英語子育てノート
〜なぜ、子どもに、単語が大事なの?他
「バイリンガル・キッズを育てよう」を書き終えて〜


「バイリンガル・キッズを育てよう!」
メディアファクトリー(税込1500円)2月1日発売

書き始めて、2年。おかげさまで、ようやく完成しました。

お子さんがこの本の中を見ていただくと、
「これ、やりたい!」と言うような、
元気いっぱいの子どものイラストになっています。
お子さんと一緒に使ってください。
詳しい内容のご紹介は
こちらです。

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本を出版させていただくようになってから、英語教育のインタビューを受けることも
増えました。ときどき、おそれ多くも、講演会やセミナーを開くこともあります。
海外の英語教育事情を知る機会も増えました。

そんな私は、日本の子たちも、小さいときから、どんどん英語に触れてほしいと
いう気持ちは増すばかりです。

そして、小さい頃から英語をやっている子どもたちは
大人になって、英語力が必要になったときに、
今、お母さんたちがやっていることが実を結び、
英語を自在に使えるバイリンガルになれる、と思っています。

ただ、そのためには、大人(親)は、「おさえておかなければいけないポイント」が
あります。

「バイリンガル・キッズを育てよう!」では、このポイントを、
「英語脳を育てる」という表現で、3つのステップ構成でお伝えしています。

ステップ1は、英語のかけ流し(インプット)
ステップ2は、語彙を増やす。
ステップ3は、会話の回路を作る。

この3ステップで、子どもの頭の中には、英語の基礎が育ちます。
これがしっかりできていると、その後、読み書きの力も伸びていきます。

久しぶりの「英語子育てノート」では、今まで、あまり触れたことのない、
ステップ2の「語彙を増やす」ことの大切さについて記します。

―――なぜ、子どもに英単語が大事?

子どもの英語に「英単語」というと、「古い…」と思われるかもしれませんね。
中学生のときに、リング付きの単語カードで単語を覚えた人は、
あんな詰め込み式のやり方は、子どもには向かないと思われるのでしょう。
私もそう思います。

私がお伝えしたいのは、子どもの英語習得のために、大事な
3ステップのなかの1つが「語彙を増やす」ことだということ。
その方法は、子どもにあった方法をとらなければいけないと考えています。


さて、みなさんも、ご存じだと思いますが、
日本の小学校では、学力の二極化傾向がすすんでいます。
私も、関心を持って資料をみていて、ある調査に目がとまりました。

それは、小学1年生を対象におこなった「日本語語彙数 調査」です。
6歳の子どもが、日本語で どのくらいの語彙を持っているか調べたものでした。

そして、その調査で、気になる結果が出ていました。
一定数(3000語)以上の語彙を持つ子は、小学校入学後も学力上位層に入り、
高い学力を維持したまま6年生まで推移している、という結果が出ていたのです。

つまり、この調査結果によると、
語彙数で、その子の日本語の習得度合いがみてとれることになります。
確かに、語彙は、その言語での概念や知識をあらわしますね。

そこで、私は、子どもが脳のなかで、語彙を増やす仕組み(*)を調べ、
(*「バイリンガル・キッズを育てよう」に解説しています)、
その結果をもとに、簡易の「日本語 基本語彙リスト」の作成を試み始めました。

これが、5年前のことです。


■■英語の場合はどうなのでしょう?

あるとき、講演会のあと、ご相談を受けました。
(以下、ご本人の承諾を得てます)

「小さい頃から、英語のDVDを見せたり、CDのかけ流しもしたりしていました。
セット教材で単語も覚え、今では、簡単な英語も話せるようになり、
英語の絵本も、読めるようになっています。
それなのに、うちの子は、どうしても英語が分かっていないような気がするんです。」

という悩みです。

お子さんは、英語歴7年の小学3年生の女の子。
英語歴も長く、英語のインプットも十分なされています。

お母さんが、「うちの子は英語が分かっていない」と心配している理由は、
以下の2点でした。


●英語の絵本は、間違えながらも初見で音読している。発音もきれい。
しかし、絵本に何冊あたっても、挿し絵を見てわかる感想しか出てこない。
絵本のストーリーが、分かっていないのではないか。
日本語の本の場合、ストーリーの感想を言っている。
英語は、どこかで、理解がとまっているように思える。

●英語の会話の内容が、日本語で話す内容に比べて、幼い。
そのことで、本人も、英語で話すことを億劫がりはじめている。
(日本語のほうが、小学3年生なみの話ができるため。)
会話の内容は、幼稚園児レベルの会話。それ以上に上達の気配もない。


―――私は、よくよくお話を聞くうちに、もしかしたら、この子は
基本的な語彙が抜けてしまっているのではないか、という予感がしました。
ここでいう語彙とは、理解できる単語です。


そこで、上記の簡易の「日本語 基本語彙リスト」のなかから、500語を抜き出して、
それらの単語を英訳することで、「英語の基礎語彙500語リスト」を作りました。
500語に決めたのは、子ども向け読み物に出てくる語彙のうち、使用頻度の高い
語彙から区切っていくと、
最初の500語が読み物全体の8割をカバーしているという結果が出ていることから
です。(ソーンダイク調べ)

そして、お母さんに、その簡易の「英語の基礎語彙500語リスト」を渡し、
お子さんが、意味を理解している単語と、全く意味が分からない単語を
チェックしてもらいました。

すると、結果は、理解している英単語が、200語足らず。
全体の5分の2に満たない数でした。

予想していたよりも、低い結果です。

お母さんによると、幼稚園のころは当然のように覚えていた単語なのに
小学校に入って、いつの間にか忘れてしまっている、とのことでした。

それは、無理もありません。

小学校に入れば、英語に割く時間も減ります。
また、日本語と違って、英語ですから、大人からみると基本的な単語だと思っても、
子どもにとっては、何が基本語で、何が発展語かなど、区別はありません。
幼稚園で隣のクラスにいた子の名前を忘れてしまうように、
幼稚園時期に覚えていた単語も、しばらく見なければ、忘れてしまいます。

私は、そのお子さんが、これだけの単語しか理解できていないのなら、
小学3年生の知的好奇心と照らし合わせても、
絵本のストーリーにのめりこむのも無理な話だろうと感じました。
今は、習慣で絵本の音読をしていても、それも時間の問題で
続かなくなるだろうと感じました。

私は、子どもが、絵本の絵から、ストーリーの意味を推測する力が優れているのを
実感していますが、
少なくとも、ある程度の数の単語(500語レベル)は自分のものになっていなければ、
意味が分からないことのほうが多すぎて、
次第に、絵本の字面だけ読む習慣ができてしまうことが考えられます。


そこで、私は、そのお子さんに、英語の絵本の音読をいったん中止してもらい、
語彙を定着させるステップに戻ってもらいました。
基本的な単語の意味のおさらいをしてもらったのです。

そして、3か月近くたった後、再び、お子さんに絵本の音読に向かってもらったところ、
お子さん本人から、「英語の絵本の意味が分かる。前よりずっと楽しい」、
また、お母さんからも、
(語彙リストで)忘れていた単語を思い出したあと、絵本を音読していたら
今までにない充実した顔をした。
そして、初めて、自分から洋書の児童書にも手を伸ばすようになりました、
とうれしい報告をもらいました。


このお子さんの例は、もともと、英語の音声のインプットで、
頭のなかに英語をためこんでいたので(ステップ1)、
「語彙の点検」をすることで簡単に問題解決にいたった例です。


今回の本「バイリンガル・キッズを育てよう!」では、「日本でバイリンガルに
育った子どもの英語語彙リスト」の正式な資料をいただき、掲載させていただいています。
英語歴の長いお子さんも、バイリンガル子育てのチェックにお役立てください。

■■■一度覚えた単語を、できるだけ忘れないようにする方法

上のお子さんの事例にもありますが、単語の覚え方は
各家庭によって、さまざまですね。
お母さんが、お子さんに負担をかけない方法をとられていると思います。

それを大前提に、私は、できるだけ、子どもが覚えた単語の
定着度を高めたいと思い、
「バイリンガルキッズを育てよう!」のカリキュラムで、
子どもが、一度覚えた単語を、できるだけしっかり定着させるための
かなりの数の仕掛けをほどこしています。(「単語の定着度 5段階」の図解ありP140)

特に、さまざまな方法の中から、以下の3原則を取り入れました。

それは、

1:反復(単語カードを見て、声を出す。また、時間をおいて、絵じてん使用)

2:同じ単語に、6回出会うこと。

3:単語の意味が分かったときに、イメージと一緒に記憶する。
→英語ゲーム(*)で覚えることで、リンクして思い出すことができます。

そのため、語彙を増やすために、本書のプログラム通り実践して頂くことを
おすすめし、チェック欄ももうけています。

■■「親子あそび」の効用

単語を覚えるのは、親子遊びの方法以外もありますが、
「バイリンガル・キッズを育てよう!」では、あえて、親子あそびのスタイルでご紹介しました。
それは、親子あそびが、子どもにとって、
社会に出てからの問題解決の先行体験になると、知ってしまったからなのです。

みなさんも、そうだと思いますが、大人になっても、
何人かの人と、なにかをやり遂げなければいけないときがありますね。
それは、仕事のプロジェクトであるかもしれないし、
PTAの役員の仕事かもしれません。
親戚の行事もそうです。

そのなかで、自分の役割を見つけ出し、全体で1つの方向に向かって
進めていくことが、ストレスになる人も、少なくないそう。

こんなときに必要な力が、適応力や問題解決力だそうです。

これは、ある程度の気質もありますが、
子どもの時期に、「競いあそび」の経験があると、ずいぶん違うそうです。

特に、信頼できる大人との遊びは、子どもが心を全開にして、
さまざまな能力の芽を発揮し、はぐくみます。

そのときは、グズグズしていたり、癇癪をおこして困らせることが多かったとしても、
子どもは、お母さんが遊びのリードし、対応する様子を見て覚えていて
将来、心の中でお手本にするのかもしれませんね。


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