ス ト レ ス

1936年イギリスの雑誌「ネイチャー」にカナダの生理学者ハンス・セリエ博士が「ストレス学説」を発表したことから、この言葉が使われるようになった。ストレスと言う言葉は物理学の用語です。
物体に力が加わった時に生じる歪み、ひずみのこと をストレスと言います。
外部からのあらゆる刺激がストレスの要因【ストレッサー】となります。外部から力や刺激が加わり、歪みをそのままにしておくと、ストレスによる症状が起きます。

ストレスとは、生物【人間を含めた全ての動植物と言う意味です】が外的・内的な刺激に対する反応とそれに適応していく過程そのものを概念化したものです。生物が生きていく以上ストレッサーから逃れることは出来ません。
従って、生きていく以上ストレスから逃れることは出来ないのです。

次の調査結果は
 従業員規模1,000人以上の大企業522社のホワイトカラー職場を対象に、本社の経営企画部門、総務・広報・秘書部門、経理・財務部門、人事・労務・教育部門及び営業部門に勤務している
 社員に対して調査し労働大臣官房政策調査部が平成12年8月9日発表したものです

1 企業経営戦略の変化が労働者のストレス等に与える影響

 ・終身雇用を維持すると考えている企業で働く労働者(ストレス「あり」が55.0%)よりも、基本的に見直すと したり、終身雇用慣行をとっていないとする企業で働く労働者(同62.6%、同72.7%)の方が、ストレスは高かった。

 ・勤務先企業が60歳代の再雇用・勤務延長を考えている企業で働く労働者(ストレス「あり」が52.4%)よりも、再雇用等を考えていない企業で働く労働者(同61.3%)の方が、ストレスは高かった。

 ・企業のコスト削減策や効率化の実施内容のうち、「法定外福利厚生費の大幅削減」の実施は労働者のストレスを高め(「削減が行われていない」でストレス「あり」が58%、「削減が行われている」で同66.4%)、職務満足を下げる関係にあった。また、「本社スタッフの大幅スリム化」の実施も労働者のストレスを高め(「スリム化が行われていない」で同55.1%、「スリム化が行われている」で同61.9%)、職務満足を下げる関係にあった。

2 成果主義及び目標管理の在り方が労働者のストレス等に与える影響

 ・目標設定の仕方及びその納得性は、「上司から一方的に決められる」という人(ストレス「あり」が72.0%)ほど、 また、「設定された目標に納得していない」(ストレス「あり」が81.3%)など目標管理や評価の結果に納得してい   ない人、また、評価への異議の申立ができない人(ストレス「あり」が71.1%)ほど、ストレスが高く職務満足は低い  という関係にあった。

3 会社に対する評価及び会社観・仕事観と心身影響の関係

 ・賃金水準の維持・向上など会社側の配慮度に対する評価の高い人ほど、ストレスが低く職満足が高いという関 係にあった。

 ・会社観・仕事観について、「会社のためなら多少は私生活を犠牲にしてもやむを得ない」という項目について
「強くそう思う」という人ほど職務満足が高い傾向にあり、同時にストレスも高くなる(ストレス「あり」が83.3%)傾向にあった。また、「会社名や社内での地位が自分の励みになっている」の項目についても「強くそう思う」という人ほど職務満足が高い傾向にあり、同時にストレスも高くなっていた(同84.6%)。これは会社への忠誠心や仕事への意欲が強すぎるのも、過剰適応や生活の歪みを生んで、ストレスを高めることを示唆している。

4 企業におけるストレッサーコントロールの重要性

 [職場におけるストレスの増大]

 労働者が生活をしていく上で、ストレスは職場に限らず、生活上のあらゆる場面で常に伴うものである。
さらに、職場におけるストレスについても、人事・労務管理によるストレスだけでなく、人間関係や職場の雰囲気
等に起因する多様なストレスが考えられる。
 しかし、近年企業の経営環境が厳しさを増す中で、労働者は雇用や将来に対する不安や人事・処遇の変化、
仕事や職場の変化にさらされ、職場における「人事労務管理によるストレス」は増大していると考えられる。
人事労務管理制度の変化は、企業が経済社会の変化に対応するため不可避なものであるが、労働者が過剰  なストレスを抱えた場合、仕事の生産性の低下や心身の変調へとつながることが懸念され、企業としても看過でき ない問題である。このため、労働者のストレス対策は、今まで以上に重要となっている。

 [総合的なストレス対策の必要性]

  ストレス対策は、労働者の許容量を超える過度のストレッサー(ストレスの原因となるもの)にさらさない積極的な 配慮(ストレッサーコントロール)と労働者が蓄積したりしているストレスをカウンセリング等で解消する
事後的対応(ストレスコントロール)の2つの面があり、十分なストレス対策を実施するためには両者を有効に組み合わせ、総合的なストレス対策を実施することが重要である。
 しかしながら、人事・労務管理の在り方と職場におけるストレッサーに関する研究はこれまで十分に行われておらず、今日の労働者がどのようなストレッサーにさらされているかは明確ではなかった。
本調査は、近年の人事・労務管理の変化に伴う職場のストレッサーと労働者のストレスとの関係(本社スタッフの大幅スリム化といった企業 経営戦略の在り方、仕事の目標の設定の仕方、個人の会社観・仕事観といったストレッサーが労働者のストレスとどう関わっているかなど)を研究した我が国で最初の調査として意義あるものといえる。
本研究成果を踏まえると、今後企業には、従来のような労働者が受けたストレスの解消の支援(ストレスコントロール)だけでなく、労働者が受けるストレッサーが許容量を超えるものとならないとする配慮、すなわちストレッサーコントロールが求められるであろう。
労働者の健康な職業生活=QOL(Quality of Life)を守るためには、ストレスの問題を個人の原因に帰するのではなく、労働者全体の問題として企業がストレッサーコントロールとストレスコントロールを一体的に行うことが必要であり、政府においてもそうした企業の取組を促進することが必要である。
としている。

ストレッサーの種類について考えてみましょう

ストレスの原因【ストレッサー】となるものを大きく分類してみると次のようになると思われる。

1、物理化学的ストレッサー・・・自然などの外部環境
 物理的
  天候、火傷、けが、放射能、凍傷、悪臭、騒音、振動etc.
 化学的
  酸素の欠乏・過剰、薬害、有害物質、過度な飲酒etc.
2、社会的ストレッサー・・・・・社会生活における周囲環境
  転勤、職場環境の変化、隣人関係、経済的不安、生活環境の変化etc.
  避けられない過密社会での生活や会社の歯車的役割(出張、通勤、接待)。政治経済問題、家庭内の問題
  (嫁姑問題、夫婦間係、子供の教育や進学、)老人問題etc.
3、生物学的ストレッサー・・・・生体環境
  細菌、ウイルス、カビ、花粉症、感染症、アレルギー原因物質etc.
4、精神的ストレッサー・・・・・心理状態
  個人の性格や受け止め方の違いがあるが、仕事や生活上の出来事や人間関係における問題

あなたのストレス対処能力度をテストしてみませんか

ストレス対応能力自己採点テスト・SOCスケール 抜粋

1.あなたは、自分の周りで起こっていることがどうでもいいと、言う気持ちになることがありますか?
    (1)よくある7点 (2)時々5点 (3)たまに3点 (4)まったくない1点

2.あなたは、これまでに、よく知っている人の思わぬ行動に驚かされたことがありますか?
    (1)よくある7点 (2)時々5点 (3)たまに3点 (4)まったくない1点

3.あなたは、あてにしていた人にがっかりさせられたことがありますか?
    (1)よくある7点 (2)時々5点 (3)たまに3点 (4)まったくない1点

4.今まで、あなたの人生には、明確な目標や目的がありますか?
    (1)よくある7点 (2)時々5点 (3)たまに3点 (4)まったくない1点

5.あなたは、不当な扱いを受けているという気持ちになることがありますか?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

6.あなたは、不慣れな状況にいると感じ、どうすればよいかわからないと感じることありますか?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

7.あなたは毎日していることは
    (1)喜びと満足を与えてくれる7点 (2)時々ある5点 (3)たまに3点 (4)つらくて退屈1点

8.あなたは、気持ちや考えが非常に混乱することがありますか?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

9.あなたは、本当なら感じたくないような感情を抱いてしまうことがありますか?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

10.あなたは、自分はダメな人間だと感じることがありますか?
    (1)よくある7点 (2)時々5点 (3)たまに3点 (4)まったくない1点

11.何かが起きた時には、ふつう、あなたは?
    (1)過大あるいは過小評価をする1点 (2)時々ある3点 (3)たまに5点 (4)適切に評価7点

12.あなたは、日々の生活で行っていることに、ほとんど意味がないと感じることがありますか?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

13.あなたは、自制心を保つ自信がなくなることがあります?
    (1)よくある1点 (2)時々3点 (3)たまに5点 (4)まったくない7点

採点法:平均55点で、高いほどストレス対処能力があるとされます。


あるテレビ番組出演者の人生を料理して食材とするで小泉純一郎首相が出された食事を旨そうに食べていると、女性レポーターが首相に「首相、ストレスが多くて大変でしょうね」、と言うと、「何、最初のストレスは次のストレスが追い出してしまうよ」と事も無げに言ってのけた。さすか政治家と感心した。

1】同じストレッサーでも人によってストレスになる場合とならない場合がある
心地よく晴れ上がった路上で二人の女性が挨拶をしていた
「今日は、良いお天気で気持いいですわねえ、洗濯物も、お布団も良く干せるし」
「そうですわねえ、私には大変なんですよ、光過敏症なので、夏が思い遣られますわ」

「花の季節になって彼方此方から良い香りが漂って来ますわねえ」
「そうですか、花粉症の私にとっては嫌な季節なんですよ」
2ストレスは「悪」ばかりではない
自分のことで恐縮ではあるが、私風小僧は幼い頃から「筋萎縮症による両下肢損傷」により足が不自由です。中国に「塞翁が馬」と言う諺があるが、「足が不自由」な事は運動する事にとっては最大のハンディでもある。中学生の頃に友人の一人小橋君【今でも大方町入野で健在である】は鉄棒が得意で大車輪等の大技をよく披露していたものである。彼の華麗な演技を羨ましく思いながら見ている内にふとある事に気付いた。彼が足を使うのは一瞬のことであって常時使っていないという事に。腕の力と体全体のバランスが全てである事にも。それから風小僧の挑戦が始まった。車輪が出来るまでに至ったのは或寒い冬の朝のことであった。高知新聞にも載り、切り抜きが近年まで在ったように思う。「足が不自由」というハンディがストレスになっていたが、そのストレスをも一度よく観察して見直して見ることで、何年も続いていたストレスが無くなってしまった。つまり、「悪いのは足だけなんだ」その他どこも悪くないんじゃないか、そう思った瞬間から何にでも挑戦する挑戦しようという気構えが強くなった。この事件が今の風小僧を創ったと思っている。


続く