魅 館 果 汁

<00年3月下旬>


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3月31日(金)

 プロ野球セ・リーグ開幕、粘ったタイガースだったが……。

 開幕なので野球の話題を。 もちろん注目はタイガース。 え、今年はジャイアンツだろうって? そうだろうとも。 今日のニュースステーションでも、負けたというのに妙に偏重した報道だった。 SPORTS MAXなんか見る気にもなれないじゃないか。 そんなわけでプロ野球ニュース。
 誤算は先発星野伸。 いきなり乱調で5失点。 満を持してマシンガン打線に当てたベテラン左腕があっさりと打ち崩されて、タイガースファンとしてはがっくり。 オープン戦チーム防御率12球団2位のはずがこれでは、チーム打率2割に満たない打線に期待するわけにもいかない。 と思いきや、なんとなんと1点返した後の6回、平尾のソロから始まって矢野のソロまで5得点で逆転。 新庄2三振、大豊3三振と相変わらずダルイ主軸だが、この回だけは違った。 なんだ、集中力あるじゃないか。 それを呼び込んだのが藤川、伊藤、遠山の中継ぎ陣。 延長で惜しくもサヨナラ負けはしたけれど、選手にはよくやったと誉めてやりたい。 ただ、野村監督にはなんで葛西を4回も投げさせたんだろうといいたい。 確かに開幕戦であまりピッチャーを使いたくなかったのだろうが、ミラーはどうなってるんだ。
 ともかく開幕がすべてというわけではない。 今年一年間、今日みたいなスリリングな試合を見せて頑張ってほしい。 いや、最終的には負けてるってことを期待しているわけではないぞ。

 昨夜『記憶』(西谷 史)、今日『ピタゴラスの時刻表』(吉村達也)を読了。 なんだかなあ。


3月29日(水)

 有珠山噴火か?23年前の記憶がうっすらと蘇る。

 旭○成といえば、イヒ!で有名になったヘンな会社である。 いや、本当は男性諸氏には水着キャンペーンガールがお馴染みのような気もする。 2000年は佳原ゆみという高校生だが、初代はあのアグネス・ラムだし、最近では小松千春、松嶋菜々子、小野砂織などが選ばれている。 え、ちゃんと繊維メーカー最大手の企業として知ってるし、商品としてならサ○ンラップがあるやろって? それは失礼。 それに陸上長距離界では最強といってもいいチームをもっている点でも有名だろう。 でも「何かと何かが一緒になって、いいものができると、イヒ!」なんてCMをやってる会社がただですんでるわけがないのだ。 例えば、美音メールなんてことをやってるのを知っている人はあまりいないはずだ。
 美音メールと書いてミオメールと読む。 これは評価版段階の音声電子メールソフトである。 自分の肉声を録音して、それをメールで送れるというわけだ。 そのこと自体は別にどうってことない。 旭○成がコンピュータソフトに進出したのか、と思うくらいである。 ところが、これには操作を案内する音声ガイダンス機能がついているのである。 例えば、メール作成をクリックすると「新しいメールを編集します」と語り掛けてくるのだ。 しかも、肉声を録音したものだから電子音と違って安心感もある。 便利じゃないか、と思われるだろう? 確かに便利である。 ところが、これも何度か使っているうちに飽きてくるだろうというわけだ。 で、そのガイダンスの音声データをそっくり入れ替えるようにした美音カートリッジなるものが作られている。 こいつがどうにもこうにもおかしいのだ。 全12種類のカートリッジがあるのでここですべては紹介できない。 美音メールのページへ行って自ら体験することをお勧めするが、折角だから少しだけ。
 一番単純なのは、<初心者用音声ガイダンス(for ladies)>である。 これは標準のガイダンスが女性の声なので、女性ユーザ向けに男の声になっているのだ。 その説明コメントには、標準の甘ったるい声にムカッときた人は急いで男声カートリッジをダウンロードしてくれ、みたいなことが書かれている。 まあ、この程度ならふぅんてなものである。
 ところが、例えば<ボイスソルジャー>なんてのがある。 これは今から8000年後を想定している。 第4次宇宙大戦が勃発し、人類は肉声に含まれる思念波を敵の精神中枢めがけて放射するという攻撃方法をとっているという。 つまり、言葉そのものが武器なのだ。 そこでユーザは新兵としてその最前線に送り込まれ、教育担当の軍曹に叱咤激励されながら、ボイスソルジャーになるべく指導を受けて音声メールに熟練するというわけだ。 <ある日突然通信兵>では第2次世界大戦の真っ只中にタイムスリップして通信兵を命じられるという設定だし、<美音女子学院>は女子高の新任教師として赴任してきたことになってるし、<さすらいのドライバー>は完全に何かになりきってるし……。 なんじゃそら、である。
 しかも、音声ガイダンスがまた不思議な世界をかもしだしているのである。 例えばメール作成を選んだとしよう。 <初心者用音声ガイダンス(for ladies)>なら男の声で「さあ、メールをつくってみよう!」と流れてくるのでよくわかる。 ところが<ボイスソルジャー>だと「力のない言葉なら撃たないほうがましです」とくる。 しかも何種類かあって「いいですね、無機質な文字とは違うのですよ」なんてのもある。 これがメール作成かぁ? <ある日突然通信兵>なら「ドンパチの真っ只中だ、もっと腹から声を出せ!」だし、<美音女子学院>なら「先生、今日はテキストの何ページからでしたっけ?」である。 <さすらいのドライバー>に至っては「行き先は車に聞け、か?」だと。
 それに<ミオン(幼女編)>は明らかにヤバイ方向へいっちゃってるし、<ヘーベルちゃん>を使うとヘーベルハウスの資料請求ができるときた。 本当に旭○成の社長はこんなこと自社ホームページ上でやってるのを知ってるのだろうか。 そうだとしたら凄すぎる。 そうでなかったら危なすぎる。
 興味のある人はページに飛んでいってもらえばいいが、くれぐれも私に美音メールを送りつけてこないように。 必ず送り返してやるからな。


3月28日(火)

 春雷の中、出張で隣県へ。

 何のはずみだったか、決闘という話になった。 憎悪のため、または名誉回復のために、お互いの同意のもとで一定のルールにしたがって行われる闘争、それが決闘である。 あるいは愛する誰かを巡ってというロマンチックな場合も用意されているかもしれないが。
 「やっぱり決闘っていったら手袋を投げつけるところがええよね」
 「タカラヅカ的なマンガの読みすぎちゃう」
 「何いうてんの、白い手袋はつきものやって」
 「なんで投げつけるんやろね」
 「さあ、決闘の起源って何なん。 軍隊とか?」
 「全然逆やろ。 そんな規律あるところで私闘を認めたりせえへんもん」
 「バビロニアあたり?」
 「なんでそんなに古いねん」
 「だって「目には目を、歯には歯を」やろ」
 「それは刑罰やろ。 どんなに譲っても復讐にしかならん」
 「そんならいつやの」
 「どうもゲルマン民族の風習が始まりらしいで」
 「ナチス?」
 「なんで今度はそんなに新しいねん。 決闘が認められたのは中世西ヨーロッパなんやて」
 「それまでは認めてもらえんかったわけ?」
 「詳しいことは知らんけど、神の審判として合法化されたみたい。 まあ一種の裁判やね」
 「でも裁判で手袋投げつけるっていうのは法廷侮辱罪に問われそうやん」
 「中世の話やっていうてるやろ。 まあ、その後、15世紀ごろにフランスで名誉のための決闘が生まれたんやって」
 「ああ、フランス、名誉を求めた決闘。 まさにタカラヅカ!」
 「その後、アメリカに伝わって西部開拓時代に盛んになったというわけ」
 「うーん、真昼の決闘、ハイ・ヌーン。 カッコええなあ、ゲーリー・クーパー!」
 「ずっとやっとれ」
 「そうするとどうやら手袋投げつけるんはフランスあたりが起源みたいな気がするな」
 「なんでやの」
 「上流階級っぽいやん。 それに西部では悠長に手袋なんかしてないやろ。 拳銃も撃ちにくいし」
 「ようわからんから、まあええわ」
 「きっと三銃士の頃の話なんやわ。 おお、アレクサンドル・デュマ!」
 「チャーリー・シーンの間違いちゃうのん」
 「馬鹿にしたらあかんよ。 そんなぽっと出の若い奴なんかたいしたことあらへん。 こう見えても血筋にはうるさいんやから」
 「まさか、血統には目がないんです、なんてオチやないよな」
 「もうっ、言うたらあかんやん! 血糖値が上がってもうたわね」
 春の嵐が吹き荒れる今日はちょっと肌寒かったようで……。


3月27日(月)

 昨日はオフ会、楽しかったぁ!

 土曜日の夜7時過ぎ、家を出てバスターミナルへ。 東京行き夜行バスに乗るのだ。 7時50分発、松山道・高松道から瀬戸大橋経由、山陽道・中国道・名神・東名を通って品川に、早朝6時50分着。 早すぎてどこも開いていない。 やっと喫茶店を見つけて朝食をとりつつ、本を開いて時間を潰す。 と、気づくと時計が止まっている。 まずい、時計屋も探さなくては。 とりあえず店が開き始めるのは10時頃からだろうからと有楽町の映画館へ向かう。 地元では何故かやっていない「ケイゾク/映画」である。 相変わらず柴田はいい味を出しているが、ちょっとパワー不足かも。
 その後、書店へ向かう。 まずは専門書コーナーへ。 なかなか地方には置いていないので都会に出たときはかならず立ち寄るのだ。 ここで3冊買ってから文芸書コーナーへ。 しかし、ハードカバーはともかく文庫で掘り出し物は見つからず、『眠れぬ夜の殺人』(岡嶋二人)だけを買う。 古本屋を少し回ってみたが日曜で休みが多くてちらちら覗いただけ。 あ、まだ時計止まったままだ。 慌てて時計屋を探して電池交換。 そろそろ時間だ、新橋駅へ向かう。
 場所を確認した後、周辺をうろうろして5分前くらいに待ち合わせ場所に。 武志さんしか顔を知らないので人待ち顔の人を見てはもしかしてと思いつつ、武志さんのページにアップされていた写真を思い出してふるやまさんらしき人の近くに立ってこちらの人待ち顔。 そこに現れてふるやまさんらしき人と親しげに話す若い衆。 ん、ヒデさんかなyangさんかなと踏ん切りがつかないでいるところになかじまさんらしき人が現れて合流したので思いきって声をかけると、やっぱりそうだった。 そこへ武志さん、相沢さんたちも集まってきて、あそこでずっと待ってるのがじろさんじゃないのという話になった。 何を思ったか武志さんがヒデさんに「じろさんって叫んで」というと、ヒデさん何も思わずに(失礼!)「じーろさ〜ん」と本当に叫ぶ。 凄いやこのコンビと思うまもなくやっぱりらしき人がじろさんだった。 midoriさんが遅れるということで1次会の場所へ。 なかじまさんと話しながら歩く。 といつの間にかmidoriさん合流。
 こんな調子ではいつまでたっても終わらないので一気に端折る。 yangさんが1時間ほどで帰ってしまわれたのと、midoriさんとじろさんの女性陣とはほとんどお話できなかったのが残念。 女性に慣れるには時間がかかるのである。 yangさんは細身の真面目で聡明そうなお方、midoriさんはしっかりものの気さくなお母さん、じろさんはほんわかしていて優しそうな女性という印象だった。
 1次会でお隣になった相沢さんは、さわやかでカラオケも格好よかったしとても○○には見えない。 でも、くれぐれも私は黄色い襟とあっちの気は持ってないので(笑)。 1次会お向かいのヒデさんは、明るくて元気で話し上手でなかなかしっかりしてて好感もてた。 でも、私を叩いてもあんまり埃は出ないぞ、多分(笑)。 なかじまさんは、大人の中にこっそり子供心を潜ませた優しくも茶目っ気のある方。 権田萬治氏の日本探偵作家論だったか、本当はちょっと見せていただきたかったりして。 ふるやまさんは、静かなのに口を開くと蘊蓄が飛び出し只者でなさを醸し出す不思議な方。 只者でなさはカラオケでもいかんなく発揮され、ちょっと悔しかったりする。
 武志さんとは8月以来。 腰を痛めて手術もされたのだが、元気そうでホッとした。 相変わらずいいキャラクターをしていて憎めないタイプである。 直前の参加電話にも嫌な顔ひとつせず対応してもらって、幹事様様、ありがとサンサンなのである。 彼が尾道に引っ越した暁にはオフの中心を西に移すべく2人で奮闘しようと堅く誓い合った……ということにしておこう。
 2次会のカラオケの後、男だけになった3次会を居酒屋に移し、少しずつ舌も滑らかになったところがもう帰りの時間。 ふるやまさんの一言がなかったら、このまま居座ったろかいなと思ったほど居心地がよかった。 後ろ髪引かれる思いで1人立ち上がり、駅へと向かう。 そして浜松町からバスに乗り、19時50分、東京を離れる。 気持ちいい酔い心地で本を開きつつ、西へ西へ。 翌朝、6時10分、無事ターミナルに到着し、帰宅。 小旅行に終わりを告げた。

 『魔法飛行』(加納朋子)『地下街の雨』(宮部みゆき)を往復のバスの中で読了。


3月25日(土)

 東京へ行こう、ヤッホー、夜行!

 本日もフィクション会話。 始まりは同じく。
 「携帯からのメールって、文字うつの大変やろ」
 「慣れたらそんなことないよ。 時代はモバイル時代やしね」
 「それをいうんやったらネットワークだけじゃなくてコンピュータも使えなな。 モバイルコンピュータはどうなん?」
 「まだ高いやん。 それにメールくらいしか使わんし」
 「メール、メールいうてるけど正式にはe-メールっていうことくらいは知ってるやろね」
 「そのくらいわかってるよ」
 「"e"って何の略かは?」
 「電子メールのことやから"electronic"かな」
 「ここではボケんかったか」
 「え、期待してた?」
 「いやいや。 それより最近、e-ビジネスとかe-コマースとか何かと頭に"e"をつけたがってるよね」
 「ようわからんけど、I○Mがコマーシャルでやってるよね」
 「e-ビジネスは電子ビジネス、e-コマースは電子商取引ってこと」
 「そんならe-顕微鏡ってのもあり?」
 「同じ電子でも意味が違うって」
 「今までの顕微鏡よりもいい顕微鏡ってこともいいたいわけで」
 「そら昔かって「♪ABC ABC アー、E気持ちぃ」って歌ってたけどね」
 「なにそれ。 どっかの深夜番組のA女E女みたいなもん?」
 「ヒロくんを知らんのか!」
 「さあ? ちちくりマンボとは違うやろ」
 「ついでにspeed解散した後のhiroとも違うで」
 [それはええとして、ほなe-レンジはありやろ」
 「そやから同じ電子でも…… そういえばなんで電子レンジっていうんやろ」
 「電子をぶつけて暖めてるんちゃうん?」
 「ちゃうよ、マイクロ波あててるんやで。 電磁波や」
 「ははーん、電磁レンジがなまったんや」
 「ま、それはそれとして……」
 「放っとかんといてや!」
 「頭に"e"をつけるってのは既存のシステムにネットワークとコンピュータを取り入れて新しく展開するってのがコンセプトなんよね」
 「えっ、ほんなら「E気持ち」ってコンピュータネットワークを使うたリラクゼーションミュージックってこと?」
 「そやから違うっていうてるやろ」
 「ああ、大文字やもんね」
 「えーと、そんなわけでこれからいろいろ"e"のつく商品が出るってわけや」
 「構ってやぁ!」
 「次回は"e"を冠した新商品を紹介することにしよか」
 「なんやの次回って。 でも"i"のつくのも増えてるで」
 「iMacとiBookだけやん」
 「i-modeもあるよ」
 「まあね。 そやけど"i"ってあんまり展開しそうにないもんなあ」
 「でも、e-OneはiMacに負けたしね。 やっぱり「♪最後に"i"は勝つぅ〜」ってことよ」

 『大年神が彷徨う島』(藤木 稟)『名探偵は密航中』(若竹七海)『ifの迷宮』(柄刀 一)を買う。 いずれも注目の作家。


3月24日(金)

 強風黄砂注意報発令、車は真っ白。

 本日のフィクション会話。 一部ノンフィクションだったりして。
 「携帯からのメールって、文字うつの大変やろ」
 「慣れたらそんなことないよ。 パソコンのキーボードの方が探すの大変やし」
 「ブラインドタッチできるようになったら簡単やで。 誰かの買うたタイプ練習ソフトがおいたるやろ。 それで練習したら?」
 「北斗の拳とあしたのジョーやろ。 あれうるさいやん。 「西暦20XX年、人類は……」とか前置きも長いし」
 「あんなもん左クリックしたらスキップするのに」
 「え? 知らんかった。 でも、北斗の拳はミスったら自分が殺されるし、うまく打てたら相手の内臓見せられるし、気分悪いわ」
 「その点はあしたのジョーの方がましやろ」
 「でもどっちも格闘技系やからね。 あんまり好きやないんよ」
 「どんなんだったらええん?」
 「そうやね、街角ナンパ編とかないんやろか」
 「なんやそれ」
 「ジョーが街に出て、歩いている女の子に声をかけるんよ」
 「なんでジョーやねん」
 「別にケンシロウでもええんやけど堅そうやん。 「おまえはすでにこえをかけられている」ってなんねんで」
 「そういう意味やないって。 まあ誰でもええわ」
 「それで出てくる文章を打つわけ。 例えば、 「いま、ひま? おちゃのみにいかへん」」
 「なんで関西弁やねん」
 「やりやすいやん。 「そのふく、ようにおうとるで。 どこでこうたん?」 「てんきもええし、どっかあそびにいこや」」
 「そんな文章しかないんかい!」
 「そら最初は単語やで。 「おちゃ」「あそぼ」「おごる」とかね。 で、失敗したら逃げられるけど、成功したら喫茶店行ったり、遊園地行ったり、ホテル……」
 「18禁ゲームか!」
 「うまくなったらだんだん綺麗な子が現れることになってて、さらに過激な……」
 「過激な?」
 「それは言えん」
 「もうちょっとマシなタイピングソフトないんかい」
 「ふむ、旅行に出るってのはどうやろ。 まず近場から行き先を選ぶんよね。 例えば道後温泉」
 「めちゃめちゃローカルやんか」
 「駅で切符を買うとこから始まるとして」
 「もうちょっと先へ進んどけよ」
 「券売機の前で「どうご」って打つ」
 「道後なんて駅ないんちゃうん」
 「ええんよ、バーチャルなんやから。 で、何人分って出たら「ふたり」」
 「誰と一緒やねん」
 「そやかて温泉にひとりはつらいやろ。 金額を打ちこんで切符が出てきたら「どうも」」
 「自販機に礼してどないすんねん」
 「これでミスると切符も買えん」
 「先長そうなねぇ」
 「電車降りたらタクシーつかまえて「どうごおんせんまで」」
 「文が長うなっとる」
 「ホテルはどこですかって聞かれるから「にゅーぐらんどすぺしゃるです」」
 「なんちゅう名前や」
 「タクシーの中でも「きょうはてんきがいいですね」」
 「いちいち話しかけんでもええやん」
 「ここで失敗したらタクシーの運ちゃんに怒られて放り出される」
 「いつになったら着くんや」
 「まだ初心者クラスで何いうてるん。 上級者レベルのハワイ行きはパスポートから取りに行かなあかんし、最上級のヨーロッパ旅行は英語はもちろんフランス語やドイツ語 も……」
 「タイピングソフトとちゃうやん」
 「総合学習ソフトにグレードアップやね。 タイプ練習を兼ねて語学、地理、歴史、文学、数学……」
 「数学ってどういうこと」
 「円をドルにするとか、フランをマルクに換えるとか」
 「算数やん」
 「ベネルクス三国を因数分解すると?」
 「ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、って地理やんか」
 「文系学習ソフトに格下げ?」
 「どうでもええけど、タイピングは上達するんやろね、そのソフトで」
 「歴史に強いか、語学が得意か、っていうのはわかるよ」
 「もともとタイピングソフトなんやろ」
 「そう、あなたはこの分野に向いてますって適性をみるわけやね」
 「???」
 「タイピングってタイプ分けってこととちゃうん?」
 長い割りにオチが弱かった。 落ち着けずに申し訳ない。


3月22日(水)

 もんじゅの運転差し止め訴訟は住民敗訴。

 今日もテレビショッピングパターンで、ただし国内編。
 「みなさん、こんばんは。 テレビ商店街の時間がやってまいりました。 ご案内は私 沢村五郎と」
 「時田陽子です。 さあ、早速参りましょう!」
 「本日最初の商品は『形状記憶原子炉みろく』です」
 「最近はいろんな原子炉が出てきてますけど、これは優れものなんですよね、木下さん」
 「はい、そうなんです。 今までの携帯用原子炉は持ち運ぶときに身体にフィットしなくて違和感があったんですが、この『みろく』は形状記憶プラスティック製なのでどこにでも自由に取りつけられるんです」
 「私が今使っている原子炉はベルトに差し込むタイプなんですけど、座った時に身体と椅子の間に挟まれて気になってたんですよ」
 「ええ、そういう無理な圧力がかかると原子炉が暴走することもありますからね」
 「説明書には大丈夫って書かれてあっても、動燃のいうことは信用できないので不安が残るんですよ」
 「そんな方にはこの『みろく』です。 このように自由にぐにゃぐにゃと曲がりますし、伸びもありますので、例えばリストバンドのようにして装着することができます」
 オーッ!
 「色もゴールド、シルバー、パールホワイト、マリンブルー、エメラルドグリーン、ショッキングピンク、ブラッディレッド、イエローモンキーと8色揃っていますので、お好みに合わせて使い分けができます」
 「時田さんもつけてみたら」
 「じゃあ私はこのショッキングピンクを首に巻いてみようかしら……。 どう?」
 オオーッ!!
 「ほう、何とも下品な感じが…… いやいや、情熱的な感じがしてお似合いじゃないですか。 十分アクセサリーにもなりますね」
 「もちろん、外見だけでなく中身も充実してます」
 「脱いでも凄いんですってやつですね」
 「沢村さん、それはもう古いですよ」
 「原子炉としてのパワーは従来の2.5倍(当社比)で、しかも燃料リサイクル率95%、放射線カット比99%と高スペックを誇っています」
 エエーッ!!
 「なるほど、これまでの製品に比べて格段に低い被爆率となるわけですね」
 「ここでちょっと会場のみなさんに聞いてみましょう。 いかがですか」
 「朝が弱くていつも遅刻してたんですが、このパワーでブッ飛ばせば通勤時間が短縮できるので助かります」
 「『みろく』対応のエンジンもありますから是非使ってください」
 「最近、胃ガン気味で困ってたんですけど、これなら一気に解消できそうですね」
 「あらあら、放射線漏れの激しい劣悪品を使ってたんじゃないですか。 それともまさか原子炉からの微量放射線でガン治療を試そうと思ってるんじゃないでしょうね」
 「さて、木下さん。 恐いのはナトリウム漏れと臨界だと思うんですが、そちらについてはどうですか」
 「それについてはまったく心配ありません。 何しろナトリウムフリー、業界初の空冷原子炉なんです。 そしてなんといってもJCOのお墨付きですから」
 ヒエーッ!!
 「あれ、そういえば時田さん。 いつの間に首につけた『みろく』をマリンブルーに取り替えたの?」
 「いいえ、さっきからずっとそのままですよ」
 「おかしいなあ、色が青くなってますよ。 それに何だか輝いているようだ。 木下さん、こんな隠し機能があるんなら教えておいてくださいよ」
 「あ、これはですね、滅多に見られない現象でして……」
 「どうしたんですか、マニュアル繰ったりして。 早くしてくださいね。 会場のみなさんが待ってるじゃないですか」
 ブーブー!
 「あ、わかりました。 えーとこの色はですね。 そう、チェレンコフブルー」
 「チェレンコフブルー?」
 「つまりですね…… 臨界だぁー!!」
 ギャーー!!

 昨日『絹の変容』(篠田節子)を読み終え、『魔法飛行』(加納朋子)を買って早速読み始める。



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