2002/2/11 第11回:「不動産鑑定士制度」とは?
 前回からの続きということで、「行政改革と鑑定士制度」後編になります。

●報酬規定の在り方見直し
『公正有効な競争の確保や合理性の観点から、報酬規定の在り方を見直す。』
 鑑定士については、すでに自由競争になってますので、あまり関係ありません。しかし、自由競争のもとで鑑定報酬もかなり下がってきているように感じます。
 ちなみに、他の士業では、以下のようだそうです。
『報酬規定については、事務系10資格のうち、公証人については政令で定められており、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士及び弁理士については法律により会則記載事項とされている。その内容は、税理士だけが報酬の最高限度額とされている以外は報酬の標準とされており、いずれの場合であっても個別事業における報酬額の決定は依頼者と資格者の協議によるものとされている。他の資格のうち不動産鑑定士については、報酬規定が既に廃止され、行政書士についても、第145回国会において行政書士法の一部改正により、会則記載事項としないこととされた。
 報酬規定については、日本土地家屋調査士会連合会が報酬規定記載額を確定額として運用するよう各土地家屋調査士会を通じて各土地家屋調査士を指導していた疑いで、公正取引委員会から独禁法違反のおそれがあるとして警告を受けた例もある(平成9年10月9日)。 』
 結論として、
『このような事情を踏まえ、当委員会としては、公正有効な競争の確保や合理性の観点から、報酬規定の在り方を見直すべきであると考える。』
 そうあるべきでしょう。

●法人制度の検討
『資格者に対する利用者の複雑・多様かつ高度なニーズに応えるとともに、資格者による継続的かつ安定的な業務提供や賠償責任能力の強化などの観点から、必要に応じて資格者の法人制度の創設を検討する。
 法人制度に関しては、現行法制上、不動産鑑定士については営利法人による資格者の雇用が認められており、公認会計士については既に監査法人の制度がある。弁護士事務所の法人化については、規制緩和推進3か年計画(改定)において、「具体的在り方等につき、さらに検討を進め、これを踏まえて、速やかに所要の法的措置を講ずる」こととされ、平成11年度に調査・検討、12年度に措置とされており、当委員会としても、その状況を引き続き注視していく。
 同様に、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士及び行政書士についても法人制度の創設を検討するべきである。
 なお、弁理士については、現在、法人制度について具体的に検討されていると承知しており、これを評価し、前向きの結論が出されるよう、その動向を注視していく。』
 すでに鑑定士には導入済みです。

●試験の合否判定基準
『不動産鑑定士試験及び公認会計士試験においては、合否判定基準を定めていてもこれを公表していないが、透明性の確保の観点から、税理士試験にならいこれを公表すべきである。』
 試験については、いろいろ意見があります。何回受けても合格しない人がたまにいます。でも、こういう人は意外と知識が豊富で、実務も良く知っていたりします。どの試験も実務に詳しいと通らなかったりすることがあるように思いますが、どうです?

●配点の公表
『配点を公表した場合には、配点の高い問題のみに偏った勉強をして試験に臨む者が現れるという弊害が予想される、試験問題の難易度により採点結果が前年度と大幅な差が生じている場合には、配点基準を見直すこともあり得るなどの理由により、現在は、事務系10資格の試験のうち税理士試験及び行政書士試験以外に配点を公表している試験はない。しかし、両試験においては特段の問題は生じていないことから、両試験にならい、不動産鑑定士試験、司法試験、司法書士試験、土地家屋調査士試験、公認会計士試験、社会保険労務士試験及び弁理士試験も配点を公表すべきである。』
 配点が公表されれば確かに、配点の高い問題から勉強するでしょう。しかし、最近は予備校等が発達していますから、どこが試験に出やすいとかかなり研究が進んでいて、結局のところあまり問題ないと思います。

●不合格者に対する成績通知
『試験の透明性を確保する等の観点から、現在、司法試験、公認会計士試験及び弁理士試験においては、不合格者に対して受験結果をランク別等により通知しているが、不動産鑑定士試験、司法書士試験、土地家屋調査士試験、税理士試験、社会保険労務士試験及び行政書士試験についても同様の措置を講ずるべきである。』
 やりましょう。でも、あと1点とかだったらすごく悔しいでしょうね。何と言っても試験は年1回ですから。ということは、試験回数も増やすべきなのでしょうか。

●まとめ
 後、試験関係については、
 ・合格発表の迅速化
 ・科目合格制、既合格科目の再受験免除制度の推進
 ・試験問題の公表・持ち帰り
 ・資格者数の増大
などがあげられています。
 しかし、鑑定士はこうやって見ると、意外と他の資格より進んでいるような印象を受けますが、いかがでしょうか。
 「行政改革→自由化→鑑定士の増大→競争の激化→報酬の下落→もうからない」ではやはりいけません。これからも努力し、知識の向上に努めましょう。