フィンランドとスウェーデンのNATO加盟問題
アルツハイマー病が著しい狂人ボケ老人プーチンが始めたロシアによるウクライナ軍事侵略は、予想外のウクライナ軍の頑強な抵抗により、狂人ボケプーチンの野望どおりには進まず、今のところ大失敗の様相を呈している。
ウクライナ軍がロシア軍を開戦前の状態にまで押し戻すのは困難と見られているが、少なくとも「3日間もあればウクライナ全土を占領できる」と考えていた狂人ボケプーチンの目算は大きく外れてしまった。
狂人ボケプーチンの誤算は、ロシア軍の苦戦だけではない。
もともと狂人ボケプーチンのウクライナ侵略は、NATOの東方拡大を阻止する事が最大の目的だった。放っておけばウクライナがいつかはNATOに加盟しそうになったから、それを阻止するために侵略に踏み切った。
ところが、皮肉な事に、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、長年、中立を守ってきたフィンランドとスウェーデンがNATO加盟へ大きく動き出した。
フィンランドとスウェーデンはEUには加盟しているが、NATOには加盟していなかった。他のヨーロッパ諸国とは緊密な関係を保っている両国だが、軍事的には長年にわたって中立を守ってきたのだ。
ちなみに、ノルウェーはNATOには加盟しているがEUには加盟していない。
北欧の国々はちょっと理解しにくい面があるが、どの国も、NATOやEUに加盟はしていないものの、極めて緊密な連携をしており、これまでは実質的な問題は無かった。
なぜなら、まさか今の時代においてロシアが本気で戦争を仕掛けてくるとはNATOは思ってもなかったからだ。
しかし、ロシアによるヨーロッパ侵略が始まった今、平和ボケしていたヨーロッパは目を覚まさなければならなくなった。
フィンランドは過去、何度もロシアから侵略を受けてきた歴史的背景から、長年にわたって軍事的に中立の立場をとってきた。一時はソ連の半属国的な立場さえ忍従していた。
ソ連の崩壊と冷戦終結を受けて、フィンランドはロシアをもう脅威とはみなさなくなっていたが、それでも長年の中立は守ってきた。
て言うか、ロシアが脅威でないとすれば、そもそもNATOの存在意義すら無くなるので、今さらNATOに加盟しようという気持ちは無かった。面倒くさいだけだからだ。
しかし、ロシアによるトンでもない戦争開始によって目が覚めたフィンランドは、スウェーデンと共にすぐさまNATOへ加盟申請した。
狂人ボケプーチンのウクライナ侵略は、NATOの東方拡大を阻止する事が最大の目的だったのに、ヨーロッパの中でもロシアと最長の国境を接するフィンランドがNATOに加盟するのだから、皮肉もいいところだ。
フィンランドとスウェーデンが足並みを揃えてNATOに加盟すれば、ロシアの封じ込めには大きな力となる。
て事で、ロシアと中国と北朝鮮を除く世界中の誰もが大歓迎した。
ところが、トルコが予想外の行動に出た。
なんと、トルコのエルドアン大統領はフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対したのだ。
その理由は、
・フィンランドとスウェーデンが、トルコがテロ組織として掃討作戦を進めている反体制組織「クルド労働者党」(PKK)や、PKKと関係の深いシリアのクルド勢力を支援していること
・トルコが2019年にシリア北部に侵攻した際、フィンランドとスウェーデンがトルコへの武器禁輸の発動に加わったこと
だ。
エルドアンは「トルコに制裁を科すような人々の加盟に賛成することはできない」などとほざいていた。
しかし、これは明らかに難癖に過ぎない。
そもそも、トルコという国は怪しい国だ。
アジアとヨーロッパに挟まれた場所にあり、両方の要素を持っている。かつては大帝国として周辺諸国を荒らしまくっていたが、今は単なる地域大国に過ぎない。
長年ヨーロッパにあこがれ続け、かねてよりEU加盟を熱望してきたが、EUはお茶を濁してきた。
エルドアンが独裁を続ける強権的社会政治体制が民主的でないとか、色々とイチャモンを付けているが、それも事実ではあろうが、EUの中にもハンガリーなど、似たような強権的国家はあるので、決定的な理由とも思えない。
たぶん、心の中ではトルコはヨーロッパではないと差別しているのだろう。
EUには加盟させてもらえないトルコだが、NATOでは主要国として加盟している。強力な軍事力を保有しているから、NATOとしてはトルコの存在は大きい。
しかしながら、もともとソ連に対抗するための軍事同盟であるNATOに加盟しながら、トルコはロシアとも一定の関係を保っている。
ロシアから武器を買ったりしている。今回のロシアによるウクライナ侵略に対しても、仲介役を果たそうとしたりしている。
こういう怪しい立場にあるトルコなんか、NATOから追放したらスッキリするのにって思うが、トルコの軍事力は魅力的だし、それにNATOから追放したらトルコはロシア側に寄って行くかもしれない。
そうなるとヨーロッパにとっては大きな脅威となるので得策ではない。
こういう怪しい立場にあるトルコが、今回のフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に対して反対したので、またまたエルドアンが悪巧みしているのは見え見えだった。
そして、一体どうなるんだろうって世界中が固唾を飲んで見守っていたら、大方の予想を裏切って、NATO首脳会議を前に、あっさりと両国のNATO加盟を容認した。
その理由は、北欧の両国がトルコの要求を飲んだからだ。
トルコとフィンランド、スウェーデン両国が合意した覚書には、
・両国はPKKなどへの支援を停止する
・両国は一部クルド人の送還に対処する
・両国はトルコへの武器禁輸を解除する
などが盛り込まれた。
NATO加盟を切望する両国が、エルドアンの要求に屈した形だ。
ただし、これらの要求は表向きなものに過ぎない。実利としては、アメリカとの関係修復が大きい。
トルコはアメリカとNATOの軍事同盟で結ばれているにも拘わらず、シリアで好き勝手やっているためアメリカから制裁を受けており、アメリカから武器の導入ができなくなっている。
そのためトルコはロシアから兵器を購入したのだが、それでますますアメリカとの関係が悪化していた。
独裁者エルドアンは似たようなトランポとは良好な関係を維持していたが、ヨボヨボバイデンからは嫌われており、首脳会談も実現してこなかった。
今回、トルコが難癖をつけてゴネたため、ヨボヨボバイデンはトルコが北欧両国のNATO加盟を了承するば首脳会談に応じると持ち掛け、その結果、エルドアンはヨボヨボバイデンと会談する事ができたのだ。
この会談において、エルドアンは老朽化したF16戦闘機の改良型機を売却するよう強く要求し、ヨボヨボバイデンは仕方なくエルドアンの要求を受け入れた。
さらにエルドアンは、シリアに大規模侵攻してシリア北東部を支配しているクルド人勢力を一掃しようと企んでいる。
シリアのクルド人勢力「人民防衛隊」(YPG)は3万人規模の戦闘員を擁しており、過激組織イスラム国(IS)を壊滅させたシリア民主軍(SDF)の主力部隊だ。
シリア民主軍はアメリカ軍と協力関係にあり、クルド人勢力もアメリカと協力してシリア北東部を支配している。
なので、トルコがシリアに侵攻してクルド人勢力と戦うという事はアメリカとも戦う事になり、非常にややこしい事となる。
また、クルド人勢力と戦うという事はシリアのアサド政権と協力するという形になり、当然ながらアサド政権の後ろ盾であるロシアとも協力する事を意味する。
このように、我儘で姑息なトルコをのさばらしておくと大変な事態を招く事になる。
なので、フィンランドとスウェーデンがなんとかNATOに加盟できた暁には、その後は手のひらを返したようにトルコを締め付けなければロシアの増長を許してしまうだろう。
(2022.7.3)
〜おしまい〜
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