主な食中毒菌(ウイルスを含む)
細菌・ウイルス名原因食品菌の特徴症状(潜伏時間)予防のポイント
腸炎ビブリオ 海の鮮魚介類とその加工品
また、二次的に汚染された食品(主に塩分のあるもの)
塩分を好み、塩分2〜5%でよく発育。他の食中毒菌と比較して発育が早い。 下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱。
発熱までの時間:8〜24時間
発病のピーク:12〜20時間
・低温管理(漁獲から消費まで)
・二次汚染防止
・加熱処理
・魚介類の洗浄は真水で。
・8〜9月の夏期から秋口に多発
サルモネラ食肉及びその加工品、鶏卵、淡水魚。また、二次的に汚染された食品動物やヒトに広く分布している。ネズミ、ハエ、ゴキブリ、犬や猫などのペット類も汚染源。 下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐。
発病までの時間:5〜72時間
発病までのピーク:8〜24時間
・食肉類の生食はさける。
・鶏肉、牛肉、豚肉の加熱処理は75℃、1分以上。
・卵は必ず冷蔵庫に保管し、加熱調理は十分な温度で。
病原大腸菌原因食品は多種にわたる。未消毒の井戸水やレバー刺し等の生肉は要注意(特にO157)。ヒトに対する発症機序によって、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管集合性大腸菌、腸管出血性大腸菌(O157)の5種類に分けられている。 下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、血便。
発病までの時間:12時間〜8日
なお、O157等は溶血性尿毒症で死亡する例も。(O157は意識障害も)
・他の細菌性食中毒と同じ。食品(特に食肉等)は75℃、1分以上中心部まで加熱する。
・定期的な水質検査の実施。
エルシニア・エンテロコリチカ家畜、ネズミの腸内容物から高率に検出。感染経路はサルモネラに類似している。発育温度は25〜30℃であるが、5℃前後の低温でも発育する。 腹痛、下痢、発熱、頭痛。
発病までの時間:2〜5日といわれているが明確ではない。
・食肉は十分加熱してから食べる。
・5℃前後でも発育するので保存には注意が必要。冷蔵庫を過信しない。
カンピロバクター 鶏肉(とりわさ等の半生肉)。
また、二次的に汚染された食品、飲料水。
家畜、家きん、ペット、野生動物などのあらゆる動物に分布し、水系の集団発生もみられる。少量の菌で食中毒を起こす。 発熱、下痢、腹痛。
発病までの時間:2〜7日
平均1〜3日
・生肉と調理済みの肉類は別々に保存。
・十分な加熱
・二次汚染の防止
ウエルシュ菌カレー、シチュー、肉や野菜の煮物、これらを使用した弁当、仕出し関連食品。大量に調理された食品中(酸素が少ない状態)で菌が増える(嫌気性菌)。他の食中毒菌に比較して発育が速い。 腹痛、下痢。
発病までの時間: 6〜24時間
発病のピーク: 8〜12時間
・煮物、食肉等の調理には十分熱を通すこと。
・調理後は早めに食べる。
・加熱食品は短時間で冷却した後低温保存。
・弁当、仕出し、集団給食施設は要注意。
黄色ブドウ球菌穀類の加工品、弁当、にぎりめし(おもに家庭で調製されたもの)、菓子類 ヒトや動物の化膿創や手指・鼻咽喉等に広く分布する。
食品汚染、増殖、毒素産生の三要素。
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛。
発病までの時間:1〜5時間
発病のピーク:2〜3時間
・手指のキズや化膿創のある者の調理取り扱い禁止(個人衛生の徹底)。
・手指の洗浄、消毒の励行。
セレウス菌
土壌など自然環境に広く分布。
日本では、チャーハン、ピラフ、
オムライス、スパゲッティーから多く出ている。
食品中に増殖すると毒素を産生する。4〜50℃で発育する。 吐き気、嘔吐。
発病までの時間: 1〜5時間
発病のピーク: 1〜3時間
・一度に大量の米飯やめん類を調理しない。
・米飯やゆでたスパゲッティーを室温放置しない。
ボツリヌス菌魚肉発酵食品(イズシやキリコミ等)、野菜・果実類のびん詰。 食品の中で毒素(神経性)を産生。
これが食中毒の原因となる。毒素にはA〜G型まであるが、ヒトの食中毒はA、B、E型である。
めまい、頭痛、かすみ目、発語障害、嚥下障害、呼吸困難など。
発病までの時間: 5〜72時間
発病のピーク:12〜24時間
・新鮮な原材料を用いて洗浄を十分に。
・低温保存と喫食前十分加熱。
小型球形ウイルス
 (SRSV)
加工養殖のカキやハマグリ。十分加熱調理されていない食べ物。 10月から4月頃にかけて集団発生。
ヒトのみが感染するウイルス性食中毒
下痢、嘔吐、腹痛、吐き気、発熱、頭痛。
発病までの時間:24〜48時間
発病のピーク:28〜36時間
・手洗いの励行(個人衛生の徹底)
・食材の加熱
・調理器具を介した二次汚染の予防
・給水設備の衛生管理等