英語子育てノートvol8
日本語と英語と読み聞かせ

 
 りくも5歳になりましたが、今も寝る前の絵本は続いています。ほとんどが日本の絵本ですが、最近、りくの英語にもいい影響があることに気がついたので、日本の絵本の読み聞かせが子どもの日本語や英語の成長に与えることを まとめてみました。

1、日本の絵本が子どもの「日本語」の成長に与える効果。
1は、以前勤めていた幼児教室や学習塾などで経験したことを中心にまとめました。

 日本の子どもたちは幼稚園に行くようになると 自然におしゃべりするようになっていきます。
日本語を覚えるために、特に何かしたわけではありません。それでは、絵本が子どもの日本語の成長に大事と言われるのは どうしてでしょうか?
ここではまず、「日本語成長」にしぼった「絵本の読み聞かせの効用」についてまとめてみました。

「日本語成長」には、2つの段階があります。

それは、先に習得すると言われている生活言語
(話し言葉)としての日本語と、その後必要になる学習言語(読み書き言葉)としての日本語です。6歳ぐらいまでに子供たちは、幼稚園や家庭での会話によって日本語を上達させていきます。子どもなりに面白いことを言ってみたり、コミュニケーションも上手にとれるようになります。その後 小学生になると、それまで目の前で起こったことが話題の中心だったのに対して、急に抽象的な話を聞いたり読んだりすることが増え、頭の中でイメージしながら 解釈していく力が必要になります。先生から聞く新しい言葉も 普通の生活では到底出てこないようなものが増えます。が、このように生活言語から、学習言語に育てていくことは、総合的な日本語力をつけるために大切です。

それでは、スムーズに学習言語力を育てていくにはどうすればいいでしょうか?

それには、読書が欠かせません。子ども達は 多くの本から 知らず知らずのうちに自分が体験したことのない出来事も文章ごと受け止めて、自分なりの分析をしていきます。そして、学習言語に不可欠な読解力や、抽象的に物事を捉える力をつけていきます。ただ、小学校に入って親や先生に「本を読みなさい」、と言われても それまで本を開く習慣のない子には 苦痛でしかありません。そのために幼児期から絵本の読み聞かせで 絵本の楽しさを教えてあげることが大切になってきます。子どもが本好きなら こんなに楽なことはありません。

こうして、絵本の読み聞かせは 広い意味での日本語を育てるための第一歩だと言われています。
文章題が解けないのはどうして?
文章題になると頭を抱える子に、違う言葉で説明すると あっさり解けることがあります。
ただ、別の問題になると、また頭を抱えてしまいます。
このように、計算ができても、何を問われてるのか、どういう場面や状況なのか中身をイメージする力が未発達のままだと、お手上げになってしまいます。読書は、文章からイメージを描く練習になります。また、口語には出てこない接続詞や主語述語の関係も自然に身につきます。
■作文は一番考える作業と言われています。
作文の得意な子は、 物事を色んな角度からを観察することができる子が多く、その状態に一番ぴったりくる言葉を探そうとするため(「雲」を「しろい」という言葉だけで片付けません。)、言葉に対して敏感です。 そのためどんどん語彙も増えていきます。ただ、ここでも大前提は読書だと言われています。自分が文章を書くときに、年齢に見合った文語的表現に慣れていないと、自由に言葉を操ることはできません。知らないものはできないのと同じです。読書によって文章に浸ると、センスもつかめる気がします。幼児期から、親子で言葉遊び(*)など 五感を使って言葉に注目してみる習慣をつけると、作文に必要な観察力も身につく気がします。
言葉に敏感になる親子の言葉遊び
例:子供に「今日の雲は、どんな雲?」と毎日聞いてみる。雲を見るのを日課にすると 同じように思っていた雲も毎日少しずつ違うことが分かるので、幅広い見方ができるようになります。子どもも それにみあった形容をしたくなり、だんだん色んなことを言い始めます。「しろい」「おおきい」「けむりみたい」「もくもく」「ペンギンの山みたい」「おいしそう」「手が届きそう」「パくっとたべちゃいそう」など。表現が豊かになっていくのが分かります。
うちでは、「しろくまアイス」を食べるときに毎回りくに「今日のしろくま どんな感じ?」と聞いてみました。
りくの答えは「おいしそう」「さくらんぼに雪が降っている」「わらってる(チェリーとみかんの配置がそう見えた)」などなど。

2、それでは、英語はどうでしょう?

 このように、日本語ネイティブな私達でさえ 多くの本や日本語で考える体験を通して、日本語を身につけていきます。それでは 日本に住みながら、 英語を伸ばしていきたい子ども達は 日本語と英語のバランスを どうすればいいでしょうか?英語を 英語での体験だけを元に伸ばしていかなければならないのなら、日本語の本と同じだけの英語の本を読み、日本語と同じような英語で考える体験を積み重ねなければなりません。しかし、それは物理的に不可能です。

そこで、興味深いのが次の記事です。
(「うちの子英語ペラペラになれるかな?」旺文社より)
「しっかりとした母語を持っていれば、何語であれ、それが第二言語を身につけるときに役に立ちます。同じ国から日本に来た二人の留学生の話です。日本語をちょっと話せる、でも母語の力が低い学生と、日本語は全く話せない、
でも母語の力が非常に高い学生がいました。このふたりがその後勉強した結果、日本語の力はどうなったでしょうか?
やはり、母語の力が高い学生の方があっという間に力をつけたのです。」

これによると、日本語の力と英語は何か関係があるような気がします。

りくも5歳になると、英語の物語を喜ぶようになりました。ほとんどが、自分が経験したことのない非日常的なお話です。りくが大好きなスカパーGLCの「トムソーヤの冒険」になると、国も違う上、時代も違います。知らない単語もいっぱい出てきます。今までは、分からないことがあってもそれなりに楽しんでいましたが、りくもだんだん知らない単語の意味や文脈を意識するときが増えてきました


*年齢が上がるにつれ、ラボの絵本のように、英語の前に日本語であらかじめ意味を知っておく、という方法のほうが本人が満足できる、といわれていますが、確かに すでに日本語で内容を知っていると、英語での理解の早さがずいぶん違うので、本人も楽しいと思います。

が、最近、日本語の絵本や体験
(*)で得た知識が 英語にもそのまま活かされていると感じることが増えてきました。例えば、日本の絵本で「弁護士」や「裁判」*(「オリバーくん」ほるぷ出版より)の意味を知ると、「トムソーヤの冒険」を見たとき、前後の会話から「judgeが裁判?インジャンジョーが悪いことしたか 今から調べるの?」と聞いてきたり、思えば、2歳頃、sheepとgoatの区別がつかなかったことなども、日本語の体験で「ひつじ」と「やぎ」の区別がつくようになると、英語でも自然に区別がつくようになっていました。*実際に経験したことは、理解が早い。お友達との遊びや、博物館に行ったり、キャンプしたり、お祭りやお正月の行事に参加したり・・・などなど。部屋の中でビデオやCD-ROMから得たこととは理解が違います。

 りくが 英語で得た知識も日本語で得た知識も、同じ場所にストックされて、どちらから得たものも、
両方を伸ばす肥やしになるように感じます。また、英語を聞いたら英語で答える英英辞典と、日本語の世界での国語辞典の、それぞれどちらも太い幹を作っていくことができれば、翻訳器のようなものがしっかり橋渡しをして、それに見合う言葉を取り出してくれたり、初めて出会う言葉の理解も助けてくれるような気がします。
これに関して 以下のような説があります。
■カナダのトロント大学のカミンズ教授によると、
第一言語と第二言語の間には共有される部分があり、それは認知に関係する部分だと考えられています。
この共有部分は仲の良い共働きカップルの金庫のようなものです。第一言語が稼ぐ「認知の力」も、第二言語が稼ぐ「認知の力」も同じ金庫に蓄えられ、お互いが自由に使える財産となります。そうして、ふたつの言語はお互いに力を出し合って認知に関する金庫の中身を大きくさせながら発達すると言うのです。
この説はバイリンガル教育を推進する多くの専門家によって支持されています。

■アメリカで行われた大がかりな調査で、スペイン語と英語の両方で教育された子供の方が、英語だけで教育された子供より英語で授業が行われる科目での成功率が高くなる傾向があると報告されています。これは、ふたつの言語が助け合いながら認知に関わる部分を発達させるという説とおおいに関連がありそうです。
(「うちの子英語ペラペラになれるかな?」旺文社より)

成長するにつれて、ますます 絵本でしか先行体験ができないものが増えてきますが、
絵本から得た知識が多い子は、今後、いろんな英語に触れるとき、新しく出会った英語の単語や流れを推測するときのヒントをたくさん持っています。また 読書により、新しいお話に飛び込むのに慣れていると、知らないこと、分からないこと(英語も含む)に対する抵抗も少ないように思います。

今後、教材中心だった英語から、洋画を見たり英語の本を読む機会が増えてくると思いますが、本人が満足感を得ながら英語を続けていくために、日本語での体験や読書から得た知識が助けになり、りくのペースで英語が続けて行けたらいいなぁ。。と思います。