魅 館 果 汁
<01年8月>
8月23日(木)
ああ、やる気のしない日々であることよ。
今回の台風は足は遅いし、海岸をなぞるように移動するし、そもそも今ごろの時期に11号だし、なかなか妙なやつだった。
それでも死者7名、行方不明者1名を出したのだから恐ろしい。
列島各地の水瓶の貯水率を回復させてくれたとはいうものの、あんまりお目にかかりたくはない。
さて、台風一過ですっきりした青空、といえば聞こえはいいが、暑い暑い。
残暑お見舞い申し上げてもらっても追いつかないほどである。
えっ、台風一家?
違う違う、台風一過だって。
でも、台風一家って面白そうだなあ。
例えば、こんな感じで……。
父、タイフーン。
母、サイクロン。
兄、ハリケーン。
妹、ウイリウイリ。
祖父、バギオ。
伯父、シロッコ。
叔母、ブリザード。
うーん、親戚は寒帯と熱帯に移住しているのだなあ。
ちなみにそれぞれの職業は、
父、僧侶。
母、トムヤンクン料理店長。
兄、ムエタイ選手。
妹、微笑みモデル。
祖父、米農家。
伯父、ゴム農園。
叔母、日本に不法滞在中。
あらら、これはタイ風一家だった。
叔母さん、捕まらないでね。
さて、この家族の中で一番頭のいいのは誰かというと、それはもちろん妹のウイリウイリなのである。
なぜかって?
ウイリウイリはオーストラリアでの呼び名だから。
ほら、台風とかの渦って北半球では左巻きだけど南半球では右巻きでしょ。
しかし、台風の規模の小さいやつをトロピカル・ストームと呼んでいるとは思わなかった。
なんとなくうらやましいな。
だって、おいしそうなパイナップルとかマンゴーとかパパイヤとかが飛んきて、お得みたいじゃないか。
8月16日(木)
帰省終了。
標高100mのふるさとは、しかし、暑かった。
でも朝方は結構涼しくなり、一日中朝だったらなあ、などとつぶやいていたような気がする。
夜は盆踊りにも出かけず、ボケーっと過ごし、久しぶりにアルコールと読書を堪能してしまった。
というわけで、『船上にて』(若竹七海)を読了。
ただし、感想はしばし待て!
って果たしていつまでであろうか。
こらばっかりは神すらわからんかもしれんなあ。
『三月は深き紅の淵を』(恩田 陸)を購入。
8月12日(日)
墜落はあざなえる縄のごとし。
夏休みである。
すっかり休日モードでくうねるあそぶ状態なのである
(古っ!
でも、ヨウスイは好きだからいいのだ)。
とまあ、そんなわけで、起きる、ごろごろする、食べる、寝る、以下、無限に繰り返し。
これを墜落といわずして……。
だから、違うって。
こんな怠惰な日々を許せてしまうのも、やたら疲れていたここ数週間があったからこそ。
仕事のことが夢にまで出てきて、わけわからないことを口走ってみたり、かなり壊れていた。
だから、この1週間はぜーったいに仕事のことなんかすーっかり忘れて、ずーっぽり堕ちてしまう予定なのだ。
ところで、堕落の堕と怠惰の惰は似てるけど違う文字だということに改めて気づいた。
怠惰は堕落ではないのか?
そいつはよかった。
8月6日(月)
世界陸上も始まった。
山口に行ってきた。
総体の全国大会引率である。
他の競技の多くは徳山だが、陸上は山口市。
ここは盆地にたたずむ西の京都、西京と呼ばれる地である。
要するに夏はものすごく暑いのである。
大会中もとてつもない暑さでいつ熱中症で倒れてもおかしくないくらいだった。
試合そのものはそれなりに進行し、それなりに終わった。
ここではこの小旅行中の出来事を取り上げてみる。
往路は坂出から瀬戸大橋を渡り、岡山経由で山口へ向かった。
片道350kmを車で移動するのだ。
もちろんサービスエリア(SA)で休憩しつつ、4時間半かけて到着した。
その途中、給油に寄った山口県内のSAでのこと。
給油ポンプをセットしたスタンドマンが「冷却水などの点検をしましょうか」と聞いてきたので頼んだ。
エンジンルームを覗き込みながらいろいろチェックをしていたようだが、やがてつかつかとやってきて「オイルがこんなになってますよ」というではないか。
そういえばしばらく交換してなかったなあと思いつつ、でも今日はいいよ、というと「でも、高速ですから交換した方がいいですよ」と押してくる。
そりゃそうかもしれんけど、こっちは旅先でいろいろ都合もあるんだからと思って断る。
すると「そうですか……」といいつつボンネットの方に戻っていったが、また、オイルをつけてきて「ほら、こんなんですよ」と繰り返す。
そうなるとこっちも意地で、絶対ここではしてやるもんかという勢いで断るが、まったくひるまない。
しばらく、押し問答のようになってこっちもキレかけたところでようやく引き下がった。
と思ったら、ちょうど給油が終わったところだったらしい。
こいつ、時間ぎりぎりまでねばりやがった。
出発してしばらくして同乗の学生いわく。
「いやあ、あんなに引かないの初めて見ました。
山口の人ってしつこいですねえ」
いや、別に県民性ではなくて個人の問題だと思うぞ。
それよりも悲しかったのは、フロントガラスについた虫の死骸をぬぐってくれなかったことであった。
ホテルは大会本部が斡旋してくれた宿を利用したのだが、どういうわけか学生たちとは別のホテルにされてしまった。
だから基本的には一人で行動することに。
さて、泊まったのは温泉街のホテル。
折角だから温泉に入りたい。
ビジネスホテルだが、屋上に露天風呂があるという。
ビルの屋上露天風呂?
嫌な予感もしたが、とにかく入りに行くことに……。
なるほど、露天風呂だ。
空が見える。
でも、所詮屋上である。
ビルの屋上に小さな稲荷が祭ってあることがあるが、そんな雰囲気だ。
お湯もやけに透明度が高くて、とても温泉のお湯とは思えない。
多分、そうなんだろうけど。
気を取り直して湯に浸る。
そんなに広いとはいえないが、ゆったりできる湯船の中でリラックス。
まだ、時間が早かったこともあって西日がきつかったけれど、それはご愛敬。
たっぷり浸かって、さあ出ようかと脱衣場に入ったそのとき、場にそぐわない異様なものが目に飛び込んできた。
傘である。
しかも3本ある。
???
まさか、雨のときはこれをさして露天風呂に入れということか?
雨の中、傘をさしてビルの屋上露天風呂に浸かるの図……。
想像するだけでもわびしくなってくる。
夕食。
一人でとるのはさびしいが、ホテルから夕食券をもらったので仕方ない。
この夕食券、ホテルにある和洋中のどの店に入ってもいいよということになっている。
うーん、店を選べるのはありがたいが、メニューは決まっているというのは中途半端でなかなか気持ち悪い。
どっちかといえば、これを食えと言われた方があきらめがつくような気がするが。
ともあれ、最近ご無沙汰の中華料理を食べることにした。
店に入ると、いきなり飲み物は別料金になってると聞かされる。
いや、別に何も飲まないよ、と思ったが実はちょっとでも頼んでいた方がよかったことに後で気づく。
まずは、ハムと野菜の一品料理と具沢山の中華スープ。
うん、おいしいスープだと思って食べていると、そこに今度は卵系の料理が運ばれてくる。
ふむふむ、こうやって一品料理が次々でてくるわけだ。
そう思って食を進めていると、次にエビチリ、イカと肉の炒め物。
おいおい、いくら出てくるんだ。
それにご飯がほしいぞ。
ははーん、だから飲み物を聞いてきたのか。
ビールでも頼んどくんだったと思ったが後の祭り。
そこへご飯登場。
でも、小さな茶碗に申し訳程度のご飯。
だからやっぱりビールだ、ビール。
しかし、おなか一杯だし、ご飯も出てきたからあとはデザートかな。
ところが、そこに運ばれてきたのはナスの炒め物、さらには酢豚……。
だから食えねぇって。
テーブルにならんだ皿6、7枚を前に、ポツンと一人でデザートのメロンを食べるの図……。
さびしくておいしさ半減というものである。
大会期間中は最高気温37℃という猛暑であった。
なにしろ雲一つない快晴である。
グランドの気温はいかばかりであったか、察するだけで倒れそうになる。
そのせいだろうか、おかしなことがいくつかあった。
まずは、スターターのマイクの調子が悪かったこと。
スターターはマイクを通して「位置について、用意」と号令をかけるのだが、その具合がよくなくてたまに聞こえなかったのだ。
聞こえないと、当然選手たちはスタートの準備ができないので、その度ごとにやりなおしをさせられる。
集中も途切れるというものだ。
これはきっと暑さのためにスピーカの声がでなくなってしまったためなのだ。
原因?
脱水症状かなあ……。
また、陸上短距離ではスタート前に選手紹介を行うのが普通であるが、ここでもトラブルがあった。
1レーンから順番に名前を読み上げていくのだが、なぜか7レーンの選手が飛ばされてしまった。
スタート審判が放送席に何か合図をしているのだが、なかなか通じない。
そりゃそうだろう、指で7って示しても、アナウンサにはなんのことかわかるはずがない。
そもそも放送席は本部席と同じところにあるから、本部へのサインだと思っていただろう。
結局は読み上げ直してちゃんとレースもできたのだが、名前を呼び忘れたくらい構わないからスタートしちまえ、と思う人は少ないだろうか。
ていうか、名前を呼ぶのってルールなの?ただのサービスじゃないの?
あと、クラウチングスタートの際に氷が必要となるという事件もあった。
暑さのために選手たちはいかに体調コントロールするかに神経を尖らしている。
もちろんグランドコンディションも大切である。
グランドが暑すぎるとまともなレースにならないからだ。
しかし、グランドが熱すぎて困ることになるとは思わなかった。
すなわちスタートラインが太陽に熱せられて、手を置けないというのだ。
まさか、グランドに触れて火傷しようとは……。
そこで氷の登場というわけなのだった。
トラックに立っている選手の何人かが氷の入ったビニール袋でスタートのラインを冷やしているの図……。
工業系の学校が集まった大会だと思うと、なんだか情けないものがあるなあ。
復路は尾道からしまなみ海道を渡って今治経由で帰ってきた。
しまなみを車で運転して渡るのは初めてであったが、もう暗くなってからだったのでちょっと残念、と思ってたらライトアップされていてかえってこっちの方がよかったかも。
ライトがきれいに点滅する最初の新尾道大橋を渡ろうとしたその瞬間、右側の空が一瞬明るくなったかと思うとドーンという音。
「花火だ!」
どうやら尾道の花火大会だったようだ。
ラッキー!
でも、運転してるとまったく見れないぞ。
くそっ、よそ見してでも一発だけ見たい!。
見れた……。
ちょっとヤバかったけど。
購入本は『刑事ぶたぶた』(矢崎在美)と『上と外6』(恩田 陸)。
8月2日(木)
果たしてネット復帰はなったのか!
暇がない上にパソコンがクラッシュしてそれを直す時間も気力もなく、まったく自宅から接続できなかったこの2ヶ月。
なんで暇がなかったかというとそれは2ヶ月前に書いた「理由」が一番。
しかし、それだけではなくて仕事の上でも頭が飽和するほど忙しいというのもある。
JABEEというのをご存知だろうか?
我がタイガースの宿敵、とは今や誰も思ってないかもしれないが、ジャイアンツのマスコットのことではない。
あれはジャビット。
てことは、その恋人ジャビーちゃんか?
とわけのわからないことを言っても誰もついてきてないんだろうなあ。
ドイツ語読みするとヤベーと読めるのが何とも暗示的なJABEEとは、日本技術者教育認定機構という組織名である。
簡単に言えば、この10数年の間にメーカーが競って取得したISOの高等教育機関版である。
さらにやさしく言えば、うちの学校は世界標準の卒業生を世に送り出してますよ、ということを認めてくれるありがたい制度のことである。
国立学校が独立法人化される前夜ともいえる昨今、大学は私立だけでなく国公立も生き残りをかけて懸命である。
JABEEはそんな中で高等教育機関がその存亡を賭けて取得に燃えている制度といっても過言ではない。
我が校も例外ではない。
まだ、試行の段階であるが、認定に向けて今年本格的に動き出したのだ。
審査は12月。
夏休みは講義もないので、組織整備や資料作成に集中するということになっている。
連日の会議とデスクワーク。
マジで脳が過飽和状態に陥っている。
朝、出勤して昨日の続きを仕事し始める……。
気づくと、もう昼休み。
ご飯を食べながら同僚と交わす会話も、できるだけ避けようとは思っているものの、JABEEから離れられない。
午後、また仕事に就いたと思ったら、もう夜。
さすがにあまり遅くまでやっていても能率が上がらないから帰宅する。
しかし、風呂に入ってリラックスしているつもりなのに、すーっと頭を横切るJABEEという文字。
寝る前のボーッとした頭の中に浮かぶのはJABEEの文字。
でも、それでも寝てしまえるほど疲れきっている。
そして再び朝。
そうやって6月、7月と過ぎ、アッという間に8月がきた。
きっと、同じように8月も終わってしまい……。
あー、嫌だ嫌だ。
本もまともに読めない。
読む気力がない。
困ったものだ。
はあぁ……。
さてそんな中、明日から総体全国大会で山口に行く。
この間だけはJABEEを忘れて陸上に没頭したい……ところである……んだけどなあ……。