2001年08月の本のほらあな


「斃れぬ命」 8月9日
著者:林功、出版社:角川書店

前半はよく聞く怪談話が多かったんだけど後半はなかなかよかった。連作の短編集。東南アジアが舞台です。 あの「怪」という有名な季刊の雑誌に連載されていた作品が本になったもの。めっちゃお勧めです。 読み物としてもよく出来てる。それに「怪」には載っていない書下ろしの作品もあり。

「神隠しの村」 8月9日
著者:長尾誠夫、出版社:桜桃書房

遠野物語異聞というサブタイトルがついてます。つまり主人公は柳田国男?ちょっと「木島日記」を思い出しましたが ぜんぜんタイプの違う作品。遠野で起こった神隠し事件に挑む柳田国男、という設定です。(いちおう) 落ちも悪くはないんですが、その辺は読んで判断していただきましょう(謎)。

「ブラック・オーク」 8月9日
著者:チャールズ・グラント、出版社:祥伝社文庫

「Xファイル」シリーズの原作者、グラントのホラー。ブラックオークは主人公が開く探偵事務所?6冊ばかり出てるようですが 翻訳されているのはこの1冊だけ。ちょっとTVシリーズのXファイルのごとく中途半端に終わっているため続きが気になる ところです。まあ怪しげな新興宗教と小さな村が舞台なんだけどなかなか怪しい雰囲気が漂っていて悪くないっす。

「幽霊案内物件2」 8月9日
著者:小池壮彦、出版社:ホラージャパネスク叢書

これは題名の最後に「2」という数字があるのを見てもわかるとおり、前回作品の続きの実話集。めっちゃ怖くて 夜は読めません。読んでいたのは北海道の小樽(笑)。これについてのレポートは後日ってことで。話がそれたけど 泊まってはいけないホテルや旅館、住んではいけない屋敷や町、などなどいけないところがいっぱい登場。 まあ怪談実話好き以外にはお勧めいたしません。

「ゴードン・スミスの日本怪談集」 8月9日
編訳者:荒俣宏、出版社:角川書店

上の作品とは違ってホラーマニアでなくともお勧めできるのがこの作品。ゴードン・スミスとはイギリスの博物学者であり 日本に来ていたときに集めた話が本となった作品。民俗学的に価値のある本でしょう。載っていない作品がまだまだあるようで いつか出版してほしいもんです。ちなみに話を集めた当時にはラフカディオ・ハーンなんかも日本に来てました。

「ホラー作家の棲む家」 8月12日
著者:三津田信三、出版社:講談社ノベルズ

なかなか出来のいいホラーでございました。わしもかなり気に入ったな。曖昧な終わり方も悪くないっす。 内容は題名の通りなんですが、ただちょっとわかり易すぎるかな?でもたぶん夜中に1人で読むと怖いんじゃないかな。 創作でこれくらい怖いのも珍しいです。ホラーの好きな人はお勧め。結果も怖いけど過程も怖い。

「鬼の探偵小説」 8月13日
著者:田中啓文、出版社:講談社ノベルズ

文字通りの題名(笑)。妖怪探偵小説?では京極夏彦氏が有名ですが、この作品は同じ妖怪探偵小説でもちょと違う。 主人公の鬼丸刑事が只者ではない。連作短編で起こる事件はおどろおどろしいものばかり。登場するキャラクターも変わってる。 キャラが面白いので正直言うとシリーズ化してほしいところです(つまり気に入った)。ただオカルトホラーだけど ちゃんと探偵小説にもなっているところが異色です。

「超怖い怖い怖〜い話」 8月13日
編者:さたなきあ、出版社:ワニ文庫

これは怪談実話集?読んでいて思い出した奇妙な話があるんだけどそれは日記に書きましょう(笑)。この手の 怪談物にしてはちょっと1話1話の話が長い。しかもそれぞれがありきたりではなくユニークに描かれています。 怪談実話としても読み物としても秀逸です。はっきり言ってかなり怖いので、読むのは昼間にしたいところ(笑)。 いちおうホラーファンなんですが、怖がりなもので(^^;。

「怪の標本」 8月18日
著者:福澤徹三、出版社:ハルキ・ホラー文庫

これも実話集なのかどうか悩む作品。一部は創作と思われるけど一部は実話かも。そう思って読むとかなり怖いです。 でも明らかに創作と思われる「受刑者」とか「雨音」なんかはあんまり怖くなかった(^^;。ただし「四十九日」は 怖くないけど出来がよくてわしは好きでした。「訪問者」と表題作「怪の標本」はちょっと怖いです。リアルすぎ。

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