「切り絵に夢を託して〜自閉症の作家 上田豊治」(NHK教育・1996年頃放送か?)

NHK福祉ビデオライブラリー(http://www.nhk.or.jp/nhkvnet/video/)のコード049510にあります。

知人が録画ヴィデオを貸してくださる。あらまし等記すので、ご笑覧ください。

  • 1995年頃の撮影と思われる。30分番組みたい。「明日の福祉・共に生きる明日」
  • 1969年4月生まれ 山口県萩市 1歳過ぎて言葉出ない 3歳多動…自閉症の診断
  • 父は貨物船船員で、ほとんど不在。豊治さん(撮影時26歳)・母・養護学校勤務の姉・祖母4人での食事の風景:母、豊治さんのご飯に「カルシウム、カルシウム…大きくならなきゃ。長生きできんよ…」と言って、シラスをふりかける。
  • 家にいるときは、プラモデル作りに熱中。徹夜することも。完成品の車のプラモデルが、山のようにある部屋。
  • 小さいときから自動車好き。養護学校高等部卒業後、自動車修理工場に就職するが、こだわりが強くて仕事が遅くなる、コミュニケーションが苦手…人間関係がうまく行かず、退職。車好きなだけにつらい思い。
  • 母、養護学校時代に習った「切り絵」を豊治さんに勧める。
  • 「いい面、素直なまんまで、可愛がられて、生かしていってやりたい。」
  • 豊治さん、3歳の頃、手帳に附属の交通標識の表から、標識の丸い部分のみ(たくさん)をきれいに切り抜く。切り抜かれた残りの部分は、バラバラになることなく、1枚の紙として繋がっている(母、それらを今まで保存)。
  • これ以来、母、自動車ののった新聞広告等、豊治さんに切り抜かせる。
  • 母、「切り絵」の題材には、車ではなく、地元の萩の風景を選ぶ。小さい頃、多動だったが、母の自転車の後ろに乗ると大人しかった…そのとき母子で見た風景を切り絵に。
  • 母子、写真を取りに行く。シャッターを切るのは母。
  • 拡大した写真に、薄手の紙をのせ、豊治さんがトレース。
  • その紙を、黒いラシャ紙の上に固定して、豊治さんがカッターで切り抜いていく。切り抜いたあとの黒いラシャ紙、1枚の紙として、繋がっている。どこでどう繋がるかは、すべて、豊治さんの頭の中で計算されている。
  • 根気強さと器用さは勿論、自然の風景を、白と黒の二つに分けるのには、鋭い感性必要。
  • 週2回ほど、作業所へ。香生(かおい)工房…7年前、母親達が作る。7人の障害者と母親たちが働く。クリーニングたたみ。ガラス・樹脂で、文鎮・灰皿等作る。
  • 豊治さんは、ガラス加工。自分の切り絵の図案を文鎮の底にうつす。月10日働いても1000円だが、自分の切り絵を使うのが、喜び。
  • 10月初め、豊治さん、カメラ(最近、養護学校の先生からプレゼントされる)に自分でフィルムを装填、一人で萩の風景写真を取りに行く。途中、フィルムがなくなると、自分で購入したらしい。…母、驚き。
  • 「ここまで、自分が手をひいてきたが、そろそろ大人として・・・」
  • 近く、地元スーパー内で開かれる初めての個展には、自分で初めてとった写真からの切り絵を出展させよう。
  • 「わたしがいなくなっても、生き生きとして、いけるように…」
  • 個展の際の、実演のときに、自分で写真をとった風景の切り絵が完成。「菊ヶ浜海岸と指月山」
  • 「…もう、これからは、自分でぜーんぶで切るね。おかあさん、さびしくなっちゃったけれど、うれしいよ…」
  • 今、豊治さん、母に頼らず、写真を取る事に夢中。誇りを持って生きる。
  1. 「いとしご・日本自閉症協会ニュース66号」(H13年1月8日)によると、現在、上田さん、月1回老人施設(デイサービス)で、切り絵を教えられている模様。

  2. 30歳の誕生日には、「こんにちは、上田豊治です」(30年の親子のあゆみ)という本を上梓されている。

  3. ヤフーで「上田豊治」で検索すると、たくさん出てきます。探っていくと、「切り絵」も見られます。

気まぐれコレクションにもどる

目次にかえる