食中毒予防の6か条

その1  食品を購入する時、注意しなければならないこと
その2  食品を保存する時、注意しなければならないこと
その3  下準備する時、注意しなければならないこと
その4  調理する時、注意しなければならないこと
その5  食事する時、注意しなければならないこと
その6  残った食品の注意しなければならないこと

その1  食品を購入する時の注意事項 新鮮であること
■ 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入すべし  新鮮なものとは何ぞや
  ミニ知識 その1 食品の新鮮度チェック
 ・鮮魚 新鮮な物は、魚体が固く、目が透き通り、尾がはね上がっています。
 ・貝類 新鮮な物は、たたき合わせると澄んだ良い音がします。
 ・牛肉 鮮赤色できめ細かく、締まって弾力のあるものが良質です。
 ・豚肉 鮮紅色でつやがあり、締まったものが良質です。
 ・鶏肉 肉の締まりがよく、皮の毛穴が盛り上がっているものが良質です。
 ・冷凍食品 包装袋の中に霜がたくさん出ているものは、乾燥し品質が低下しています。

■ 表示のある食品は、表示を確認して購入すべし 表示を理解できるか
  ●ミニ知識 その2 表示をチェック
 ・何処の、誰が製造したものか書いてあること。
 ・現在、牛乳や肉類、豆腐や弁当などのように5日以上日持ちしない食品については、年月日を「消費期限」として表示しています。
  また、ベーコンやハムなど、日持ちが3ケ月以内の食品は年月日を「賞味期限」(品質保持期限でも良い)として表示し、
  即席めんやジャムなど3か月を越える食品については、日にちは表示せず年月だけを「賞味期限」として表示しています。

消費期限と賞味期限(品質保持期限)について

◆消費期限
 定められた方法により保存した場合において、腐敗・変敗その他の食品の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限を示す年月日のことです。
 基本的に品質が劣化しやすく、製造後、製造日を含めておおむね5日以内に消費すべき食品につけられる表示です。
【例】食肉、生麺類、弁当、調理パン、惣菜、生菓子類、その他

◆賞味期限(品質保持期限)
 「消費期限」とちがい、それを過ぎたら食べられないのではなく、おいしく食べられる期間です。
 食品は作った日ではなく、「期限」で示すことになっています。食肉など傷みの早いものは「消費期限」、凍って傷みにくい冷凍食品などは
 「賞味期限(品質保持期限)」といった方法です。期間をどう決めるかの基準は食品衛生法では定めていません。
 例えば、発酵させてつくる納豆などは、メーカーによっては作った日と賞味期限の両方を示し、
 メーカーによりその期間が長い、短いといったこともあります。
 業者は「食べごろ」などを考えて出荷していますが、業者により作る工程や管理の方法が異なるため、メーカーごとに検討し、
 科学的に定めています。
【例】清涼飲料水、食肉製品、魚肉ソーセージ、冷凍食品、 即席麺類、魚肉練り製品、牛乳、乳製品、その他

■ 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。

■ 特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら寄り道せず、
  立ち話をせず、まっすぐ持ち帰るようにしましょう。


その2 食品を保存する時の注意事項 菌を付けない・増やさない
■ 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。

■ 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。冷気が流れ難くなります。目安は、7割程度です。

■ 冷蔵庫は10度C以下、冷凍庫は、−15度C以下に維持することがめやすです。
 温度計を使って温度を計ると、より庫内温度の管理が正確になります。隔測温度計(外付けで内部温度が見えます)を使用しよう。
 細菌の多くは、10度Cでは増殖がゆっくりとなり、−15度Cでは増殖が停止します。しかし、細菌は生きています。
 早めに使いきるようにしましょう。

■ 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁など がかからないようにしましょう。

■ 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手指を洗いましょう。石鹸を使い洗った後、流水で十分に洗い流すことが
  大切です。簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。

  ミニ知識 その1 保存方法
 ・食品の品質が保たれる期間は、保存される場所の温度や湿度といった保存状態に左右されます。
 ・期限(消費期限・品質保持期限)は「定められた方法により保存する」ことを前提に決められていますので、流通の際や家庭においても
  十分可能な保存方法を適切に表示することが義務づけられました。
 ・食品に表示される期限は、開封する以前の品質を保証するものです。開封後は保存状態にもよりますが、表示されている期限よりも
  早く劣化しますので注意が必要です。
【例】
要冷蔵(保存温度10℃以下)、要冷凍(保存温度-15℃以下)、4℃以下で保存

・保存方法が「常温」でよい食品については、常温で保存する旨の表示は省略できることになっています。
 ただし、常温保存可能な食品でも温度のほかに表示された期限に影響を与える保存の条件(光、湿度など)がある場合は、
 その旨表示することになっています。
 また、乳および乳製品のうち、常温保存可能なもの(LL牛乳など)については、従来どおり常温で保存する旨の表示をします。

 ●ミニ知識 その2 牛乳の殺菌方法について
LTLT(Low Temperature Long Time)低温長時間殺菌法
 63度30分の加熱処理が基準。大量処理には向かない。甘味ととろみが増す(首都圏コープで扱っている「ノンホモ低温殺菌牛乳」の殺菌法)。

HTST(High Temperature Short Time)高温短時間殺菌法
 72度15秒の加熱処理が基準。パイプなどに原乳を通しながら連続的に加熱処理を行う。タンパク質やカルシウムの熱変性が少なく、原乳に近い風味がある。

UHT(Ultra High Temperature)超高温殺菌法
 80〜85度5〜6分加熱のあとに120〜130度2秒の加熱処理が基準(一般の牛乳のほとんどがこの殺菌法)。原乳中の有用な菌までも殺してしまい、また、タンパク質やカルシウムの変性も大きい。

LL(Long Life)
 ロングライフミルク=LL牛乳は、UHT処理(日本のLL牛乳の場合、135〜150度のより高温な滅菌処理が多い)のあと、無菌状態でABパックなどに充 填した牛乳で、冷蔵しなくても約90日保存できる。

 *LTLT法とHTST法は(細菌学者のパスツールにちなみ)パスチャライズ法と呼ばれ、この殺菌法による牛乳を「パスチャライズ牛乳」と呼びます。
首都圏コープでは、牛乳のおいしさを生かせる殺菌方法で飲むことを基本に、パスチャライズ牛乳を扱っています


その3 下準備する時の注意事項 菌を付けない・増やさない・殺す
■ 台所を見渡してみましょう。
  ゴミは捨ててありますか? タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか? せっけんは用意してありますか?
  調理台の上はかたづけて広く使えるようになっていますか? もう一度、チェックをしましょう。

■ 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。

■ 手を洗いましょう。

 ●ミニ知識 手洗いの基本
 ・まず、指輪・腕時計等を全てはずして、肘まで腕まくりしてください。肘から下を流水で(石鹸をつければより効果的)洗ってください。
 ・石鹸や洗剤で洗う これは汚れを落とすことであって 手指についている菌を殺菌することではありません。
 ・石鹸や洗剤を洗い流した後、消毒薬で手指を消毒(殺菌)します。→ブラシで指のシワの間や爪の間、
 ・逆性石鹸による消毒(手洗い)によって殺菌できます。消毒薬を流水で洗い落としてください。
逆性石鹸 商品名は「日本製薬オスバン」 薬店・薬局等で販売しています。
■ 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、また、手を洗いましょう。
  途中で動物 に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後 の手洗いも大切です。

■ 肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。

■ 生肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜など生で食べる食品を切ることはやめましょう。
  洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々に使い使い分けるとさらに安全です。

■ ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。

■ 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。
  室温で解凍すると、食中毒菌が食品中で増える場合があります。
  解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行いましょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。

■ 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
  解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。
  冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。

■ 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。
  ふきんのよごれがひどい 時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。
  包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。


その4 調理する時の注意事項 菌を付けない・増やさない
■ 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。
  下準備で台所がよごれていませんか? タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。

■ 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
  加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺すことができます。
  加熱の目安は、中心部の温度が75度Cで1分間以上加熱することです。

■ 料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。
  途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。
  再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。

■ 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器を使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。


その5  食事する時の注意事項 菌を増やさない
■ 食卓に付く前に手を洗いましょう。

■ 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。

■ 温かく食べる料理は常に温かく、冷やして食べる料理は常に冷たくしておきましょう。
  目安は、温かい料理は65度C以上、冷やして食べる料理は10度C以下です。

■ 調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。
  例えば、O157は室温でも15〜20分で2倍に増えます。


その6  残った食品の注意事項
■ 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
  残った食品は清潔な器具、皿を使って保存しましょう。

■ 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。

■ 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。

■ 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75度C以上です。
  味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。

■ ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。


主な食中毒菌 食中毒菌の一覧表へリンクしています

食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
「6か条」はこの三原則から成っています。

これらのポイントをきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう。食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。

それでも、もし、お腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちが悪くなった りしたら、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。