ミャンマーでクーデター勃発
なんとミャンマーでクーデターが勃発した。
(石材店)「国際紛争オタクの幹事長としてはワクワクですか?」
(幹事長)「さすがに、これには嫌悪感しか感じないなあ」
最近、ミャンマー国軍からクーデターを匂わせるような発言は出ていたが、本当に決行されるとは思わなかったので驚きだ。
軍がクーデターを起こした理由は、昨年11月の選挙で惨敗したからだ。
元々ミャンマーでは1988年にクーデターで軍事政権が発足した。
今の世の中、軍事政権を支持する国は悪の帝国である中国とロシアくらいなので、大半の国から経済制裁を受けてきた。
そのため経済は疲弊し、ボロボロになってきたため、仕方なく2010年に民主政に移管した。民主政に移管すれば、制裁が解かれるからだ。
軍事政権に大きな不満をため込んでいた国民は、民主政に移管した直後の選挙では、アウン・サン・スー・チー氏を圧倒的多数で支持し、スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した。
そして昨年11月の選挙でも引き続きNLDが圧勝したため、焦った国軍がクーデターを起こしたという事だ。
選挙で惨敗したところで、議会では4分の1の議席を軍が得られるようになっているため、軍は憲法の改正などは阻止できるものの、このままでは民主化の大きな流れを食い止めることはできなくなると焦ったのだろう。
軍がクーデターを起こしたのは、選挙後、初めて議会が招集される直前だった。
議会が招集されてしまうと新政権が発足してしまうので、その前のクーデターを起こして新政権発足を食い止めたかったし、また議会のために全国からNLDの議員が集まってきているので、一網打尽に拘束できるからだ。
軍事政権化で利権を貪ってきた国軍は、何としても権力を失うことは避けたいので、クーデターを起こしたのだが、どう考えても、先の見通しは暗いだろう。以前の軍事政権の時のように、国際的には孤立していくだろう。
アメリカのバイデン大統領は、早速「アメリカはミャンマーにおける民主化の発展を踏まえて制裁を解除してきた。民主化が後退するのであれば、我々は直ちに制裁の見直しを行う」と制裁発動を警告しているし、ヨーロッパ各国も同じだ。
もちろん、悪の帝国である中国とロシアは軍事政権を支持するだろうが、自分自身に火の手が上がっているロシアのプーチンにミャンマーを強力に支援する余力は無いだろうから、支援するのはもっぱら世界征服を企む悪の帝国中国だけだろう。
中国だけとは言っても、その力は大きいので、侮れない。世界中の大半の国から制裁を受ける中で、中国だけが支援すれば、ミャンマーは完全に中国の属国になるだろう。中国以外の全ての国から制裁を受けている北朝鮮と同じ状況だ。
ミャンマー国軍とすれば、利権を手放すよりは、中国の属国になった方が良いと判断したのだろうが、それで国民の反発を抑え込めるかどうかが問題だ。
いくら力で抑えこもうとしても、こうなるとアウン・サン・スー・チー氏に対する国民の支持はますます高まっていくだろう。
せっかく民主化が実現してアウン・サン・スー・チー氏が政権を獲った割には、あんまりパッとしないため、国民の熱狂的な支持がいくらか冷めつつあったアウン・サン・スー・チー氏だが、こんな事になると、再び熱狂的な支持を集めるだろう。
どう考えても国軍に支持が集まるとは思えないから、長い目で見れば完全に逆効果だろう。
軍としては本当に北朝鮮のようになっても良いと腹をくくったのかどうか分からないが、一度、民主化を経験した国民を力で抑え込むのは至難の業だろう。
ところで、日本の立場は微妙だ。かつての軍事政権下で欧米諸国が制裁を課していた時でも、日本は援助を続けていた。昔々から日本はビルマと良好な関係を維持してきたからだ。
また、日本が手を引くと、残るは中国だけになり、完全に中国の植民地と化してしまうので、それを阻止するためにも日本はミャンマーを見捨てる訳にはいかないからだ。
この構図は今回のクーデターでも同じで、日本としては非常に難しい立場に立たされてしまった。できる事なら民主主義を踏みにじる軍事政権には制裁を課したいが、それ以上に中国の進出を阻止しなければならない。
どちらを優先しなければならないかと言えば、もちろん中国の進出阻止だ。いくら軍事政権が悪いと言っても、中国よりはマシだ。中国がのさばるよりは、軍事政権を容認した方がマシだ。
しかし、民主主義を踏みにじる軍事政権には吐き気がする。
(石材店)「幹事長は独裁主義者かと思ってましたが」
(幹事長)「私を独裁者にしてくれるのなら良いけどね」
誤解が多いので断わっておくが、私は民主党の残党どもは死んでも許さないが、ゴリゴリの民主主義派だ。
民主党の残党どもと民主主義は何の関係も無い。民主党の残党どもは万死に値するが、民主主義は体を張ってでも守っていかなければならない。
(石材店)「株価の事しか頭に無いのかと思いましたよ」
(幹事長)「民主主義と新自由主義経済は車の両輪やがな」
また、今回のクーデターにより、国際的に大きな注目を集めてきたロヒンギャ問題の解決は一層、困難になっただろう。
ミャンマーの民主化を進めてきたスー・チー氏でさえも、ロヒンギャ問題には消極的だったくらいだから、国軍がクーデターで実験を握ったからには、ロヒンギャ問題などは徹底的に無視するだろう。
(2021.2.2)
〜おしまい〜
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