アメリカのシリア攻撃

〜 矛盾だらけの混沌 〜



アメリカのトランプ大統領が突然、シリアを攻撃した。シリア中部ホムスのシュアイラート空軍基地にトマホーク巡航ミサイルを59発撃ち込んだのだ。
攻撃の理由は、アサド政権が反政府勢力に対してシリアのイドリブ地方で化学兵器を使用したからだ。アメリカは、アサド政権が使用したのは猛毒の神経ガスであるサリンであると断定しており、再び化学兵器を使用させないために攻撃したと言っている。
トランプ大統領はこれまで、シリア情勢に対して不干渉の立場を示していたが、突然、方針を転換したことになる。

なぜトランプ大統領は態度を変えたのか。本人は「残虐な化学兵器を使ったから」と言ってるが、本当にそんな単純な理由でシリア攻撃という大きな方針転換をするだろうか。トランプ大統領は感情的に思いつきで態度をコロコロ変える人間だから、そういう単純な理由もあり得るかもしれないが、いくらトランプ大統領とはいえ、こういう重要な政策を一人っきりで決めている訳ではなく、取り巻きのブレーン達を相談した上で決定している。なので、アサド政権に対する懲罰という意味合いもあるだろうが、他にも北朝鮮の核開発を抑えるための圧力とか、北朝鮮に対して甘い姿勢を変えない中国に対する圧力とか、さらにはアメリカ国内でのトランプ政権支持率の低迷を打開するためと言った理由があるだろう。
今回の攻撃が米中首脳会談中に行われたことも、中国と北朝鮮への圧力という側面が窺える。また、トランプ大統領の対立候補だったヒラリー・クリントンやトランプ大統領に批判的な共和党のジョン・マケイン上院議員も、今回のトランプ大統領の行動には支持を表明しているから、国内世論への対策という面でも一定の効果はあるだろう。

今回のアメリカによるシリア攻撃に対して、主要先進国は軒並み支持しているが、当然ながら反米諸国などは批判している。彼らの主張は「アメリカの攻撃は国際法上違法だ」だというものだ。国際法上は、武力の行使は個別的自衛権、集団的自衛権の行使に加え、人道的介入などが認められている。今回、アメリカは直接的にアサド政権から攻撃を受けた訳ではないから、化学兵器使用に対する人道的介入という事になる。日本を含めた先進主要国がアメリカの攻撃を支持している根拠は、化学兵器使用が人道的違反行為に当たるからだ。
一方、反米勢力は、今回の攻撃は国連安保理決議に基づいた介入ではないから国際法上違法だと避難している。アサド政権を支えるロシアは「侵略行為」とまで言って批判している。確かに、国際条約に違反した国が出た場合は、最終的には安保理による強制行動によって対処することになっており、安保理の支持を得ない単独の軍事行動は、個別的、集団的自衛権の行使以外では国際法上違法ということになる。
だが、ロシアや中国といったならず者国家が拒否権を持っている現状では、安保理が機能するわけがない。そもそも国連なんて、これまでもロクに機能した事はない。どうでもいいような弱小国の内戦なんかに細々と対応することはあっても、アメリカとロシアが対立するような紛争でまともに機能したことはない。なので、アメリカが何の進展も期待できない国連を見限って単独の実力行使に踏み切ったのは自然な流れだ。トランプ大統領が国連を軽視しているのは以前から周知の事実だ。そして、主要先進国は軒並みアメリカの行動を支持している。

つまり、国連がどうのこうのと言ってみたところで、結局は強い国は好き勝手やれるのだ。国際法がどうのこうのと言ってみたところで、いざ戦争になれば、そんなものは無視だ。警察官がいない世界で「法律違反だ」なんて叫んだところで何の意味も無い。あるいは警察官(アメリカ)自らが行っている行為に対して「法律違反だ」なんて叫んでも、いったい誰に対して叫んでいるんだ。何の意味も無いのだ。

こういう国際社会の常識を知ってか知らずか愚かなマスコミは例によってアメリカの行動に対して否定的だ。愚かなマスコミが主張しているのは、反米勢力と同様に「アメリカの攻撃は国際法上違法だ」っていう幼稚な主張だ。愚かなマスコミはトランプ大統領が大嫌いだ。ちなみに、口先で偉そうに言うだけで、現実の世界平和に何の貢献もできず、かえって世界の混乱に拍車をかけた弱腰オバマに対してはマスコミは好意的だった。つまりマスコミは、かつて非武装中立なんていう愚かで自分勝手な主張を繰り広げた幼稚園児より知能が劣る社会党と同じ発想しかできないのだろう。そして、その社会党の残党を抱える民進党も、アメリカの攻撃を支持した日本政府を批判している。これだけを取って見ても、いかに民進党に政権能力が欠如しているかが分かる。あんな泡沫政党はお取り潰しにするしかない。

(石材店)「今さらですが、幹事長はアメリカのシリア攻撃を支持していると?」
(幹事長)「アサド政権に対して恨みは無いけどね」


シリアのアサド政権が国内で何をしようが何の恨みも無い。狂犬病患者みたいなアサド大統領に対して何の親近感も同情も無いが、ことさら恨みは無い。アサド大統領は内戦で随分ひどい事をやっているが、そもそも戦っている相手はアルカイダ系の反政府勢力と、ISだ。アメリカを非難している反米諸国にしたって、その大半はISに対しては敵対している。しかし、その他の反政府勢力に対しては、そもそもはアルカイダ系が牛耳っているにもかかわらず、アサド政権を倒すという目的のために支援している。しかし、もしアサド政権が倒れてしまったら、イラクやリビアのようにシリアは大混乱に陥ってテロリスト集団の天国になってしまうのが目に見えているので、アサド政権には踏ん張ってもらいたい。その点では、嫌なロシアにも頑張ってもらいたい。頑張ってISだけでなくテロリスト集団である反政府勢力も殲滅して欲しい
実はトランプ大統領だって、その点は理解しており、アメリカのシリア政策ではISの打倒が最優先であることに変わりはないと強調しており、シリアの内戦に積極的に介入する方針がない考えも示している。

(石材店)「それなのにアメリカのシリア攻撃を支持していると?」
(幹事長)「総合的に見たらね」


世間では、というか愚かなマスコミどもは、今回の電撃的な攻撃に驚いているが、トランプ大統領がこれまでの不干渉政策を突然変えてシリアを攻撃したことも、またアサド政権が化学兵器を使用したという確かな証拠が無いのに攻撃したことに対しても、特に驚きは無い。アメリカは結局、そういう国だ。なんだかんだ言っても、世界で圧倒的なパワーを持つ唯一の超大国だ。何をやっても驚きはない。
今回の攻撃はイラク戦争を彷彿とさせる。いい加減な情報を元にイラクを攻撃してフセイン政権を倒してしまい、イラクを混乱の極地に陥れた愚行を彷彿とさせる。あんないい加減な戦争を仕掛けたアメリカにとって、今回の攻撃程度の事は、そんなに驚くことではない。
イラク戦争に対しては私は大いに批判したが、今回のシリア攻撃に対しては批判する気はない。なぜなら、今回の電撃的な攻撃は北朝鮮と中国に対する真剣な圧力になるからだ。北朝鮮は相変わらず狂犬のように吠えまくっているが、内心は恐怖で凍り付いているだろう。だからこそ吠えまくっているのだ。
また、アサド政権には気の毒だが、今回の攻撃は化学兵器使用に対する懲罰的な攻撃であり、あくまでも限定的なものであり、アサド政権をひっくり返そうとか、その後ろ盾であるロシアと本格的に対立しようとは思っていないから、まあ許容範囲だ。

ところで、愚かなマスコミどもは、アメリカの攻撃を批判する一方で、化学兵器の使用に対しても批判している。ものすごく矛盾しているが、マスコミどもは頭が悪いので、その矛盾に気付いていない。一体どうしろと言うのだろうか。呆れるばかりの頭の悪さだ。
て言うか、そもそもなぜ化学兵器だけが残虐さを非難されるのだろうか。化学兵器は残虐だが、通常兵器は残虐でないのか。そんな事はない。通常兵器だって残虐だ。通常兵器は使用してもいいけど化学兵器を使用してはいけない、っていうのは勝手なダブルスタンダードだ。
そもそも戦争は非常に残虐な行為だ。大勢を殺害しようが少数を殺害しようが、どのような方法で殺害しようが、殺された本人や家族にとっては、かけがいのない命を殺害された残虐な行為だ。なので化学兵器だけをことさら非難するのは理解できない。戦争とは残虐なものであり、切ないものだ。

(石材店)「好戦的な幹事長とは思えないお言葉ですねえ」
(幹事長)「戦争が嫌だからこそ、好戦的な中国と朝鮮をアメリカに抹殺して欲しいんだよ」


(2017.4.9)



〜おしまい〜





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