魅 館 果 汁
<99年9月下旬>
9月30日(木)
ウラン加工施設の被爆事故発生で、中日優勝も影が薄れたね。
別に中日を応援しているわけではないけれど、名古屋に住んでいたこともあるし、読売よりは好きなのである。
阪神が結局は定位置に収まりそうな気配を見せているので、どっちでもいいやというのが本音なんだけどね。
さて、問題の事故のことだが、結構自分の専門に近い技術が関連しているらしい。
このJCOという会社では、溶媒抽出という方法で六フッ化ウランを二酸化ウランに再転換しているという。
その溶媒抽出が私の専門なのだ。
といっても、私は放射性物質を扱っているわけではなく、同じ方法を利用しているに過ぎない。
しかし、気にはなる。
詳細な情報は報道されていないし、手元に資料もないので今これ以上の話はできないが、そのあたりの操作ミスが原因かもしれないとか。
後でいろいろと調べてみよう。
今回の事故は住宅の密集する地域にある工場で起こった。
しかも、臨界事故だという。
規模としてはもちろんチェルノブイリには至らないが、国内で起こっただけにショックはそれ以上のものがある。
今日、JCOで製造された二酸化ウラン粉末が愛媛県の伊方原発に燃料として運搬されてきたというニュースもある。
なんだか身近になってきた。
日本各地に原発や核燃料処理施設が作られつつあり、逃げ場がない印象さえある。
事故が再発しないことを祈りたいところだ。
どうせなら東海村とか若狭湾ではなく、永田町や霞ヶ関にそういう施設をつくればまともに安全対策を練るのかもしれない。
あるいは江戸城址……といったら不敬罪にあたるかな。
(すぐ隣だけどね)
でも、どこかそのあたりでメルトダウンさせてやりたいという衝動も……。
いかん、池袋や下関の通り魔とみたくなってきた。
ホウ素たっぷりの制御棒を用意しとかなきゃ、いつ臨界に達することやら。
9月29日(水)
久方ぶりの日記であるが、今日は静かな一日であったことよ。
そこで今日に至るまでの5日間を簡単に振り返ろう。
まず、24日は飲み会である。
同僚たち6名で出かけたのだが、途中からヘビーな話題になってしまった。
プライベートなことなのでここでは書かないけれど、友人が苦しんでいるのにただおろおろとして口を閉ざすだけの自分に嫌気がさした夜だった。
翌25日は金沢出張のために朝早く出発したのだが、やはり飲んだ日の翌日はつらい。
その上、家に帰らず職場に泊まって簡易ベッドで寝たものだから身体も痛い。
午後早くに金沢についたものの、やはり体調がおかしい。
二日酔いのせいだけじゃないのは学習していたはずなのに、移動による疲労も重なったのだろうか。
結局その日は仕事をキャンセルしてホテルに閉じこもる。
それでも夜になって回復してきたので『幻色江戸ごよみ』(宮部みゆき)を読む。
26日は日曜日だけれど仕事は仕事。
あんまりキリキリ働いてはないけれどね。
ホテルに戻ってからは『初ものがたり』(宮部みゆき)読了。
観光(あるいは夜の社会見学)に出掛けたりするよりも、たっぷりとれた時間を読書にあてがいたくなるのは人情というものではないか?
当然27日も仕事である。
この日は少し早く手が空いたので兼六園や犀川河畔をぶらぶら散歩する。
ところが、本屋を見かけるとふらりと入ってしまうのが悪い癖。
ここで『凍える島』(近藤史恵)と『虚数の眼』(湯川 薫)を買う。
すると、我慢できなくなってホテルに直行。
結局、『凍える島』(近藤史恵)を読み干すことに……。
28日は夕方まで残る仕事を片づけて、というより個人的にはこの日が一番大切な仕事だったのだが、帰る列車の中で『虚数の眼』(湯川 薫)を読み終える。
そして魅館箱にアップする感想をノートにメモ。
それでもまだ到着しないので『僕を殺した女』(北川歩実)を読みつつ、ビールを傾ける。
そして今日29日は、日常に連れ戻されたわけだ。
今思えば、こういう出張なら多少疲れるけれど、また行ってもいいなあ。
9月23日(木)
秋分の日、秋も来るけど台風も来る。
土曜日からの出張、9月末締切の論文、来月初めの学生の学会発表などなど目白押しのため、二日酔いの重い頭を引きずりつつ出勤。
しかし、本当に気分がよくない。
前に飲んだときもそうだけれど、翌日、なぜか風邪をひいたような症状がでる。
少し控えろということなのだろうか。
しかし、実は明日も飲み会なのだ。
明後日から出張のくせにどういうこと、ということになるのだが、こればっかりは止められない。
でも、大型台風接近中なので実現するかどうか……。
ということで、今日は少し早く寝ることにしよう。
9月22日(水)
同僚の結婚式1ヶ月記念パーティ。
丁度一月前に結婚した同僚夫婦を迎えて記念パーティを開いた。
……ということにしなければ、参加できない友人がいたので敢えて名称変更したのだが、要するに合コンである。
その友人の奥方候補が交通事故に遭ってむちうちで入院したのを見舞った際、ぽろりとこの日のことを漏らしてしまったものだから、さあ大変。
合コン禁止令を出されてしまったというわけ。
結局、名称変更の甲斐なくその友人は来れず、悪いことをしてしまったと反省している次第。
そんな感じで(どんな感じや)始まったパーティ。
中華料理屋で紹興酒を飲みすぎていきなりいい気分になってしまい、2次会のカラオケに突入する前に壊れかけてしまった。
中国のことに詳しい友人がいて、紹興酒と老酒は同じはずなのに何故かこの店では別モノとして出している、といって頭を抱えていた。
確かに味は少し違う。
そして紹興酒には黒砂糖がついてきて、適量を溶かして飲めということらしい。
その黒砂糖をみんなに回して甘さを堪能させたのは、私です。
『ST 毒物殺人』(今野 敏)読了。
9月21日(火)
秋雨前線停滞中。
雨は憂鬱だ。
湿度が高く、汗でべたつく。
書類は湿気を吸って、指先にまとわりつく。
ちょっと外へ出ようという気持ちも萎えさせる。
そう、何とも気分の乗らない一日。
しかし、それは決して天気だけのせいではないのだ。
TVドラマ「小市民ケーン」を見た。
榎本加奈子が好きなのだ。
でも、今まで二度ほど、しかもちらりとしか見ていない。
なのに、最終回を録画した。
何か胸騒ぎがしたというわけでもないはずだったのだけれど……。
小市民的で生徒に人気の高校教師が、突然管理教育に目覚め、学園祭の中止を言い渡すのだが……といった内容。
理事長の企み、弱腰教師の言い訳、生徒思いの教師の解任、生徒の反発、しかしながら大逆転で終わる、というステレオタイプなストーリー。
それでもじんと来るものがあるのは、まだまだ青いからなのか。
実は具体的に自分が直面している事態について考えさせられてしまったのだ。
それが何かをここで語ることはできないが、ドラマの出来事とリンクしている。
しかし、ドラマの話ほど善悪がはっきりしたことではないので、悩むのだ。
教育はひとりではできない。
本当に微力だ。
しかし、例えひとりででも始めなければ本当に何もなせない。
それが周囲の協力を呼び、大きな力へと変わっていく。
悩み、焦り、怒り。
それらをパワーに換えて信念をもって、勇気を持って進まなければ、教育なんて大事業はできやしない。
理想論だけれどもこれが初心というやつだ。
ただ、信念の履き違えにだけは気をつけないといけない。
信念の対立というのが一番悩ましい。
絶対なんてどこにもないのだから。
だからこそ、常に反省が必要になる。
答えは決してひとつじゃないのだ。
雨は憂鬱だ。
でも、いつまでも降り続く雨はない。
いつかは上がる。
そして雨はすべてを洗い流してくれる。
雨上がりには新しい世界が広がるのだ。