かぐや姫との遭遇
竹取物語を知っていますか
 ある時、竹取の翁とよばれる翁が竹藪で竹を選んでいると、一節が黄金色に輝いている一本の竹を見つけ、
切ってみると、その中からかわいい女の子を見つけました。
夫婦で育てていくと、女の子は体から不思議な光を発する美しい姫に成長しました。

都の五人の貴公子が求婚しましたが、姫は難題を言いつけ貴公子たちは次々と挫折してしまいました。
やがて、帝がこの噂を聞きつけ、姫のもとに使いを出しましたが、
姫は自分が月の世界の者であることを告げました。

 ついに姫が月の世界へ帰る日がやって来ました。帝は、多くの兵を遣わし姫を守ろうとしましたが、
呆然として何も手を出せません。姫は、衣服ひと重ねと不死の薬を竹取の翁に与えて月の乗り物に乗って帰ってしまいました。
翁は、姫がいなくなってはこの世に未練はないと不死の薬を駿河の高山で燃やしてしまいました。
 その後、山頂から煙が立ちのぼるようになり、その山を「不死山」とよぶようになりました。
現代の富士山伝説

「かぐや姫」は居ると思いますか。
実は高知県の大方町の竹林の中で「かぐや姫」は、静かに眠っています。
あなたが訪れて来られるのを待ちながら。あなた以外の人にはその姿を見ることは出来ないんです。
気配すら感じることが出来ないんです。
静かにそよぐ竹林の中は、風の音が子守唄のように聞こえ、少しひんやりとした空気が流れています。
緑の竹林の上空から一条の光が射し込んでくる風景は、物の怪の世界を彷彿とさせます。

大方町にはあちこちに竹林がありますが、今は手入れもされないまま荒れ放題、時々訪れる竹の子掘りの人が枯れ竹を取り除くくらいなものです。

以前は竹細工も盛んで、
竹かご、菜ぞうけ、鳥かご、虫かご、ぶったい、ウエなどが雑作もなく売られていたが、
とんとお目にかかることはなくなった。

また、身近に日常的に竹細工用の道具.....................
竹割り包丁:竹の割り剥ぎに使う.....半割り包丁:丸竹を半割りにする時に使う大振りな包丁
切り出し小刀:竹材を削る時に使う道具..  竹引き鋸:竹細工用の目の細かい鋸.....
クジリ:  編み目を詰めたり、縁籐飾りなどで使う道具.. 縁通し:縁巻き加工に使う.........
など、少し、器用なおじいちゃんの居る家にはあったものです。

  現在、日本全国に一体どれぐらいの竹細工職人が存在するのだろう。
勿論、その技だけで生活を営むことの出来る竹細工師の事である。
日本の竹細工というのは興味を持って調べてみると、日本の技としてかなり古い歴史を持っている事が簡単に見えてきます。

農具、漁具、狩猟、生活用具。様々な所でその用途に応じて形、大きさ、編み方を駆使して使われて来たのである。ほんのつい最近まで日常生活に欠かせない道具だった訳ですが、現在はその多くの場所をプラスチック製品に取って変わられているのが現状です。

プラスチック製品無しでは一日だって生活出来ないのが現実であって、私達の生活の中でもプラスチック製品は所狭しとおかれているし、現代の生活様式において今後竹製品が昔の様に広く一般で使われる事もまずないであろ う。

しかし、最小限の道具だけで自然の素材から何かを作る事はどんな時代でも大切な知恵だと私は思うし、又竹の美しさ、良さを再確認する時代が来てもよいのではないでしょうか。下に大分県が取り組んでいる事業から竹に関する部分を取り出してみました。
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 別府産業工芸試験所の利用案内から抜粋しています。
デザイン相談
  製品デザインや商品開発に関する情報・資料の提供、指導を行います。
技術相談   竹材加工技術(編組・接着・機械加工・漂白・防虫・防かび・染色・塗装・炭化着色等)の相談、助言を行います。
現場指導
  企業等の指導要請に対し、現場で製品デザインや加工技術等の指導を行います。
技術者の研修   基本的製造技術を有する人を対象に、より高度な技術習得の研修指導を行います。
情報・資料の公開   竹材や竹製品のデザイン・技術等に関する文献情報・資料・図書等の所内閲覧に応じます。
・当所が収集した文献・産地情報・記事・図録等の検索が可能な「竹のライブラリー」を開設しています。
展示室の公開   所内展示室に当所試作品、参考品等を展示し、企業等の見学者に公開しています。
・竹編組製品を中心に、花篭・テーブルウェア・バック・インテリア(照明器具・椅子・テーブル)等。
・別府地域の工芸製品(竹製品・つげ細工・小木工品)や工業的竹製品(竹フローリング・竹炭・竹酢液等)も参考展示。
加工設備の利用   木竹製品の試験加工に必要な各種機械等が利用できます。(有料)
各種講習会・発表会   外部講師や当所研究員によるデザイン・技術等に関する講習会、発表会を開催します。
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あなたは竹に興味をお持ちですか、あなたは竹についてどの程度ご存じですか?

なぜなら、かぐや姫はある種類の竹の中でしか眠らないからです。

かぐや姫が生まれ出たのは「キンメイモウソウチク」だという説があります。

では、「キンメイモウソウチク」ってどんな竹なんだろう。そんな疑問が湧きませんか。
竹は極めて種類が多く、東南アジアをはじめとして全世界で1200種にも及ぶといわれています。日本にはそのうちの約半分、約600種が分布しています。竹の国日本の竹の90%を占めるのが、真竹、孟宋竹、淡竹です

竹について少しは知識がないと、かぐや姫との遭遇は非常に難しいわけです。寄り道して、竹のことを勉強していきますか。
YES



じぁ、作兵衛さんとこへご案内しましょう。
作兵衛さんは夫婦みずいらずで暮らしておられるんじゃ、無口な人じゃけんど、
心根の優しいお人で子供らあわ東京と大阪で暮らしちょる。盆休みや正月になると孫を連れて帰ってくる。
作兵衛さんの一番の楽しみじゃ。

さて、着きましたよ。

「作兵衛さん、東京からのお客さんを案内しましたよ、今日は、三人さんじゃ」
「・・・・」  作兵衛さんは黙ったまま番茶をすすめてくれる。
少し渋みのある味が爽やかに口の中に広がる。
作兵衛さんが、カマ・トウグワ・ショウレン・手袋などを用意してくれ、ドンゴロスへ道具一式を放り込んで皆に担ぐよう指示する。

歩くこと15分余り、山際の石ころの多い坂道にさしかかると、
「細い道じゃぁけん足元に気ぃつけれ」
作兵衛さんが声を掛ける。
朴とつとした温かみのあるその一声で、話し掛けてもよいものだろうか・・
堅苦しかった雰囲気が和む。
「さて着いたぞ」

見渡すとあちこちに、30センチから50センチ位に伸びた筍が頭を出している。作兵衛さんから指示が飛ぶ。
長い筍は上の方から30センチ位の所をカマで切るように。掘る場合は、竹の子の根元40から50センチの周囲の柴や小石を除け、直接の根元から掘らずに、周りからトウグワで掘り始めて白い根が見える位になったらショウレンでひっくり返すようにする。

「欲を出すと後で後悔するぞハハハハハ」作兵衛さんが笑う。誰も帰り道のことなぞ忘れている。

作兵衛さんの家に着く頃は、肩に食い込むドンゴロスの重さが堪えていた。
作兵衛さんの奥さんがにこにこしながら出迎えてくれる。
「皆さんはどちらへお泊まりですか」
「そうですか、香紅屋さんとこへお泊まりですか、今夜は竹の子料理フルコースでね」
作兵衛さんが、名刺を差し出しながら
「あなた方はメールはお持ちですか、もし宣ければ教えてください」

ウッソ」・・・こんな田舎暮らしの人がE-Mailを・・教えてくれなんて

しばらく、世間話や仕事の話し、家族の話しをしているうちに、宿の主人が迎えに来た。

何日かして、三人のところへ届いたメールにはこう書かれていた。

作兵衛です。
皆さん、このツアーの名前を覚えていますか。「かぐや姫との遭遇」でしたよね

かぐや姫には遭われましたか。
あなた方は、かぐや姫に遭っているんですよ。
宿の名前とあそこに居た可愛い女の子覚えていますか。
 姫なんです。