画期的な北朝鮮の変化

〜 大きな成果を上げた小泉訪朝 〜



拉致されていた人の多くが既に死亡していたという衝撃的な結果により、冷静な評価が行われていない状況にあるのは残念だが、今回の小泉首相の北朝鮮訪問は、ちょっと信じられないくらいの成果を残した
平壌宣言の内容は、
 ・拉致事件や不審船事件のような日本国民の安全に関わるような事件を今後は起こさないと約束させる
 ・核開発やミサイル開発を凍結させる
 ・植民地支配に対する補償はせず、経済協力をする
など、ほぼ一方的に日本の主張が通った
相手が、あの暗黒帝国北朝鮮だけに、ほんとーに信じられない。ほぼ満点の出来だ。大いに評価できる。



偽善的マスコミのヒステリックな反応

ところがところが、例によって、新聞が売れれば何でもいい、という商業第一主義の、センセーショナルでヒステリックなマスコミは、拉致されていた人の多くが死亡していた事だけを大きく捉えて「考えられない残酷な行為だ」とか「このような無法者の国を相手にする必要はない」とか、バカみたいな反応を示したりしている。しかし冷静に考えれば、今まで自分たちの過ちを一切認めてこなかった北朝鮮が、あっさりと拉致の事実を認め、あっさりと謝罪したなんて、信じられない成果だ。ほんとに、考えられない。
自分勝手なご都合主義マスコミは、政府に対しても、言うに事欠いて「家族へ死亡を告げるに当たって十分な配慮はしたのか」とか、訳のわからん批判をしたりしている。アホか。
(バド3号)「そんなバカな事を言うくらいだったら、アザラシのタマちゃん報道を続けて欲しいですねっ!」
(幹事長)「えーこと言うなあ。さすがバド3号隊員」

私は北朝鮮が中国と並んで大嫌いだが、ヒステリックな反応はしない。今回の態度豹変を、大いに評価する。
そもそも、冷静に考えてみましょう。あの暗黒帝国が、拉致した人々を、そんなに大切に扱うわけはないじゃないか
今回の結果を聞く直前に、横田めぐみさんらのご家族が、良い知らせを聞けるものと期待して嬉しそうにインタビューに答えていただけに、悲しい知らせを聞くはめになった遺族の方々は本当にお気の毒で、そのやりきれなさは大半の国民が共有できるものだろう。しかし、冷静に考えれば、あの暗黒帝国で、全員が無事に生きていると考える方が楽観すぎる。生きている人がいてラッキーくらいだ。あの国は、そういう国だ。だから、多くの人が死んでいた(或いは殺されていた)っていう事実が明らかになったからと言って、特段驚くような事ではない。あの国は、そういう国なんだ。ずうっと昔から。
私は北朝鮮が大嫌いだが、だからと言ってヒステリックな反応したって意味はない。冷静に考えなければならない。


非難されるべきはマスコミと社民党

そもそも、拉致事件に対しては、マスコミに偉そうなことを言える資格は無い。マスコミが拉致疑惑について少しでも報道し始めたのは、ほんのここ数年来の事だ。
私は知っている。私はずっと以前から拉致事件に関心があった。もう20年も前から一部の週刊誌等は拉致疑惑について報道していた。それを読んで「こんな恐ろしい事が日本で行われているのか」と唖然とした。いきなり誘拐して北朝鮮へ連れていくなんて、無茶苦茶怖い話だ。海岸へ行くのが怖くなった。ところが、一般のマスコミは、新聞もテレビも拉致事件について一切報道しない。だから、「ほんとに、本当なのか?」という疑念も捨てきれなかった。ところが、今は手のひらを返したように拉致事件一色になって、非難している。今さら偉そうに言うな、と言いたい。遺族と一緒になって「なぜ今まで手を打たなかったのか」などと政府を批判しているけど、批判されるのはマスコミも同じだ
もちろん、今まで何もしてこなかった政府は非難しなければならない。マスコミと同様に、拉致事件を放ったらかしにしていた責任は非常に重い。河野洋平を代表格とする奴隷外交を繰り返してきた歴代の外務大臣と外務省だ。こいつらは日本人のクズだ。それから、ちょっと前まで何もしてなかったくせに、最近、急に出てきた拉致救出行動議員連盟とかのお調子者国会議員らは、バカの一つ覚えのように「こんな非道な事をする国家相手に、国交正常化なんか進める必要はない」なんて言ってるが、お前らこそ、今まで何もしてこなかった癖に、今になって偉そうに言うな!
しかし、それ以上に、北朝鮮と唯一友好関係を保持している事だけを存在意義にしていた社民党(旧社会党)は、一体どうする?北朝鮮の手先となって、北朝鮮の一方的な主張のみを鵜呑みにして、一緒になって政府を批判して売国奴的態度を続けてきた社民党なんか、一番責任があるぞ。


日本の植民地支配の犠牲者

ほんのちょっと前まで、売国奴政党の社民党などと一緒になって戦争中の日本軍の行為を非難し、北朝鮮の肩を持っていたバカマスコミは、手のひらを返して「このような国家テロは許すことはできない」なんて調子のいい事を言っているが、ちょっと冷静になって考えてみよう。拉致事件で殺された人の数は、長い植民地支配の間に日本が朝鮮人に対して行った行為の結果で死んでいった人に比べれば、圧倒的に少ない。何万人か何十万人か何百万人か、分からないほど多くの朝鮮人や中国人が日本の犠牲になって死んだりしたんだから、それに比べれば、今回の拉致事件がそれほど特段、無茶苦茶ひどいって訳でもない。
もちろん、私は、戦争中に日本がした事が一方的に悪かったとは思わない。戦争と言うのは、たいていは、どちらかが一方的に悪いのではなく、様々な要因があって戦争に至り、結果として勝った方が正しくて負けた方が悪者になるだけの話である。ヒトラーにしたって、ドイツが第一次世界大戦の過度な補償に苦しんでいたから出現したのであり、太平洋戦争が起こったのも、その大きな原因はアメリカの世界戦略であり、日本が一方的に悪かったわけではない。太平洋戦争のはるか以前から行われていた朝鮮半島の植民地支配についても、当時の欧米列強のアジア進出を考えると、特に日本が悪かったとも思えない。だから、日本による植民地支配や太平洋戦争の必然的な結果として悲惨な運命をたどった朝鮮人や中国人の死の責任を日本が一方的に取らなければならないとも思わない。しかし、死んだ朝鮮人や中国人が可哀想なのは、紛れもない事実である。そして、北朝鮮の人が日本に対して抱く嫌悪感は、拉致されて死亡した日本人の家族と同じくらい強烈なものではないだろうか?拉致されて亡くなった人は、本当に可哀想だけど、それは日本の植民地支配、太平洋戦争、朝鮮戦争といった歴史の後に必然的に存在した日朝間の険悪な関係によってもたらされたものであり、一方的に北朝鮮だけに非があるわけでもない。


建設的な態度が必要

金正日は、北朝鮮の責任を認めつつも、自分の知らないうちに特殊機関が行った行為だとして自分の責任を逃れようとしている。これは誰が考えても露骨な責任逃れだ。もちろん、国の独裁者がこのような個々の事件をいちいち指示していたとは思えないし、個々の事件の詳細は知らないだろう。しかし、拉致などの行動の包括的な指示を出しただろうし、少なくとも全然知らなかったはずはない。
しかし、それを言ってもしょうがない。「お前が指示したんだろ。お前が一番悪い。お前が辞めろ。死ね。死んでしまえ」なんて言ってみたって、何の前進も解決も無い。ぜーんぜん変わらない。そなな事を言って国交正常化交渉を止めてしまうと、同じような事件が繰り返されるだけだ。
今まで拉致の存在すら認めてこなかった国が、いきなり全てを認めて謝罪したのだから、相手のせっぱつまった状況と覚悟が分かる。ここで「そんな残酷な事をしたのか。もう相手にしない」と扉を閉ざしてしまうのなら、何の意味も無い。ここまで相手が態度を変えてきたのだから、うまくやれば今後の展望が開けてくる。ここは関係を改善した方が、これ以上、拉致事件や不審船事件のような嫌な事件が起こる可能性が少なくなる。このような事件を、再び起こさせないためには、交渉を進めなければならない
今回、一応、北朝鮮は、拉致された疑いのある人の消息を全て明らかにした。ただし、これらは、ほんの氷山の一角だ。日本政府が情報を求めていた11人というのは、あくまでも北朝鮮が拉致した明確な証拠がある人だけだ。毎年、日本中で多くの人が行方不明になる。もちろん、その大半は単なる家出であり、そのうち見つかる人も多い。しかし、本当に家出なのか、事件に巻き込まれたのかは、見つかるまで分からない。そして、そのうちのかなり多数の人が北朝鮮に拉致されていると思われる。日本政府が安否確認を要求していたのは、そのうち、明らかな証拠のあった人に限られる。その裏には、はるかに多数の、手がかりもなく拉致された人がいるはずだ。しかし、北朝鮮に「他にも、たくさん居るはずだ。出しなさい」って言ったって、「誰の事ですか?名前を言ってくれたら探しようもありますが」と言われて、おしまいだ。これらは、全て、今まで拉致疑惑に真面目に取り組んでこなかった政府の責任だ。しかし、それは、今後、調査を進めていけばある程度は明らかになってくるだろう。少なくとも、国交正常化交渉をストップさせては明らかにならない。前進あるのみだ。


もっと重要な事

平和ボケして久しい日本人は、自分たちの国の人が対象となったからヒステリックに大騒ぎしているけど、拉致事件や暗殺事件は世界中で日常茶飯事で行われている。て言うか、もっとはるかに多数の人たちが犠牲になっている。パレスチナでは、毎日多数の罪無き人々がイスラエルの特殊部隊によって抹殺されている
国際社会は、拉致問題のようなマイナーな事件ではなく、核開発、ミサイル開発疑惑などの安全問題に関心を寄せている。拉致問題に過大に囚われすぎて、安全保障上もっと重要な案件の解決を停滞させてはいけない。或いは逆に、拉致問題が解決されたからと言って、もっと重要な案件で譲歩なんかしてもいけない。
このまま北朝鮮に対して強硬姿勢を取り続け、アメリカが攻め込んで行ったら、我々の頭上を米軍機が飛びかい、核兵器を搭載した空母や潜水艦への後方支援に我々が徴用されるだけだ。朝鮮戦争の再現やベトナム戦争の二の舞を近くでやってもらっては困るのだ。

何度も言うけど、私は北朝鮮がむちゃくちゃ大嫌いだけど、冷静に現実的に考えれば、今回の北朝鮮の方針転換は大歓迎すべきだし、ぜひとも国交正常化交渉を進めていかなければならないと思う。

(2002.9.18)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ