魅 館 果 汁

<00年4月下旬>


prev next back

4月30日(日)

 やっぱり出来過ぎだったのかタイガース、9連勝の後の3連敗は痛い。

 とある資料で大学の創立時の名称というのを読んだ。 古い学校制度に詳しくはないが、明治に欧米の高等教育制度が導入された際に大学の種となる学校や塾が生まれ、明治10年の東京大学の創立を端緒に次々と設立されたという。 明治19年に設立された旧制高等学校も現在の大学の元となっている。 第一高等学校こと一高は東京大学教養学部の前身だし、同様に二高は東北大学教養部、三高は京都大学教養部といった具合である。 また、北海道大学の前身が札幌農学校というのは有名だが、大阪大学が大阪薬学専門学校というのはちょっと意外だった。 秋田大学が秋田鉱山専門学校、信州大学が上田蚕糸専門学校、富山大学が富山薬学専門学校というのはさもありなんといったところか。 私大になると面白いものが数多くある。 京都には浄土宗教育資団、真宗大学、臨済宗大学など仏教系の大学が林立している。 それぞれ仏教大学、大谷大学、花園大学の創立時の名称だ。 龍谷大学に至っては学寮といったらしい。 慶応大学が慶応義塾から始まったのはいうまでもないが、早稲田大学の創立時に早稲田の文字は入っていなかったのも初めて知った。 同志社大学が同志社英学校というのはわかるけれど、立命館大学が京都法政学校だったというのはなんとなく解せない。
 ここでちょっと問題を。 次の左欄の各大学の創立時の名称を右欄から選んでみてほしい。

駒沢大学
拓殖大学
中央大学
東京工業大学
東京農工大学
東京理科大学
東洋大学
日本大学
一橋大学
法政大学
早稲田大学
東京専門学校
東京法学舎
東京職工学校
東京物理学講習所
東京高等商業学校
東京高等蚕糸学校
日本法律学校
英吉利法律学校
台湾協会学校
私立哲学館
曹洞宗大学林専門本校

考えてみればなんとなくわかると思う。 創立当時の様子がなんとはなく垣間見えて興味深く、今の個性のなくなった大学との違いを感じさせてくれる。

 『UNKNOWN』(古処誠二)読了。


4月29日(土)

 みどりの日、気持ちよく晴れ上がった一日、散髪してから出勤である。

 「ほんパラ!関口堂書店」という番組がスタートした。 客であるゲストが選んだテーマに合った本を店員がそれぞれ選んで紹介するというもの。 本を焦点にあてたテレビ番組というのは珍しいのでつい見てしまった。 今日のテーマは「今すぐ天才になれる本」。 まあ馬鹿なテーマであるといいきってよいだろう。 しかし、正直なところ人間の強い願望のひとつではある。
 紹介されたのはまず「天才マイケル 育児の秘密」である。 未熟児として生まれながら4ヶ月でしゃべり、3歳で小学校入学、10歳で大学を卒業した少年マイケルの成長の記録だ。 納豆が秘密の源、などといういかがわしい記述もあるが、一番大事なのは子供に自分自身を教育させることという。
 次に「胎児はみんな天才だ」。 これは4人の娘すべてのIQが160以上という夫婦の胎教ハウツー本である。 モーツァルトで起床、2時間は絵本を読んで聞かせ、夜は父親が一日の出来事を報告する。 こうして一日の1/3を胎教に費やした。 秘訣は愛情と忍耐、そして父親の協力であるという。
 続いては赤ん坊や子供相手ではなく大人になっても有効だという「頭にはこの刺激がズバリ効く!」。 溺死レーニングや這い這いトレーニングなど、記憶力や集中力をアップさせる方法を紹介している。 一応の科学的根拠ももっており、実験でそれなりの成果も出している。 こういう奴が一番恐い。
 4冊目は毛色を変えて遺伝子操作の発達を危惧した近未来予測本である。 「複製されるヒト」は親の希望をすべて満たしたデザイナーチャイルド、人工的に設計された赤ん坊が氾濫するようになるとしている。 さらにそれが押し進めば、ノーマルなヒトとデザイナーチャイルドが二つの種に分かれてしまうとまで警告している。
 そして最後は小説である。 脳の手術によって知能を向上させたチャーリー・ゴードンの物語。 そう「アルジャーノンに花束を」だ。 人間の幸せとは何なのかを深く考えさせる。 ある意味で今日のテーマを根底から覆す強烈さを持っている。
 番組の企画としてはおもしろい。 本気で推薦してくれるのなら見てもいいかなと思うが、その点はテレビ番組にあまり期待していない。 心配なのは「アルジャーノンに花束を」でもストーリーをほぼすべて紹介していることだ。 小説のネタを割ることがどこまで許されるのか、十分注意してほしい。 もし嵌まれば読みたい本がまた増えることになるのだが、さてどうなることやら。

 『ifの迷宮』(柄刀 一)を読み終える。 うーん、久々の読了本である。


4月28日(金)

 あれれ、いつの間にか世間は明日からゴールデンウィークなのか!?

 赤いセロファンは何色か、という問題がある。 赤いセロファンは赤に決まってるじゃないかと思うかもしれないが、実はここには落とし穴があるのだ。 謎かけでも、言葉遊びでもない。 純粋に自然科学の問題としてである。 色を知るためには光と視覚について知る必要があるのでそのあたりからおさえておこう。

 光とは何だろうか。
 狭義には目を刺激して視覚を生じさせる可視光線、広義にはこれに紫外線と赤外線を加えた電磁波の総称である。 光は波と粒子の性質をあわせもっている。 今は可視光線の波としての性質を見てみよう。 波は振動しているが、1秒間に何回振動するかを振動数という。 可視光線の振動数は4×1014〜8×1014、つまり1秒間に数100兆回も振動しているのである。 想像できないほどものすごい状態だ。 そして秒速30万kmという速度でかっ飛んでいくわけだ。 すると波の山と山との間の長さ、いわゆる波長が計算できて、可視光線の場合、0.38〜0.78ミクロンになる。 1ミクロンが1000分の1ミリメートルだからその短さがわかるだろう。
 太陽光や蛍光灯の光は白色光といって色がついていないが、これは可視光線全域に渡る波長の光をすべて含んでいるからである。 これを波長に応じて分光すると、虹のように様々な色に見える。 虹は七色というのは日本での話であって、他の国では6色だったり8色だったりすることもあるらしい。 それは当然のことで、虹の色というのは連続的に変わっているから、どこで色が違うと判断するかで分け方は幾通りにもなりうるのだ。 波長が短い0.4ミクロン程度の光は紫、0.5ミクロンくらいで緑、0.6ミクロンなら黄色、0.7ミクロンより長いものは赤い光ということになっている。

 視覚とは何だろうか。
 視覚の受容器は網膜にある視細胞である。 角膜や水晶体のはたらきによって物体の像を網膜上で結び、これが視細胞を刺激して視神経に電気信号を送る。 この信号が脳の後頭葉にある視覚領に届いて認識に至る。 前者は網膜周辺部に多く存在して明暗を感知する。 後者は網膜の中心部に偏在して色を識別する。 錘状体にはそれぞれ青、緑、黄に対して最も感受性の高い色素を持った3種類がある。 黄色に高い感度を持つ錘状体は赤にも十分対応し、光の三原色たる青、緑、赤に感じる機能が備わっていることになる。

 では、ものが見えるとはどういうことだろうか。
 自ら発光している物体でなければ、他から光があたらないと物体は目に見えない。 逆にいうと光があたると物体が見える。 これは、その物体にあたった光が反射して目に飛び込んでくるからだ。 このときすべての光が反射するわけではない。 さまざまな波長の光のうち、一部がその物体に吸収され、残りが反射して我々の目に入ってくるのだ。 したがって、反射する光の波長に対応した色がその物体の色として認識されることになる。 もう少しわかりやすく言おう。 白色光が物体にあたり、黄色などの光が吸収されて青い光だけが反射して目に入れば、その物体を青い色であると知覚するのだ。 つまり、波長でいうと0.38〜0.78ミクロンのいろいろな光が物体にあたったのに、反射してきたのは0.45ミクロン付近の光だけだったということになる。
 このように、我々が見ている物体の色とは、物体が吸収できずに反射してしまう光の色といってよいのだ。

 ここで最初の問題に戻ろう。 赤いセロファンは何色か。 赤いセロファンが赤く見えるのは、セロファンが赤以外の光を吸収して赤い光を反射しているからだろうか。 そうではないことに容易に気づくだろう。 赤いセロファンは、赤い光を透過するから赤く見えるのであって、決して赤い光を反射しているわけではないのだ。 では赤いセロファンは何色だというのだろうか。 これはセロファンの反射光を調べてみないとわからない。 黒い布か紙の上にセロファンをおいて白色光をあててどのような色に見えるかを判定すればよい。 実はやっぱり赤い光を反射するかもしれない。 黄色かもしれないし、緑かもしれない。 したがって答えは、セロファンの材質や状態によっていろいろな場合があり得る、である。

 上の話は『人はなぜ騙されるのか』(安斎育郎)の中の話題である。 人間の脳は、部分から全体を推定し、時系列に沿って起こった関連事象を結合して、因果関係に則って捉えるはたらきをもつ。 初めて経験する対象に対しては、それが示す性質を分析しその特徴を規定して記憶する。 次に同じ対象に出会ったときは過去の記憶とその特徴を比較して合致していれば同じものとして認識する。 それが何度も繰り返されているうちに比較認識過程が徐々に省略されてくる。 そのおかげで一目見ただけでその対象がなんであるかを認識できるようになるのだから非常に便利な機能である。 ところが、これが思い込みという陥穽への入口でもある。 よく似たものを提示されたとき、比較認識が十分になされずに誤認することがあるわけだ。 赤いセロファンは我々に錯誤という色を見せてくれる。


4月26日(水)

 来春からのサッカーくじの愛称はトトに決定。

 横浜の誘拐事件でプリペイドカード式の携帯電話が使用されたことが問題視されている。 前払いなので買う時に身元確認がいらないし、使い過ぎる心配もないという簡便性がうけて普及し、40万人ものユーザがいるという。 私は使ったことはもちろん見たこともないが、業者から指定されたカードにある登録番号を入力することによって一定時間の通話ができるらしい。 使い終わった後の電話機の行く末は心配だが、便利は便利なのだろう。 それを悪用した犯罪が増えているというわけだ。 去年の12月の誘拐事件でも使われたし、覚醒剤取引に44件、売春の連絡用に19件、詐欺に12件、さらに婦女暴行や強盗、殺人などの凶悪事件も目立ち始めた。 警察庁としては何とか対策を練りたいところだが、郵政省は消極的である。
 さて、プリペイドカードはその利便性から徐々に使用範囲が広がっている。 テレフォンカードがそのはしりとされているが、商品券や図書券もその一種である。 JRのオレンジカードのような公共交通機関やパチンコ、それに最近はホテルの有料テレビもカード式になっている。 ネット時代を反映してプリペイド電子マネーカードというものもある。 インターネット上での支払用カードで、記載された英数字を入力することで電子決済ができる。 プリペイドインターネットカードは、カードに書かれているユーザIDとパスワードをブラウザに設定してそのプロバイダに接続すると、所定の時間だけネットサーフィンができるというものだ。 こんな時代、いろいろとプリペイド商品ができても不思議ではない。

 プリペイドレンタカー: キーの代わりにカードを入れるとエンジンが始動する自動車。 カードで決められた走行距離をオーバーすると自動的にエンジンが停止する。 事故や路上放置の原因となり、警察庁では自粛を求めているが運輸省は首を縦に振らないのが現状。
 プリペイド自販機: 各飲料メーカーが独自に発行するプリペイドカードを使って利用できる自販機。 自社自販機は割引き料金だが、他社自販機には割高になる。 タバコ会社も実施を決定し、これに続けと明るい家族計画メーカーも検討中。
 プリペイドカード専用プリペイドカード: プリペイドカードが手軽に自販機で買えるようになったのはいいが、普段現金を持ち歩かなくなった人のためにいろんな種類のプリペイドカードを買うことのできるプリペイドカード。 クレジットカードを悪用されることを怖れる人たちに人気だが、一部の人からは「意味ないじゃん」の声も。

 そのうちにカードではなく商品そのものに識別機能がつくようになるかもしれない。

 プリペイドビデオ: 貸し出しから48時間限定で見ることができるビデオ。 これを過ぎてから見ると一週間後に死んでしまうという呪いがかかる。 そのため、通称リングビデオとか貞子ビデオと呼ばれている。
 プリペイドテープレコーダー: このレコーダーでテープを聞き終えると 「なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る」 と告げて白煙をあげながら壊れてしまう。
 プリペイド商法: とにかく前払いなのである。 何が送られてきても、送られてこなくても文句はいえない。 クーリングオフなど関係ない。 騙された方が悪いのである。

 やがては商品ですらなくなるかもしれない。

 プリペイド大学: 入試前に入学金を多めに支払えば、誰でも入学できるシステムの大学。 旧来は裏口入学とも呼ばれていた。 学生証をじっくり見るとプリペイド入学者かどうかが判別できるようになっているが、そのことは一部関係者の極秘事項である。
 プリペイド夫婦: 期間限定で互いに金を出し合って結婚する夫婦。 期間が過ぎると別れることになるが、恨みっこなしというのが基本条件。 もちろん、延長は自由。
 プリペイド宗教: 前もってお布施を払っておけば、死んだ後に極楽や天国に行くことができる。 敬老の日の贈り物に最適。 ただし、長生きして有効期限が過ぎた場合は追加のお布施が必要。

 だんだんプリペイドの趣旨が違ってきてるって? ばれた?


4月24日(月)

 読書が進まないのはどういうわけなのだろうか。

 電子というとマイナスの電荷を持っているものと相場が決まっているが、宇宙は広いもので陽電子と呼ばれるプラスの電荷を持った電子も存在する。 そう、反物質と呼ばれるもののひとつだ。 それはヤバイものじゃないかと思う人もいるだろう。 反物質というのはこの世界にある物質と正反対の性質を持っていて、ふたつが出会うと爆発的にエネルギーを放出して両方とも消滅してしまうのだから。 これはエヴァンゲリオンで有名になったという話も聞く。 ポジトロンライフル、そしてそれを改良した陽電子砲という武器に使われているらしい。 その使用には日本中の電力を必要としたというから、その役立たず具合が見て取れる代物ではある。 しかし、実は陽電子というのは意外と身近に存在しているのだ。 といっても、ふだん使っている電子レンジの中で発生していたり、滝や噴水のまわりにたくさん生じていたり、青白く漂う火の玉の正体であったり、というわけではない。 宇宙から降り注ぐ宇宙線から生まれているのだ。 えっ、そんなのちっちも身近じゃないって? いやいや、それは知らないだけであなたのまわりは実は宇宙線に満ちているのだ。 ほら、宇宙船地球号というではないか。 あれ、宇宙戦だったかな? それはおいといて、ミューオンやニュートリノという言葉を聞いたことがあるだろう。 英会話学校や大阪の地下鉄のことではない。 ふたつとも地上どころか地中にまで到達する宇宙線である。 陽電子が最初に見つけられたのも宇宙線からであったのだ。 今では人工的につくることも可能である。 原子炉でβ崩壊する放射性同位元素をつくれば、そこから自然と陽電子が発生する。 また、加速器などで高エネルギー電子線を発生させて、重金属に入射することによってつくる方法もある。 いずれにしても金のかかる話である。
 さてどうしてこんな話をしているかというと、今日の新聞に陽電子放射断層撮影装置を使った高度健康診断サービスの全面広告が出ているのを見つけたからだ。 細かいことはよくわからないが、陽電子をマーカーとして断層写真を撮り、それから癌、心臓病、脳卒中などの兆候を早期発見できるということらしい。 さすがは高価な装置を使うだけあって、10年間の会員期間に対して入会金は30万円から、月会費は1万9千円からという。 たかが健康診断だが、それなりの価値はあるということなのだろう。 ところで、そんな危険な陽電子を人体に注入して構わないのか、という疑問があるかもしれない。 体内で電子と出会ってしまったら、大きなエネルギーを出して消滅してしまうとさっき言ったばかりではないか。 一体どの程度のエネルギーが発生するのか計算してみるとわかるが、大したことはない。 それにちょっとくらい電子が消滅しても問題ないし、同時に発生するガンマ線もわずかなので人体に損傷を与えるものでもない。
 エヴァで兵器に使用された反物質だなんて、空想上の話のようにも思えるが、実はこんな役に立っているのである。 SFもうかうかしておれない状況というのがこんなところにも現れている。 科学者の端くれの私としては、どうにも複雑な心境ではあるのだが。


4月23日(日)

 一晩中吹き荒れた風がややおさまった休日、結局出勤することになってしまった。

 「ガキの使いやあらへんで」のネタはききカレー大会。 本来は利き酒というのが始まりなのだろうが、それに倣ってきき水、ききワインなどが各所で行われている。 この番組では、これまでにきき缶コーヒー、ききお茶(缶入り)、ききタバコが試されてきた。 そして今回がききカレー。 レトルトカレーを20種類程度ならべ、前もって目隠しして食べたカレーをその中から試食しながら選んでいくのだ。 出演しているお笑い芸人5人は、普段からそれほどレトルトカレーを食べているわけではなく、全員が当てられなかった。 まあ、番組の趣旨が本当にききカレーをすることにあるわけではないので、それで十分おもしろかったのだが。
 これを見ていて思い出したのが、「探偵!ナイトスクープ」である。 とある大学生2人がそれぞれカレーの王様、カレーの殿様を名乗っており、どちらが真の王者かを選ぶという企画であった。 この対決は凄かった。 用意したカレーは50種類くらいはあったろうか。 まずは、そのうち10種類を試食して当てていくのだが、二人とも完璧に正解する。 次に目隠しをして当てさせるのだが、それもはずさない。 最後には2種類のブレンドが出た。 さすがに両方を当てることはできなかったが、一人は片方を見抜き、見事に決着をつけた。
 そうかと思えば「人気者でいこう!」の芸能人格付けチェックは、ワインや料理などの他、芸術作品なども交えながら、どちらが高級品かを当てさせるゲームになっている。 そういえばこの前、「しあわせ家族計画」だったかで、ある芸能人がきき紅茶にトライしていた。 こういうのが流行っているのだろうか。 いずれにしても味覚音痴の私には縁のない世界である。 味覚以外であれば勝負できるだろうか。 音楽的なセンスも美術的な感覚も優れているとは言い難い。 鼻炎持ちなので嗅覚も劣っている。 でも、化学薬品ならある程度はかぎ分けられると思う。 それも同業者の中では普通以上だという自信はない。 鈍感なのだ。
 感覚が鈍いということは周囲の人には迷惑かもしれないが、本人にとってはほとんど問題ない。 過敏な人はいろいろなことが気になって大変なのだろうなあ。 鈍感に生まれてきてよかった。 そう思わないと、どこかで損をしているような気がして落ち着かないだろう。 まあ、そんなことが気になるような神経質でもないのでうまくいっているのだ。 私の周辺の敏感な人には、こんな奴と付き合うことになって運が悪かったとあきらめてもらうしかないね。

 「UNKNOWN」(古処誠二)を購入。 やっと今月の講談社ノベルス新刊を見つけたと思ったら、これしかない。


4月22日(土)

 松本、中居の「伝説の教師」はなかなか笑わせてくれる。

 4月17日から23日までの一週間をなんというかご存知だろうか。 先週は女性週間だったし、来週からはみどりの週間である。 20日から26日は郵便週間で21日から27日は民放週間。 休みなしでいろいろとあるものだが、17日から23日は科学技術週間という。 4月18日が発明の日であり、これを含む1週間が毎年そのように決められている。 「科学技術に関し、ひろく国民の関心と理解を深め、もって我が国の科学技術の振興を図ること」を目的として、全国各地でいろいろと行事が開かれている。 講演会、見学会、公開講座、科学教室などなど。 うちの学校でもほんの少しだけだが、協力することになった。 ひとつは講演会の開催、もうひとつは各教官の研究内容紹介パネルを作ること。 私も、明日でこの週間も終わるという今日、休日出勤してやっとこさ作り上げた。 とはいっても、とりあえずの間に合わせなので、近々内容を入れ替えることにはなるのだが……。
 ところで、今年の科学技術週間の標語は「よくみてかんげき しらべてびっくり かがくっておもしろい」である。 一般公募の中から選ばれた小学2年生の女の子の作品なのだが、よくできている。 まずは視覚から入って興味を持たないと始まらない。 どうなってるんだろう、なんだか不思議だなあ、が最初である。 そして、実際に近づいて触覚に訴えるのだ。 なるほどこうなってるのか、凄いなあ、と思ってもらえれば、科学っておもしろいということにつながる。 この標語のように、多くに人に科学に関心を持ってもらえるように活動していきたいものだ。

 今日も勝った、タイガース。 7年ぶりの7連勝でついに2位になってしまった。 とはいえ、実は去年も同じ時期に6連勝して4月末から2位をキープ、6月に1週間ほど首位にも立ったにも関わらず、最終的には最下位だったのだから、手放しでは喜べない。 まだまだ、発展途上というか進化前のチームなのである。 しかし、嬉しいことにはかわりない。 二軍で開幕10連勝、一軍合流後6連勝と不敗を誇る旧(!)ダメ外人バトルの神話はいつまで続くか、楽しみである。


4月21日(金)

 寒の戻りで肌寒い一日だったが、勘の戻りはなくサブイ一日となった。

 友人に「昨日の夜、○○通りを走ってなかった?」と尋ねられた。 どうやらそっくりな人を見掛けたらしい。 これまでにも何人かに「パン屋に子供連れで現れた」とか「女の人と家具屋に入っていくのを見た」とか「レンタル店でエッチビデオを借りていた」だの「夜の繁華街をさまよっていた」などのいった声が耳に入ってきていた。 いずれも記憶にないことばかり。 世の中には自分とうりふたつの人が3人いるといわれる。 そのうちの1人が近所に住んでいるのだろうか。 そのそっくりな自分に出会うと数日以内に突然死するともいわれる。 それはドッペルゲンガーのことだったっけ? 自分の肉体から抜け出した魂が実体化した分身ってやつだ。
 「ドッペルゲンガーって知ってる?」
 「好きな女の子が近づいてくると鼓動が高鳴ることやろ」
 「いきなり訳のわからん返しをするなあ」
 「近くにくるにつれて心臓のドキドキが激しくなっていって、すれ違った後はだんだん落ち着いてくるわけよ」
 「いったい何の話をしてるんや?」
 「ドップラー効果やろ」
 「全然ちゃうやん! それに胸の高鳴りとドップラー効果は関係ないよ」
 「でも救急車が近づいてくる時はサイレンの音は高くなって、離れていく時は低くなるやろ?」
 「そう、それがドップラー効果や」
 「ほら、おんなじやん」
 「違うって。 それより、訊いてるのはドッペルゲンガーや」
 「ああ、あのプロゴルファーね」
 「そんな人おったか?」
 「ポール・エイジンガー。 41歳のベテランや。 今、PGAの賞金ランキング14位やぞ」
 「「ンガー」だけやん、合ってるの。 怪物くんのフランケンやないんやから」
 「それは「フンガー」とちゃうのん」
 「細かいことはええやろ。 ドッペルゲンガーの話をしとるねん」
 「はいはい、懐かしいなあ。 もう20年以上も前になるよねえ」
 「ん、今度は何や?」
 「「カイザーイン!」って叫んだら実写からアニメになるんよね。 あのチープさがたまらんのよ」
 「嫌な予感がするけど、それはなんていうヒーローなん?」
 「プロレスの星、アステカイザーを知らんのん。 永井豪の原作やで」
 「どっこも合うてないやん!」
 「細かいことはええっていうたん、自分やで」
 「ドッペルゲンガーや、ドッペルゲンガー! 自分の魂が抜け出した分身のこと」
 「誰が多摩市を抜け出したって?」
 「どこへ行くねん!」
 「府中をさまよいに」
 「わかりにくいねん。 魂のさまよう宇宙って、霊界か」
 「霊界で例会」
 「もうええよ。 霊も嫌やけど、ドッペルゲンガーも嫌やで。 そいつに出会うたら死んでまうんやさかい」
 「そもそも、なんでそんなもんが現れるわけ?」
 「死期の迫った人の肉体って魂を繋ぎ止めておく力が弱まってるから、抜け出してしまうという説もあるよ。 だから、ドッペルゲンガーに会ったから死ぬんじゃなくて、死ぬ間際の人しかドッペルゲンガーが現れないわけ」
 「ってことはドッペルゲンガーが現れたら、それに出会おうが出会うまいが近いうちに死んでしまうことには違いないってこと?」
 「そういうことになるね」
 「……そうか、長い付き合いやったけど、残念や」
 「なんや急に、どないしたん?」
 「ま、この世界には3人いるっていうからなあ。 他人の空似やと思ってたんやけど」
 「え、まさか?」
 「うん、さっきここに来る途中にね、会ったんよ。 いや、ほんまによう君に似てた」
 「……」
 「まあ、長生きしたからいうてええことばっかりとは限らんしね。 っていうても慰めにはならんか」
 「……そいつは兄貴かも知れん」
 「えっ? 君、一人っ子やん」
 「実はぼくらは小さい頃に生き別れた一卵性双生児の兄弟で、弟の方は捨てられたわけや。 ものすごい苦労をして成長した弟がつい最近、裕福な暮しをしてる兄の居場所を突き止めたんや。 それで嫉妬のあまりに弟は兄に手をかけてしまって……」
 「君のとこ、結構金持ちよね……。 君は兄さんなん? 弟さんなん?」
 「……殺すつもりはなかったんよ」
 「そしたら、おれがさっき見た君そっくりのあの男は?」
 「……さあね。 でも、もうどっちでもええ」
 「おれはどうなるの? 秘密は誰にもいわへんよ。 だから……」
 「ああ、別にどうにもする気はないよ」
 「そう。 いや、ありがとうっていうのも変やけど。 何て言ったらいいか」
 「でも、ぼくも君がここにくる前に君そっくりの男をみかけたんよ。 まさか、それって君の双子の兄弟じゃないよね……」



prev next back