魅 館 果 汁
<99年9月上旬>
9月8日(水)
ほんのしばらく日記お休み宣言。
別に大層なことではなくて、今週一杯忙しいのでこの日記を楽しみにしている善男善女のみなさまにお知らせをしておこうと……。
もしかすると、大病でも患ったのではと心配して夜も眠れない方がいらっしゃると申し訳ないのでね。
なあんて堂々といえる日記であれば書きがいもあるのかなあ。
いやいや、贅沢は言うまい。
もともとメモ代わりのつもりだったんだから。
9月7日(火)
最近、そういえば空を見ていないなあ。
9月といえば月。
残暑厳しい折りにまだ秋の夜長とはいかないが、明後日に重陽の節句を迎えるこの頃はそろそろ天が恋しい季節である。
いわゆる、天高く馬肥ゆる秋、とは食欲の秋を意味するとともに、天空の清浄さを楽しむ時期の到来を告げている。
ところが今年は雨が多いのである。
秋霖にはまだ早いと思うものの、夏の異常気象の続きか晴天を仰げる日が少ない。
本来、高いはずの空が低く垂れ込めた雨雲に隠れて顔を覗かせない。
もちろん、秋晴れというのは長雨も終わった11月初旬をさすのだが、仲秋の名月を望む季節でもあるので曇天はなんとも寂しい。
ところで、空を見ていないというのは雲に邪魔されるためでもあるが、じっくりと空を堪能していないのもまた事実である。
その昔、空は僕の憧れだった。
不思議な白い雲を携えて、どこまでも青く、広く、高く、眩しい存在。
太陽すらもその掌に包んでしまう。
夕陽に赤く染められるのも、夜に深い闇を現出するのも、すべては空のおおらかさ。
空を眺めていれば幸せだった。
今日、何度、空を見上げただろう。
何を思っただろう。
空はいつも僕を見ているのに、僕は空を忘れてしまった……。
9月5日(日)
だらだら過ごす休みの一日、『嗤う伊右衛門』(京極夏彦)読了。
京極夏彦の著作は『巷説百物語』やどすこい&南極探検隊シリーズの単行本化、京極堂シリーズの『陰摩羅鬼の瑕』と今年は目白押し。
『陰摩羅鬼〜』は『塗仏の宴』のことを考えると遅れそうだけれど、ハードカバーを買わない派としてはこれが一番出てほしい。
でも、また誘惑に襲われることになるのかなあ。
いっぺん雑誌連載したんやから文庫かノベルスでええやん、と思うのは私だけ?
『買ってはいけない』(船瀬俊介ら)もだいぶ読み進んだ。
食料品、医薬品、雑貨などの製品名を挙げて添加物その他の危険性を煽っている本だ。
主張がすべて間違っているとは思わない。
内容も一見正当である。
しかし、声高に叫んでいるだけで身のある話ではないというところが残念なのだ。
例えば、一番最初のヤマザキパンである。
イーストフードとして添加されている塩化アンモニウムはイヌに6〜8g経口投与すると1時間以内に死んでしまう、とある。
だが、食塩(塩化ナトリウム)でさえ一日10g以下にしようといわれているのだ。
一体、ヤマザキパン1個に何gの塩化アンモニウムが含まれているのかわかって書いているのだろうか。
それに、熱を加えると塩化アンモニウムは有毒なアンモニアと塩化水素ガスになるという。
パンを焼いたら本当にそんな反応がおこることを確認したのかどうか聞いてみたいものである。
ザ・カルシウムの章では、厚生省の発表、日本人の食生活はカルシウム不足だ(1日平均必要量600mgに対してここ数年の平均摂取量は約550mg)というのをデタラメだと言い切る。
しかし、その根拠が1946年の日本人の平均カルシウム摂取量が253mgしかなかったにもかかわらず、昔の方が骨折や骨粗鬆症、イライラする人が少なかったというところにあるのだから、笑ってしまう。
終戦直後のデータとカルシウム量の数字だけを比べて一体何が論証できるというのだろう。
厚生省に対する不信感は、ザ・カクテルバーのところでも書かれている。
厚生省が認可している着色料の中から使用したというメーカーの言葉を、官僚トップが逮捕されるような役所のいうことを鵜呑みにしていいのか、というのだ。
かつて認可されていた添加物のいくつかに発癌性の疑いがもたれて禁止されたから、というのも理由のひとつのようだが、それなら不安もわかる。
だからそれだけにしておけばいいのに、変なことを書くから信憑性が落ちてしまうのだ。
カカオの恵みの章では、チョコレートにはポリフェノールが多く含まれていると成分だけを強調して短絡的に健康によいと信じ込ませているニセ科学だとメーカーを断じている。
そういう著者は、食品添加物が含まれていると成分だけを強調して短絡的に健康に悪いと信じ込ませているといわれても仕方がない、というのがこの文章を読んだ正直な感想である。
もうちょっと、人を説得するのなら書き方があると思うのだ。
素人相手だと不安感を煽ることしかできず、ちょっと化学的知識がある人には信頼を失う。
そんな風にみえて仕方ない。
そういえば、ポットにアジ化ナトリウムという事件でこの物質が毒物に指定されたときに、車のエアバッグにも使われているはずだからエアバッグつきの車には毒物運搬中という標示をつけないといけないんじゃないか、という笑い話があったけれど、こういう人はどう反応するんだろう。
9月4日(土)
今日は一日中、卒研の発表準備におつきあい。
体調は少しよくなった。
っていうか、気合をいれたらなんとか元気が出てきたという感じ。
ん?
てことは昨日は手を抜いてたんか。
そんなことはないと思うけど……。
ともかく、朝9時から夜11時まで、食事と一瞬のネットサーフィンの時間を除いてずっと学生の相手。
で、帰ってきたら人間ドックの結果が届いていた。
ふっ、この若さで何の異常があるものか、大丈夫大丈夫、と言い聞かせて封を切る。
えーと、なになに。
軽度の慢性胃炎?
心電図異常、完全右脚ブロック?
腎内小石灰化影?
はっはっは、要するに問題なしってことやね。<ほんまか!
胃炎は軽度だし、完全右脚ブロックは治療の必要なしと書かれているし、石灰化の影というのも小さいらしいし……。
いや、ほんとに大丈夫だってば!!
まあ、適度な運動をしてバランスのいい食事をしろ、という当たり前の指導しか書いてないってことは、大したことないって意味でしょ。
(ちょっとトーンダウンしてるなあ)
身体にいい本ってないかなあ。
京極本は鉄アレイ代わりになるかもしれんけど、ってそういう意味やないやろ!
さあ、明日は休みだ。
今から読みまくるぞぉ!
えっ、風邪はどうしたって?
気合はいってるし、なんとかなるでしょう。
まだまだ健康で若いしね。
9月3日(金)
二日酔いかと思ってたら、どうやら風邪らしきものをひいたらしい。
朝、目覚めたら頭が痛い。
くうっ、二日酔いかあ、無理矢理にでも腹に詰め込めば楽になるやろ、と思いつつ、しかしどうしても喉を通らない。
しかたないから気分悪いまま出勤。
講義、卒業研究、個人指導……。
しかし、一向によくならないし、昼食の弁当も半分がやっと。
もしかして、風邪?
そういえば微熱もあるようだ。
早く帰って横になりたいーー!
しかし、卒研の中間発表まであと1週間。
昨日は飲みにいっちゃったし、学生を放っておけない。
というわけで、結局、帰宅は11時半。
よくがんばりました>自分。
だから、もう寝るのであった。
ああ、今日も読書が進まなかった。
9月2日(木)
東京から帰省してきた昔の同僚と飲みにいった。
ところが、前回同様、会議が8時までかかったので(別口の、しかも臨時の会議だぞ)またまた途中参加。
まあ、今回は見知った仲なので戸惑うこともなかったけれど、2時間分の楽しみをどうしてくれる、といいたい。
でも、会議中に隣にいた同僚に携帯電話がかかってきて、あんたにや、と言われたその内容が飲み会の場所の変更だったときの気まずさといったら……
はよ、会議終われよな、で頭が一杯になって発言しなくなるほどの強烈さだった。
そんな流れでなだれこんだ居酒屋では、先行した3人と近況報告。
さらに、別口の会合で遅くなった2人が9時頃合流。
なんでこんなに忙しいの、といった話題。
そしてたどり着くところは上司の悪口。
その後、スナックに場所を移してちらりと私生活の話をしつつ、いいなあこの仲間達、と妙に幸せな気分になった。
やっぱり飲みに行くのはやめられんね。
人間ドックの結果が出るのは来週のあたまだから、まだなんとでもいえるさ。