魅 館 果 汁
<99年12月上旬>
12月9日(木)
苛性ソーダ入りカレー、おっと、水酸化ナトリウムって言わなきゃ。
奈良の小学校で給食のカレーに水酸化ナトリウムが混入したという事件が起こった。
6年生の理科の授業で水酸化ナトリウムと塩酸を混ぜて塩をつくる実験をしていたという。
その際に指導要領では低濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いることとあるのを、固体のまま渡したのがどうにかして給食に混じり込んだそうだ。
新聞記事からは詳しい状況がわからないが、小学生に劇物である水酸化ナトリウムを固体で取り扱わせるのに、どれだけ細心の注意を払っていたのだろう。
直接触れれば皮膚が溶けてぬるぬるしてくるという劇物を児童31人6班それぞれに分け与えて、たった1人の教諭が監視していたというのか。
目に入れば失明の恐れもあるというのに、果たして全員に保護メガネをつけさせていたのか。
おそらく間違いだろうとは思うけれど、水酸化ナトリウム12グラムを水100ミリリットルに溶かして使わせていたという。
アルカリの濃度としては異常なほど高い。
高校生の実験でもこれほど濃い水溶液は用いることはないんじゃないだろうか。
つい最近、うちの学校でも水酸化ナトリウムの固体を水に溶かすためにかき混ぜていて、何かの拍子にしずくが飛んで目に入った学生がいた。
低学年の間は保護メガネをするよう重々注意していたのが、高学年だからと指導する方が気を緩めていたようだ。
流石に本人も危ないと思ってすぐに水道水で洗い流したそうだが、それでもしばらくは違和感があったらしい。
まさか、小学生にそんな適切な処置ができるとも思えない。
さらに、実験終了後は水に流して処分したという。
それもまずいだろう。
小学校では基本的に担任がすべての科目を担当する。
しかし、理科の実験などは安全性に対する感覚が重要で、専門の教諭もいるらしい。
今回はどうやら担任教諭が実験をさせていたそうで、薬品の扱いに関する知識があったのかどうか疑わしい。
知識はあったとしても馴れ合いになっていたのかもしれない。
いずれにしても、構図は東海村の臨界事故と同じである。
確かに教諭も人材不足なのだろうとは思うし、多忙なのは間違いないけれど、明らかな人為ミスだけにしっかり改善してもらいたい。
もちろん、自分に対しても返ってくる言葉である。
昨夜は宿直だったので日記更新できなかった。
ちょうど定期試験の一週間前なので、寮生は概ねみんな勉強していた。
最近は自宅では個室をもらっている子供が多いだろうのに、1年生から3年生までは3人部屋である。
私も兄弟でならともかくそういう体験をしたことがないので、どんな気持ちなんだろうと思いながらいつも部屋を訪問していう。
教育的ではあるんだろうけれど、それ以上にストレスになっている子もいるようだ。
そのうち女子寮もできるという話だし、徐々に個室化していくんだろうなあ。
そのとき教育とプライバシーの使い分けをうまくできるかどうか。
読書は『サンタクロースのせいにしよう』(若竹七海)を読了して『ブラディ・ローズ』(今邑 彩)。
12月7日(火)
環境ホルモンのお話もしてみよう。
1年生相手に環境ホルモンの話をして、簡単な実験をやってもらった。
正式名称 外因性内分泌撹乱化学物質。
2年ほど前からクローズアップされてきた新たな環境問題である。
動物の体内に取り込まれたときに、正常なホルモンの作用を邪魔する物質のことをいう。
ホルモンは動物の成長や生殖機能、恒常性の調節などに大きな役割を果たしており、これが乱れることにより生殖異常、悪性腫瘍などを引き起こすというわけだ。
動物の例でいうと、オスのメス化、メスのオス化、免疫不全などなど。
ヒトも例外ではなく、子宮ガンや精巣ガンの増加、精子数の減少、さらにはアトピー性皮膚炎の増加や子供たちがキレるのも環境ホルモンが原因かもしれないという。
そんな環境ホルモンの代表例としてダイオキシンを取り上げ、ベトナム戦争の枯葉剤からゴミ焼却炉の問題まで話をする。
中でもカネミ油症事件の黒い赤ちゃんはショックだったようだ。
ダイオキシン生成の原因物質として疑われているのが塩化ビニル。
ラップでも塩化ビニル製のものとポリエチレン製のものがあり、確かに品質は前者の方がよいが塩素がダイオキシンを生成する元になっているとされているのだ。
とはいうものの、食塩だって危ないというのだから油断はできない。
実験は普段身の回りにあるプラスチックが塩素を含んでいるかいないかをチェックする簡単な試験法。
銅線をバーナーで加熱し、その先にプラスチックをほんのわずかくっつけて燃やし、緑色の炎が出れば塩素を含み、ダイオキシンを作る可能性が高いと判断できるのだ。
環境ホルモンについて思うところをレポートにして来週出してもらうので、それを読むのが楽しみである。
夜9時、今日は少し早めに帰ろうと思って車に乗りこみイグニッションキーをまわす。
ういん、ういん、ういん、ういん、かたん。
あれ?
もう一度。
ういん、ういん、かたん。
やばい!
くそっ、今度こそ。
ういっ、かたん。
どうやらやっちゃったようだ。
おかしいなあ。
確かに昨夜は飲みに行ったから一日置きっぱなしだったけど。
仕方がないので同僚を呼んでバッテリーをつないでもらう。
ういん、ぐぃーん、ぐおん、ぐおん、どっどっどっど。
そう来なくちゃ。
今日は金もないのでバッテリー交換できない。
問題は明日の朝。
ちゃんと動いてくれるかなあ。
ともかく、いつもよりは早い帰宅に違いないので読書の励む。
『奇術師のパズル』(釣巻礼公)を読了。
パズルはパズルだけれど、ちょっと消化不良だなあ。
12月6日(月)
会議がなんで午後9時までかかんねん、おかげで飲みが足りんやんけ。
今日は同僚の誕生日。
突然だけれどそのお祝いをしようという話が盛り上がり、飲みに出ることになった。
私は定例の会議が5時からあって、それが終わったら合流するということにしてもらった。
ところがどっこい、4時間やで、4時間!
なんで会議がこんなにかからなあかんねん。
そりゃあ最初は大事な話やったけど、途中からはさっさと済ませられる議題やったのに。
はじめの2時間ぐらいはそのつもりで発言もしていたけど、後半からはもう勘弁してほしいと思って黙ってあげてたのになあ。
ともかく9時に終わって先行隊の携帯に電話したけどつながらない。
おかしいなあと思いつつ、飲み屋に向かったのだがもう帰ったという。
寂しい気分できっとカラオケに違いないと行き付けのところに行ったところ、居た居た、思わす抱き合っちゃったね。
誕生日おめでとうの言葉をかけてからビールとチャーハンを頼んで、いきなり一曲歌わせてもらう。
そりゃあ、ストレスも溜まるっちゅうねん!
これで一応落着いて、昨日の疲れもなんのその、いつも通りに更にはじける。
というわけで、今、帰ってきたところ。
日記をつけたので、もう寝るぞ。
寝させてくれ!
ぐう。。。
12月5日(日)
四国地区高等専門学校総合文化祭二日目。
終わった。
とにかく、それが一番の感想である。
片づけは学生たちが頑張ってくれたので思いのほか早く終わり、家に帰ったのは7時前だったが、夕食を食べてビールを一本あけたら、突然睡魔が襲ってきて9時前には寝てしまった。
バタンキューというやつである(死語だな)。
ホッとして疲れがドッと出たのだろう。
朝は8時半に集合。
ところが、会場の一つである郷土美術館が予定時刻になっても開かない。
9時になると他の学校の人たちが宿舎から集まってくるというのに、と焦って連絡する。
とりあえず、8時50分頃には開いたのでギリギリセーフというところ。
いきなりのトラブルに先行き不安になる。
朝から小雨が降っていた。
各校の演奏毎に楽器の入れ替えを行うのだが、屋根のない場所の移動もあって楽器が濡れて困るかもしれないという恐れがあった。
もし雨が激しくなったらどうするかという対策をあらかじめたてておく。
幸い楽器の移動を伴うのは午後からで、昼過ぎにはやんでくれたので助かった。
そんな風に、今日の業務は基本的にインフォメーションに控えて何か問題が起こったときの対処要員である。
ひとつだけ揉めた出来事(ここではある意味、恥ずかしくて書けない。)があったが、概ね順調に進む。
それもこれも学生達がしっかりしてくれていたお陰である。
最後に緊張する閉会式も無事終え、後片付けもすばやく完了。
一日が終わったというわけである。
この二日間を通じて、学生達のしっかりした部分とまだまだ子供という部分を垣間見て、頼もしくもあり、危なっかしくもあり、将来楽しみでもあり、教師としての醍醐味を感じることができた。
大変な行事ではあったが、やめられないなあというのが実感である。
12月4日(土)
四国地区高等専門学校総合文化祭一日目。
学生を中心に、教職員は補佐役にまわって開催される今年最後の一大行事である。
実行委員長も学生なら、設営から司会進行からすべて学生を責任者としているのだ。
しかも、今年はうちが主管校として取り仕切るのでここ1ヶ月程、準備でずっと追われていた。
昨日、夕方から会場の市民文化センターで設営をして式典のリハーサルを終えたのが9時頃。
そして今朝8時半に集合して次々と到着する各校展示作品の搬入、吹奏楽や合唱のセッティングとリハーサル。
合同演奏練習の際には指揮者と設営係との間で揉めるシーンもあった。
とにかく打ち合わせ不足なのだ。
学生メインの行事とはいえ不手際は教職員側にあることも多く、悪いことをした。
しかし、委員長はじめ役員はしっかりした学生が多く、きっちり指示を出してくれるので見ていて安心できる。
リハーサルは午後3時まで休む間もなく続く。
設営係と司会役の学生はずっと働きっぱなしで疲れた様子。
もちろん、裏方指導の私たちも疲労の色を隠せない。
しかし、まだ正式に始まったわけではない。
3時半、ようやく開会式。
続いて全体交歓会。
かしこまった開会式とは雰囲気を変えて各校からのPRをしてほしいということだったが、なかなかそうはいかない。
しかし、4校目が小コントで少し笑いを誘い、5校目がパラパラダンスを披露して盛り上がり、最後がうちの番。
CDを用意して何人かで歌って踊ろうということだったが、うちのメンバーは直前で怖じ気づいたのか1人しか出ようとしない。
仕方なく真面目なPRを始めたのだが、その1人がどうしてもおさまらず途中でCDのスイッチを入れて舞台に飛び出した。
司会をしていた学生がそれを助けようと一緒に歌い始める。
他の学校のメンバーがそれに加わる。
曲は「サニーデイ・サンシャインデイ」。
みんなが知っているわけではない。
でも、こういう連帯感が学生らしくていい。
さらに「LOVEマシーン」では踊りも入って大盛り上がり。
交歓会の意味を考えればとてもよかった。
しかし、この後で歌うことになった合唱の人たちにはちょっと悪い気もした。
そして合同合唱、合同吹奏楽と続いて交歓会は無事終了。
これで一日目のメニューは終わり。
後は軽音楽のリハーサルだが、これは本人たちにお任せ。
残った雑用を片づけて6時半頃に帰ることにする。
疲れてはいるが早く帰って来れたので読書が進み『諏訪湖マジック』(二階堂黎人)を読了。
相変わらずSFと海外作家は進行していない……。
12月1日(水)
ミレニアムって、何?
最近、何かというとミレニアムという言葉が流行っている。
今年、意外と手薄な流行語大賞を狙っているかのようだ。
と、思っていたら今日決まったらしい。
大賞が「雑草根」(上原浩治)、「リベンジ」(松坂大輔)、「ブッチホン」(小渕恵三)だ。
「雑草根」なんて知らないぞ。
その他「iモード」「癒し」「学校(級)崩壊」「カリスマ」「ミッチー・サッチー」「西暦2000年問題」「だんご3兄弟」らがあがったらしい。
個人的には「落ちてこなかった恐怖の大王」「落ちてきたのはトンネルの壁」とか「生きているミイラ」とか「ステンレスバケツ」はどうかと思っているのだが(笑)。
閑話休題。
ミレニアムとは、millennium のことで「1000年の期間」を意味するらしい。
100年をセンチュリー(century)というようなもので、世紀と同様、千年紀という言い方をする。
公式には西暦2001年から3000年を第3ミレニアムという。
ところが、キリスト教圏ではイエス・キリストの生誕2000年を祝う意味で西暦2000年からを新しいミレニアムのスタートと考えているらしい。
日本ではそのあたりの意識がほとんどないので、2001年を始まりとの認識にあるようだ。
でも、小渕内閣がミレニアム・プロジェクトを打ち出したり、2000年カウントダウンのイベントを盛り上げようとしたり、なし崩し的というかエコノミック・アニマル的といおうか、どっちでもいい感じである。
まあ、お盆でも正月でもクリスマスでもバレンタインでも花見でも紅葉狩りでも、とにかく理由をつけて遊びたがる国民性なのだから仕方ないか。
そうそう、今日なんでミレニアムの話をしているかというと、同僚との話の中に出てきたからなのだ。
そのとき政府のミレニアム・プロジェクトが話題になって、日本は公式文書は西暦じゃなくて元号を使っているから、ミレニアムをどうのこうのいうのはおかしい、ということで盛りあがっていたのだ。
元号でミレニアムは無理だろうけれど、皇紀なら2659年なのですでに第3ミレニアムに突入している。
堂々とはいえないかもしれないが、こっそり優越感を味わっていればどう?
今日はその同僚と新2000円札の話もした。
以下、会話の再現。
(昨日と同じや)
「これもミレニアム絡みなんやろな。」
「沖縄の守礼門がデザインされるんだろ。
沖縄サミットともかけているという噂もあるで。」
「どうせなら5万札とか作ればいいのに。
あんまり実害ないし。」
「カード使うからなあ。
滅多にお目にかかれんかも知れん。」
「その場合、沖縄に続いてだからアイヌかな。」
「アイヌの象徴的な建物とかないから、伝説の勇者みたいな人を描くのもいいかも。」
「ついでに誰も知らない新渡戸稲造はやめてしまわんのん。」
「っていうか、何した人なん?
未だに知らんわ。
知りたくもないけど。」
「夏目漱石があるんやから、川端康成とかどお。」
「やっぱり、世界のクロサワちゃうか。」
「海外にアピールするとしたら三島由紀夫もええかも。」
「アピール度だけやったら、東条英機は凄いぞ。」
「こらこら!」