私の造った漆器 製造工程解説4−1
きんま (朱きんま)
1638年 讃岐藩主 松平頼重公 の奨励と理解により、香川漆器(讃岐漆器)は開花しました。香川漆器の始祖である 玉楮象谷(たまかじ ぞうこく)は、松平頼重公の保護のもと、きんま・存清(ぞんせい)・彫漆(ちょうしつ)などの漆芸技法を幅広く研究し、いくつもの名品を残しました。
これが、香川漆器の始まりです。
中でも、きんま と呼ばれる加飾技法は、香川漆器の最高峰として今も受け継がれる独特の漆芸技法です。このコ−ナ−では、香川漆器の最高峰 きんま の製造工程を解説致します。
きんま の 名称の由来は・・・・
きんま と呼ばれる漆芸技法は、室町時代にミャンマ−などの東南アジアより我が国に伝わりました。ミャンマ−では古くから香辛料を薬草に巻いて噛む習慣がありました。(西洋で例えると、ガムを噛んだりするような事だと お考え下さい。)その薬草を噛む習慣のことを 「キンマ−ク」 と呼び、キンマ−クに用いる薬草などを入れる器に ほどこされた漆芸技法を 「キンマ」 と呼ぶようになりました。
香川漆器の始祖 玉楮象谷 は、この漆芸技法を研究し、独自性を加味して、香川漆器独特の 「きんま」 を完成させたのです。香川漆器「きんま」の文様がエスニックな異国ム−ドを漂わすのは、きんま のル−ツが東南アジアにあるからなのです。そして先人達が受け伝えた漆芸技法 きんま は、1976年に四国で初めて 国の伝統的工芸品 に指定され現在に至っております。
30日後〜 きんま の工程は大変複雑で長い日数を要しますので、下地・中塗りなどの基本的な工程が終わり、きんま 独特の製造工程に移る時点からの解説をさせて頂きます。
黒呂色漆(くろ ろいろ うるし)と呼ばれる黒漆で塗りを入れて行きます。これを10回以上繰り返すことにより 器物の表面に黒漆の塗り層を造ります。前回も説明した通り、塗りと塗りの間には必ず 水研ぎ と呼ばれる研ぎ作業が入ります。例えば、10回の塗りを入れる場合は、その塗りと塗りの間に 水研ぎ の工程が9回入ります。
45日後〜 黒呂色漆による黒漆の塗り層が出来上がると、きんま刀 と呼ばれる彫刻刀で彫り文様を入れて行きます。きんま の彫り工程での特長は、きんま刀を手前に押して 太く力強い線で彫って行く!これが、特長です。右手で きんま刀を固定して、左手で押し出すように彫って行きます。きんま の彫り文様が力強いのは、この彫り方に秘密があるからです。
46日後〜 彫り工程も、もうすぐ完成です。きんま の彫り工程は、極一部の箇所を除いて 全て下書きなしのフリ−ハンドで彫って行きます。つまり 彫り文様は、全て職人の手が覚えていると言うことです。この彫りができるようになるまでには、最低でも10年の歳月を要します。まさに、職人技の極み です。 次のペ−ジにつづく・・・・
