アスペルガー症候群殺人事件の続き

〜 妥当な判決 〜



一昨年、大阪市で姉を刺殺したとして、殺人罪に問われていたアスペルガー症候群の男に対し、去年の7月、大阪地裁が求刑(懲役16年)を超える懲役20年の実刑判決を下した裁判控訴審判決が大阪高裁であった。結果は、一審判決を破棄し、「犯行の動機に障害が大きく影響しており、責任を軽くする事情ととらえるべきだ」として、懲役14年を言い渡した。
そもそも求刑を超える判決ってのが珍しかったのだが、その理由として「障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れが強い。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持につながる」というのが、特異というか衝撃的な判決だった。

(石材店)「障害者の犯罪に対して厳しい幹事長としては珍しい反応だったですよねえ」
(幹事長)「だから、その言い方は誤解を招くってば」


くどいようだが、私は障害者の犯罪に対して厳しいのではなく、何でもかんでも障害者だという理由で無罪や執行猶予を求める風潮というか弁護士が許せないだけだ。障害者であろうが無かろうが、犯罪を犯した者は厳正に処罰せねば秩序が保たれないのに、金儲け第一の悪徳弁護士どもは、すぐに「障害者は冷静な判断ができず責任能力が無いから罰するべきではない」なんて言う。でも、それを言い出すと、冷静な判断ができず犯罪を犯すような危険な人間なら野放しにしてはいけないだろう、という事になってしまう。まさに去年の一審判決の趣旨だ。「家族が同居を望んでいないため障害に対応できる受け皿が社会になく、十分な反省がないまま社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶ恐れが強く心配される。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」てことで、殺人罪の有期刑の上限である懲役20年が言い渡されたのだ。殺人罪の有期刑の上限が懲役20年だから、仕方なく懲役20年にしたわけであり、できるなら一生刑務所に収容したかった、ってことだ。そりゃあ、殺人を犯したキチガイなんか一生収容所に閉じこめておきたいのが圧倒的多数の市民の感覚だろうけど、キチガイだからって一生収容所に閉じこめておくってのも、なんだか怖い。キチガイも怖いけど、収容所ってのも怖い

そうではなくて、障害者であろうがなかろうが、犯罪を犯した人間は、同じように罰せられるべきだと思う。犯罪者に精神鑑定するなんて全くナンセンスだ。精神的に完全にノーマルな人間が殺人を犯すケースは少ないと思う。つまり、犯罪者を精神鑑定したら、何らかの異常があるのが当たり前と思う。

なので、今回の控訴審で常識的な量刑が言い渡されたのでホッとした。とは言え、発達障害の人の犯罪ってのは、難しい問題をはらんでいる。重度の発達障害だという人で、次のように言う人もいる。

社会に受け皿がない以上、解決策がない。僕自身、自分がコントロールできない。事件に至るまでに何とかしなければいけないんだろうけど、何とかできないから、そうなっちゃったわけです。相談窓口へ行っても事務的で、深刻な話になるほど頼れない。事件が起きてから騒がれるのは、今のいじめの問題と、本質は同じ。やるべきことは、事件を起こした後に擁護することではなく、事件を起こしてしまうまで追いつめないような逃げ道を作ることだと思います

これを読むと、確かに一審判決もやむを得ないかなあ、なんて思ったりする。
しかし、やっぱり、自由は最も尊重されなければならない権利だ
何があっても自由だけは守り通さなければならない。

(2013.2.27)



〜おしまい〜





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