにあるのだろう。 去年の新庄二刀流以上に不可解である。 リード面を買っているということだが、単純に矢野、北川、定詰への起爆剤ってわけではないよな。 まあ、活躍してくれれば何も言わないけれど……。

 『カレイドスコープ島』(霧舎 巧)を読了。 もうちょっと頑張ってね、という評価。 ともかく1月の講談社ノベルス新刊をすべて読み終えた。 某掲示板でも書き込みがあったけれど、問題作だらけだった。
 やっと手に入れたのは『海神の晩餐』(若竹七海)。 スーパー内の本屋にあった。 探してみるものである。 しかし依然、貫井徳郎は見つからない。


2月12日(土)

 新潟の9年2ヶ月監禁事件でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を傷害に認定。

 昨夜「風の谷のナウシカ」をやっていた。 といっても、帰りが遅かったので見てはいない。 今朝、間違えて昨日の新聞を見て、ああそういえばやってたんだな、と思ってふと思い出した。 少し前に、学生と交わした会話のことである。 ネタは「風車は何のために作られているのか?」 この話を思い出したのは「ダ・ヴィンチ」に連載されている爆笑問題のコラム「日本史原論」を読んだのも引き金になっている。 つまり「かざぐるま」じゃなくて「ふうしゃ」の方である。
 「ええい、このくそじじいめ、こうしてくれるわっ!」
 シュルルルルルル、カツン!
 「むむ、何者だ!」
 「御老公様、ご無事で」
 「おお、弥七か。いいところへ」
……これは本題ではない。 しかし、風車の弥七って凄いよね。 飛猿なんてとても敵わない。 由美かおる(役名忘れた)は違った意味で凄いけど。 それにしてもうっかり八兵衛はよくリストラされずに残ってるよな。 ……だから、いちまでも脇道でたむろしないように!
 「アメリカとかヨーロッパってよく寒波襲来って死者がでるほどの天候になることがあるらしいけど、普段から寒いんかなあ?」
 「日本みたいな小さい国でも北海道と沖縄で気温が全然違うんやから、シアトルとフロリダでは違うし、スウェーデンとスペインを一緒にできんやろ」
 「オランダってどうなん?」
 「寒くって誰もおらんだ、とかいうんやないやろな」
 「パクッたらあかんで、そのギャグおらんだよ」
 「……ちょっと感性が疑われるから、聞こえんかったことにしてと。 『幻想運河』って有栖川有栖のミステリがあるけど、あれにはオランダは北海道よりも緯度が高いから寒いみたいなことが書いてあったで」
 「……自分かってさぶかったくせに。 でも、風車があるから暑いんかと思ってた」
 「なんでや?」
 「だって、風を吹かせて涼しくするためにあるんやろ」
 「はあ? 扇風機とちゃうで」
 「でもナウシカでやってたもん」
 「そんな場面あったっけ?」
 「風の谷の風は風車が起こしてるんやで」
 「んー、覚えてない」
 「だから、オランダも暑いから国全体を涼しくしようと風車を並べてるんやろ。 国策やん。 全部税金で賄ってるという話やし。 国花であるチューリップがしおれてしもたら、国が傾くかもしれんのんやで」
 「どこからそんなわけのわからんディテールをもってくるねん。 ちゃう、ちゃう。 風の谷はどうだか知らんけど、オランダはちがう!」
 「ほんなら何のためにあるのさ」
 「風車ってのはね、田舎を田舎らしくするためのものなんよ。 何もないただの田舎も、風車さえあったらワンランク上の田舎になるというわけ」
 「オランダって田舎なん?」
 「ん? そうそう。 そんでもって、そこを訪れた旅の一座がさらさらと流れる小川の傍で一服していると、苔の生えた風車がごろごろと……」
 「それは水車のような気がするんやけど」
 「まあ、似たようなもんや。 ああゆう、ぐるぐる廻っている奴をみると古今東西どんな人でも心が安らぐってわけや」
 「いわゆる一種の精神安定剤ってこと?」
 「ようわかってるやないか!」
 「だから、日本の夏の蚊取り線香もぐるぐるなんや」
 「あれは回ってないけどな」
 「トンボがとれるのもそのせい?」
 さて、いいかげんに魔法をといてやらないといけないのだろうか。 でも、楽しそうに想像を膨らませているからほっといた方がいいような気もちょっとだけする。 まあ、でも最近の風車は鑑賞用になってるといっていいから、あながち間違いでもない。
 「ほんとは風力発電してるんでしょ!」

 大沢在昌の『毒猿 新宿鮫U』『屍蘭 新宿鮫V』、そして小野不由美は十二国記シリーズ『風の海 迷宮の岸』を買う。 それからかの有名な『太陽黒点』(山田風太郎)も入手。


2月11日(金)

 建国記念日というのは昔の紀元節であって、これに反対する人は多いのである。

 今日のニュースステーションで愛知万博を話題にしていた。 2005年に開催予定だが、海上(かいしょ)の森の環境破壊問題などが取り沙汰され、反対運動も盛んに行われているのだ。 海上の森は瀬戸市に広がる野鳥や昆虫が多く住み、種々の植物で彩られた自然の豊かな地域である。 絶滅危惧種のヤイロチョウ、危惧種のサギソウ、希少種のオオムラサキなど、レッドデータブックに記載されている生物が20種類程確認されているらしい。 最近ではオオタカの巣が発見されたとして話題になった。 その森を万博会場にしようというのだ。
 万博そのものは「新しい地球創造・自然の叡智」をテーマにしているというのに、環境アセスメントも不十分とされ、しかも跡地を住宅地として開発する計画だという。 おかしな理屈である。 しかし、それが通用するのが日本の行政であるのも事実だ。 要は言葉の使い方の問題であり、どうにでもすり替えがきくと思っていい。 とはいうものの、世界を相手には通用しなかったと見え、つい最近、博覧会国際事務局(BIE)から警告を受けたという。 曰く、「BIEの哲学、モラルに反する」 「あなたがたは地雷の上に乗っていることを自覚すべきだ」 土建国家日本の開発至上主義が、バブルがはじけて何年もたっている今も根強く残っている証左であろう。 そんな中で、ニュースステーションでは、信長、秀吉、家康を輩出しながら一度も日本の中心となったことのない一部の名古屋人のあがき、などと見当はずれのことをいって名古屋の記者を唖然とさせていたのだが……。
 そんな今日、東京板橋区の工事現場で不発弾が掘り出された。 久米宏は、愛知万博は地雷の上に乗っているし、東京は不発弾の上に乗っかってるし、と笑っていたが、薄氷一枚下は地獄というのは誰もみんな同じなんだけどなあ。 そういえば、和歌山の南部梅林を「なんぶばいりん」と読んで「みなべばいりん」の間違いでしたと訂正したところまではよかったが、石原都知事の話につなごうと思ったのか、昔は「みなべ」知事でしたけどと振ったのには笑ってしまった。 それをいうなら「みのべ」やろ。

 『安達ヶ原の鬼密室』(歌野晶午)を読了。 本格巨編と銘打っているが、相変わらず変な人だ。 『もつれっぱなし』(井上夢人)『東京難民殺人ネット』(村上政彦)を買う。 このところ読書が進んでいないので、積読本が増える一方である。



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