被爆二世への補償問題

〜 これまた常識的な対応を取ろう 〜



長崎原爆の被爆者の子供である被爆二世の人達が、被爆者と同様の援護措置を受けられないのは法の下の平等を定めた憲法に違反するなどとして、国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が福岡高裁であった。
判決は「原爆による放射線の遺伝的影響は証明されておらず、国の措置は差別的な扱いとはいえない」として請求を退けた一審の長崎地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した

(石材店)「この記事も、権利を主張する風潮に警鐘を鳴らすためなんですか?」
(幹事長)「よく分かったね、ワトソン君」

国は被爆者援護法に基づいて、原爆の投下時に爆心地近くにいたり、後に爆心地近くに入ったりして被爆した人たちに対しては、ガン検診を含む無料の健康診断や医療費負担、各種手当の交付などの援護をしている。
しかし、全国に数十万人いるとみられる被爆二世は対象外だ。厚生労働省が定めた要綱に基づく健康診断は実施しているが、ガン検診は含まれない。

そのため、原告は、遺伝学者による動物実験などを根拠に、放射線被害は遺伝的に影響する可能性があるとし、援護措置の対象に被爆二世を含まないのは法の下の平等を保障する憲法に違反すると主張し、法を改正して適用範囲を二世に拡大しないのは立法不作為だと訴えていた。

これに対して、裁判所は、放射線の遺伝的な影響について否定的な研究も複数発表されていることや、被爆二世の死亡率やがん発症率の増加が認められないことを指摘した。
そして、「被爆二世については原爆による放射線の遺伝的影響は証明されていない。被爆者などと同じ援護をしないことが差別的な扱いとはいえず憲法に違反しない」として、援護対象に二世を含まないことには根拠があり、国会の立法裁量の範囲内だと結論づけたのだ。

常識的な判決だろう。
放射線に遺伝的影響があるのか無いのかについては、なかなか決着は着かないだろう。恐らく無いと思われるが、絶対に無いかと言われると、100%の否定は難しいだろう。
なので、放射線の遺伝的影響の可能性が完全には否定できない中で、援護の対象となっていない事について不満があるのは分かる。
だが、だからと言って、何でもかんでも補償の対象にするのは不合理だろう。

放射線は常に宇宙からも降り注いでいるし、地面からも出てきている。地球上のあらゆる人間は常に放射線を浴びており、放射線を浴びる事を前提に生物は進化してきた。
なので、そもそも放射線が絶対的に体に悪いのかどうかも断言はできない。放射線が体に絶対的に悪いのであれば、ラジウム温泉とかは全て体に悪いって事になる。

ガンの恐れがある、なんて言っても、私自身も含めて、今は日本人の半分がガンになる時代だ。
ガンになったからと言って被爆の影響だなんて言ってると、収拾がつかなくなる。何でもかんでも被爆の影響にしてしまえば良いってもんではない
歳をとってくれば誰だって体調は悪くなる。私も近年、体のあちこちに不具合が出てきて困っている。

昨年9月の水俣病訴訟では、これまで水俣病と認定されず救済策の対象にならなかった人たちが国などを訴えていた裁判で、原告全員を水俣病と認定し、国と熊本県、チッソに賠償を命じた。
それに対して、国や熊本県は控訴した。補償の範囲を上訴審において明確にする必要があったからだ。

このような補償においては、当然ながら何がしかの基準が必要となる。何か基準を決めないと、際限なく全ての国民が対象になってしまうからだ。
本当に水俣病や被爆の影響なのかどうか判断するには、確かな科学的な根拠が必要不可欠だ。

(2024.3.1)



〜おしまい〜





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