2000年11月の本のほらあな


「puzzle パズル」 11月7日
著者:恩田陸、出版社:祥伝社文庫

この主人公のお兄ちゃんはもしや「象と耳鳴り」のおっさんの息子では?と思ってしまいました。 とりあえず本がどこかに埋もれて確認できてませんが、描き方がたぶんそうでしょう。他の作品ではそれ ほどとも思わなかったけどこの本と「象と耳鳴り」を読んだ時、恩田さんの男の描き方っていうのが かなり印象に残ってしまいました。これは個人的見解で事実とは異なるかもしれないけど彼女の作品の 男はなんだか少女漫画チックなんです。軟弱って言うんじゃないけどなんだか柔らかい。あ、これは もちろん主人公に限っての話ですけど。舞台は廃虚の孤島。そこで不思議な死体が発見される。現場に 出向いた検事2人。その孤島で果たしていったい何が・・・。というお話。ちょっといい雰囲気でした。 この祥伝社の本、わしの短い通勤時間にはぴったりかも(笑)。

「奇憶」 11月8日
著者:小林泰三、出版社:祥伝社文庫

なーんだ、小林さんわしと同じようなこと考えてる・・・と思うようなストーリーだった。ようするに 空想というか妄想みたいな物。わしって空想癖があるんだよね(^^;。いや正直言うとわしにとっては 空想って下手な本やドラマより面白いんです。ただ哀しいことにわしは表現力が乏しく彼は優れているので あった(^^;。しかし物心つく前の記憶ってみんなあるのだろうか?そういやときどき覚えてる人もいる みたいな話も聞くけどどうなんでしょう?・・・っていうストーリー。やっぱり面白かったです。 とにかくこの作家は早く次の作品が読みたい人の1人でございます。

「冬に来た依頼人」 11月9日
著者:五條瑛、出版社:祥伝社文庫

これ、めっちゃええやん。あー、なんだか久しぶりに読んだハードボイルド。ちょっと短いのが 残念だけどこのキャラ気に入ったのでシリーズ化してほしいと思った。昔愛した恋人が失踪した 夫を捜してほしいという。彼はしかたなく仕事を引き受けたんだけど・・・。そういやここんとここの手の 本はぜんぜん読んでなかったような気がする。なんだか哀愁が漂ってきそうです。オーソドックス だけど悪くないっす。たまに違う分野を読むと新鮮だなー。この人の別の作品も読みたくなりました。

「スキナーのルール」 11月20日
著者:クィンティン・ジャスティン、出版社:創元推理文庫

なかなか面白かったです。エディンバラで起きる残忍でしかしあざやかな連続殺人事件。その捜査に 立ち上がったのが、警視正スキナーら。やがて犯人の目星がついたかに見えたのだが・・・。後半はなか なかだったけど犯人が早く分かりすぎ。しかも前半部分はいらないというか、少なくとももっと短かった ほうがよかったかも。別に本格的ミステリマニアでないわしでもネタがみえみえでした。 それに日本人の描写については多くの外国人作家が無知であるけど、この作品もひどかったです。 キャラについては悪くないとは思うけどわしの好みではないっす。ちょっとカッコ良すぎというか もっと崩れたところがあったほうがキャラ的には好きです。ここまで書くとかなりひどい作品のように 思うかも知れないけど後半はわりとよかったのです。ほんと。

「捨て童子 松平忠輝」上中下 11月20日
著者:隆慶一郎、出版社:講談社

これは面白いじゃないですか。杏さんに借りたんだけどやっぱりこの人の作品は面白いです。少なくとも 今まで読んだ作品にハズレはありませんでした。短編は多少落ちるように思うけど長編はいいっす。 内容はというともう題名通り松平忠輝の波乱の生涯のお話なんですが、ストーリーはもちろんキャラ作りも いうことなしです。この歳(どの歳?)になっても未だふらふらしているわしにとってはある意味あこがれます。 組織の長になるのも安定した生活を送るのもそれなりにいいと思うけど一己の力で生きたいと願う人たち ってとてもいいっす。

「なつこ、孤島に囚われ。」 11月23日
著者:西澤保彦、出版社:祥伝社文庫

ミステリーというより読み物として面白かったです。実在の作家が登場します。森奈津子さん、倉阪鬼一郎 さん、牧野修さん、野間美由紀さんです。題名の通り森奈津子さんが主人公なんですが、残念ながらわしは 知りませんでした(^^;。レズビアン作家として有名なんだそうですが、作品を一度読んでみたいです。 ある日、奈津子が目を覚ましたのは見知らぬ島だった。記憶をたどるにどうやら見知らぬ女に軟禁された らしい。なぜ?とは思ったものの彼女はその島で快適に暮らしていたのだが・・・。妄想癖の強い奈津子が 凄く好き(笑)。同じく妄想癖があるものの表現力のないわしはちょっと羨ましい。でもある意味 その妄想癖に共感を覚えてしまいました(大笑)。いや同じこと考えてるって意味じゃないよ。

「大江山幻鬼行」 11月23日
著者:加門七海、出版社:祥伝社文庫

ネタに困った女流ホラー作家が友人から見せられた一枚の写真。その写真にはアゲハ蝶に乗った鬼の姿が 写っていた。その写真は友人の知り合いが大江山で撮った物だという。彼女はさっそく大江山に向かうの だが・・・。うーむ、正直いうとこの祥伝社文庫シリーズ初めてのハズレでしょうか?(^^;なんだか 内容の通りネタに困ってかいたみたい(^^;。中編というか短編で充分のネタか?それとももっと話を でっかくして長編のネタにした方がいいかな?などと読みながらよけいな心配をしてしまいました。

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