2005/7/16 ●仕事と両立、企業も評価――将来読み資格取得
 
労力を見極めて職場への配慮も
 世は資格ブーム。新たな資格が次々に登場し、キャリアアップを目指すビジネスパーソンが取得に動く。苦労して取るなら何とか仕事に生かしたい。仕事に生きる資格の選び方や使い方、注意点を探った。
 「株式の勉強のつもりだったが、資格を取ったら次々に仕事を紹介され、給料も一割弱上がった。本当にびっくり」と話すのは派遣社員のAさん。昨年、証券外務員の資格を取得し証券大手で働いている。証券外務員は株式売買に携わるための資格で、実務経験のない人に解禁されたばかり。事務専門だったAさんの仕事の幅は大きく広がった。
 弁護士、公認会計士、税理士…。人気資格は膨大な勉強量が必要で、企業人には高根の花。一方、証券外務員資格のように、地味だが、働きながら取得できて労力と経費に見あう成果がある資格も少なくない。
 パソナキャレントで転職のカウンセリングに携わる森島典裕氏が、そんな資格としてあげるのは、20代までの日商簿記二級と、40代以降のキャリアカウンセラー(CDA)だ。
 簿記二級は高校生も取得する経理の基礎的資格。「経理職は20代の人材募集が多く、異動や転職時に威力を発揮する」(森島さん)。専門性が高く、長期的なキャリア形成にも役立つ。転職を重ね収入アップにつなげることもできるという。
 就職のアドバイスなどを行うCDAは、人生経験がものを言う資格。実は森島さん自身も40歳を過ぎてから取得した一人だ。法律知識の暗記なども少なく、「記憶力が衰える年代でも取りやすく、仕事も比較的多い」と指摘する。
 人気資格の司法試験は難関だが、森島さんはビジネス実務法務検定に注目する。「司法試験の勉強がいきて取得しやすい上、企業の法務職などニーズは大きい」(森島さん)という。
 大半の人は、将来のキャリアプランを描きながら今後深めたい専門性にそった資格を目指す。人事・総務分野で力を発揮したいと思えば社会保険労務士、経理畑なら税理士という具合だ。しかし、こうした資格取得には「覚悟」が必要だ。
 税理士や社会保険労務士の場合、資格を企業でアピールするなら「一般の事務所で2、3年働くことが必要」(森島さん)という。実務経験のない資格は評価されないからだ。また、雇う企業側には独立の不安を抱かせることにもなる。
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 「資格には需給の問題もある」と資格コンサルタントの末木紳也氏は指摘する。社労士の有資格者は約3万人。最近は毎年5千人弱の社労士が新たに誕生。単純計算すると有資格者は10年で3倍弱になることになる。「将来も仕事が確保できるか、よく見極めるべきだ」と話す。
 試験に通っただけでは、安心できない資格もある。企業の経営助言などを業務とする中小企業診断士だ。二次試験に合格しても、3年以内に決められた日程で行われる実務補習か、経営助言などの実務従事を15日以上積まないと、診断士の登録を受けられない。
 実務補習は連続8日間、決められた日程で行われる。職場で経営助言の実務をこなせない場合は、この補習を受けるしかないが、長期の休みを取れるかどうか。会社に資格取得を求められていない場合は、慎重な判断が必要だ。
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 資格を取得するための勉強方法にも気を配りたい。電機大手に勤めるBさんは、課長昇格試験に備え、2年前から週3日程度の夜学に通い、MBA資格を取得した。ところが、MBA取得後に待っていたのは関係会社への出向。目標の課長試験を受けることもできなくなったという。
 原因は通学のために、残業を断ることが多かったためだ。会社の指示がない自己都合の資格取得は業務外活動。労働時間が不十分なら評価は当然下がる。しかもMBAは会社の業務に直結しない能力資格だ。Bさんの場合、自分の意欲と能力を評価してもらうつもりが逆効果になった。
 もちろん、資格を取得するメリットはビジネスにかかわる部分だけではない。勉強で得られる知識や仲間は人間としての魅力を高めることにもなるだろう。ただ、努力して後悔する事態は避けるべきだ。将来設計を十分に考えた、戦略ある資格取得を目指したい。

企業の資格奨励金と資格取得までの勉強時間    
資格  奨励金(円)  勉強時間の目安(時間)
  公認会計士  169,583  3600
  不動産鑑定士  125,385  1500
  税理士  124,394  2500
  司法書士  114,411  1000
  中小企業診断士  112,625  1000
  社会保険労務士  68,461  700
  日商簿記検定1級  45,214  800
(注)奨励金は産労総合研究所の2003年調査、勉強時間は末木紳也氏試算

【コメント】
1500時間だそうです。

2005/7/9 ●不動産マネー「名古屋買い」
 
 名古屋市中心部ではオフィスビルの建設計画が目白押しで、地価の上昇傾向が目立っている。ファンドや名古屋圏外の不動産業者などが高値で土地を落札するケースも増えてきた。地元の金融機関や不動産関係者の間では市中心部の一部の地価上昇に過熱感が出ていると警戒する声もある。
 不動産関係者によると、名駅、伏見、栄の各地区を中心に名古屋市内の土地の取引価格が上昇傾向にある。「路線価の1.5倍から3倍程度で取引されるケースも出てきた」(不動産鑑定士)という。
 地域経済の好調さに加え、2007年から08年にかけて名駅周辺に開業する高層ビル「豊田・毎日ビルディング」「名古屋ルーセントタワー」などの再開発効果が波及している。
 ただ、ファンドを通じた不動産への投資熱の反動を心配する声も出始めた。ある大手証券の担当者は「名古屋は東京に比べてオフィスビルの回転率が低く、本来は空室リスクが大きい」として、名古屋物件の高利回りを期待する投資家に警鐘を鳴らす。
 岐阜県の地方銀行は「名古屋中心部の不動産開発への融資はリスクが大きい」と慎重姿勢を見せる。
 不動産投資アナリストの川津昌作氏は「名古屋市中心部の地価上昇はかなり急で、経済実態を反映していない可能性もある」と指摘している。

【コメント】
名古屋もバブルかな。