女子体操世界選手権への派遣選考

〜 国益を考えろ! 〜



女子体操において、5月のNHK杯を腰痛で棄権したため、10月にドイツで開催される世界選手権の代表権を逃した村上茉愛について、日本体操協会は理事会を開き、特例で代表に選ぶかどうか議論した結果、結局、事前に決めた選考ルールを守り、選出しないことを決めた

(幹事長)「アホちゃうか?」
(石材店)「公平を最優先したんでしょ」


世界選手権の代表には、個人総合で争う4月の全日本選手権とNHK杯において、上位4選手がまず選ばれた。残り1人は、NHK杯で12位以内に入った選手の中から、今月22、23日の全日本種目別選手権も含めた計3大会の得点で、最もチームに貢献できる選手を選ぶ予定だ。
村上茉愛は、NHK杯を棄権したため、これらの条件を満たしていない。なので、村上が選ばれないのはルール上、仕方ないように思われる。日本体操協会の理事会においても、「村上を特例で選出すると、アンフェアな形になり、チームの結束力に影響が出る」なーんて意見が出て、出席理事15人のうち8人が反対して認められなかった。

しかし、これは大間違いだ。もし、これが、単なる個人戦なら、どうでもいい。村上は不運だが、ケガしたのだから仕方ないかもしれない。
しかし、世界選手権は単に個人戦だけではない。昨年の世界選手権の上位3ヵ国(村上を擁する日本は6位だった)を除き、今年の世界選手権の団体総合で上位9番以内に入らないと、団体は来年の東京オリンピックに出場できないのだ。そのため、日本体操協会の田中女子強化本部長は「出場権を取るには村上選手が必要だ」として特例を訴えていたのだ。

村上は前回の世界選手権で個人総合銀メダルを獲得した押しも押されぬ大エースだ。日本が自国で開催されるオリンピックの団体戦に出るには、村上の力が不可欠なのだ。何も、村上個人の救済策ではないのだ。
それなのに、日本は、その絶対エース抜きで世界選手権を戦わなければならない

なんでこのような愚かな決定が下されたかと言えば、恐らく、これは日本の体操界に渦巻く各クラブのドロドロした確執が原因だろう。各クラブは、自分とこの選手を世界選手権なんかに出場させる事が最優先なので、日本全体の事なんて考えていないのだ。それ自体は当たり前だし、仕方ないだろう。でも、そういう各クラブのエゴを抑えて日本全体のために最善の方法を考えるべき指導者が力を持っていないって事が大問題だ。

そもそも日本体操協会は従来からコンプライアンスや内部統制がボロボロだ。昨年はパワハラスキャンダルが起き、夫婦で絶大な権力を握って協会を私物化していた塚原女子強化本部長と塚原副会長が辞任したが、それだけで体質が大きく改善された訳ではなさそうだ。

もちろん、これは体操界に限った話ではない。最近も大問題となった女子レスリングもそうだし、日本ボクシング連盟もそうだった。どこも各クラブや所属団体の権力闘争により、日本全体の利益を考えることなく、泥試合が続いている。
もちろん、日本のスポーツ界における過去最大の汚点は、高橋尚子様のアテネオリンピックのマラソン代表落選だ。前回オリンピックで金メダルを獲得した天才ランナーなんだから、何があっても無条件で代表に選ぶべきだったのに、彼女を指導していた小出監督の力が弱かったため、はじき出されてしまった。まさに陸上競技連盟の横暴だった。今回の騒動と同じような構図だ。

愚かなマスコミは、こういう事が起きると、どちらかと言えば好意的だ。「曖昧さが無くなった。透明性が増した」っていう理由だ。もちろん、このような愚かな意見を真に受けてはいけない。マスコミは、あらゆる分野において日本の国益を考えない超個人主義的なバカ集団だから分かってないのだ。

世界選手権やオリンピックへの派遣は、頑張った選手にあげるご褒美ではない国民の税金を使って派遣するのだから、日本として勝ちにいかねばならない。代表の選考は、不透明だと言われても気にせず、総合的に判断しなければならないのだ

(2019.6.10)



〜おしまい〜





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