落書きを許すな

〜 当たり前の判決 〜



公園のトイレにペンキで「戦争反対」なんて落書きしたのを建造物損壊の罪に問われた東京の男に対し、最高裁は上告を棄却する決定をし、懲役1年2月、執行猶予3年とした1、2審判決が確定した。至極まっとうな判決だ。

この男は、2003年に東京都杉並区の公園内にある公衆トイレの外壁に、赤や黒のスプレー式ペンキを使って「戦争反対」とか「反戦」などと大きな文字で落書きしたのを捕まった。
壁を壊すなど建物の機能を損なった場合は明らかに建造物損壊罪が成立するけど、落書きについては明確な司法判断がなく、拘留(30日未満)と科料(1万円未満)の罰則しかない軽犯罪法違反を適用することが多かった。今回、最高裁は「建物の外観や美観を著しく汚損し、原状回復に困難を生じさせたのは、損壊に当たる」と判断したのだが、建物への落書きに建造物損壊罪が成立するとしたのは最高裁の初判断とのことで、画期的らしい。

しかし、常識で考えれば、とてもまっとうな判断だと思う。落書きなんて、昔は子どものいたずらで、雨でも降れば消えるようなものだったけど、近頃は公共施設だけでなく店舗のシャッターや民家の壁に至るまで、あちこちで見苦しいペンキの落書きを見かける。体は大人だけど頭の中が空っぽの幼稚なバカが、他人の迷惑なんか全然考えずに好き勝手に汚し放題だ。スプレーペンキの販売を規制した方が良いのではないかと思えるくらいだ。今回の判断を受け、今後は5年以下の懲役が科される建造物損壊罪を適用しやすくなり、落書きの抑止効果が期待できる。

例によって、金儲けしか考えていない反社会的存在である弁護士は、「落書きがあったからトイレを使用できないと思う人はおらず、建物の機能を損なっていないから、建造物損壊罪は成立しない」と無罪を主張していた。こんな社会の病原菌のような弁護士は、自宅を落書きだらけにしてやりたい。

ただし、今回の事件が、ただの落書き事件でないのは、書いたのが「戦争反対」とか「反戦」といった思想的な内容だったことだ。もしこれが、暴走族が書いた「○○参上」とかいうような落書きだったら、警察も落書きくらいで逮捕しなかったのではないだろうか。犯人の方も、仮に捕まったとしても、裁判で争ったりしなかっただろう。
同じ構図は、2004年にあったイラク派遣反対ビラにも見られた。東京の防衛庁官舎で自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体メンバー男女3人に対し、東京地裁が「罰するほどの違法性は認められない」として、無罪を言い渡した事件だ。判決は今回の落書きとは反対の結果となったが、政治的意図があったために、ささいな事件で逮捕、裁判になるった点は同じような構図だ。そういう意味では、ちょっと気の毒。

だがしかし、さすがに、ビラをまいたくらいで逮捕するなんて、ちょっとムチャすぎると思うけど、今回の事件は政治的な臭いが感じられるとは言え、落書き自体は許せない社会悪ので、これを機に徹底的に取り締まって欲しいと思う。

(2006.1.21)



〜おしまい〜





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