・手術当日-後編-


<2004年1月22日>
 開いた きなこのお腹の中は大変な事になっていたそうだ。
 膀胱はオシッコと膿が混ざったものでいっぱいだった上、結石が尿道に詰まり、そこにめり込んだ状態で、癒着しかけていたという。
 「傷を付けずに石を剥がすのは冷や汗もんやったよ」と先生。
 先生には感謝しても感謝し尽くせない。
 本当にありがとうございました。

 色々とお話した後で再びきなこの元へ。
 様子を見てくれていた女医さんから「さっきから少し頭を動かしているんですよ」とうれしい報告。
 たしかに時々頭がコクリと動いている。
 「今のうちにツメ、切っちゃいましょうか」
 女医さんのお言葉に甘えて伸び放題のツメを切って頂く。(不謹慎・・・・w)
 そうこうしているうちに先生から帰宅のお許しが出た。

 「エリザベスカラーは必要ないんですか?」という私の質問に先生は、「うさぎさんは神経質な動物なので、傷を気にしないようならばカラーをする必要はないよ」との回答。
 もし傷を触るようなら必要になるけど、と付け足し。
 筒状のネットを着せられた きなこは、なんだかビミョーな姿・・・・。
 ネットで締まったスリムなボディーにふわふわ毛な腕。
 袖の膨らんだブラウスに、白タイツな「中世の王子様」を連想。( ̄m ̄)ぷぷ。
 糸を食べたら大変なので、意識が戻って嫌がるようなら外して下さいと言われたが・・・「嫌がるようなら」つーか、「絶対嫌がる」に10ペセタ。

<注意事項>
 ・キャリーには入れず抱っこで帰る
 ・麻酔が効いていると体温の調節が出来ないので暖かくしてあげる
 ・夕方6時になっても意識が戻らない様なら連絡する
 ・いつでもご飯が食べられるようにしておく

 「質問があったらいつでも電話して下さい」と、病院総出で見送られながら帰路についた。

 車の中でますます麻酔の覚めてきた きなこは、一生懸命首を動かそうとしていた。
 私も夫も嬉々として帰宅。
 二階に駆け上がりフリースやバスタオルを敷き詰め、温風ヒーターをかつてないほど景気良くつけ、ご飯をたんまり用意。きなこのお目覚めを今か今かと待った。



 しかし、麻酔が覚める様子は「恐ろしい」の一言だった。

 はじめは首を持ち上げるだけだったのが、手を前にかきはじめ、もがいて仰向けにひっくり返り、そのまま固まる。(気絶?)
 慌てて寝かせ直すと、またすぐにもがき始めて仰向けにひっくり返り・・・・と、これの繰り返しだった。
 そして動くたびに血尿の失禁をする。
 おまけに、たまにじっとしている時にはガタガタ震えていて、不安になって病院に電話まで掛けた。
 震えについては、(はじめに注意されていたように)体温調節が上手くできないので、できるだけ暖かくしてあげる事。そして 血尿については、膀胱に溜まっている血がなくなれば、自然に治まりますという事だった。

 前足の踏ん張りが効くようになると、今度は まだ動かない下半身を引きずって、この小さな体のどこに こんな力があるのかというほどの物凄い力でグイグイ動きはじめ、そしてまた後ろにひっくり返る・・・。
 何度もタオルを替え、お尻を拭き、「お願いだから動かんといて」と体を支え・・・着ていたネットは暴れているうちにはずれてしまった。

 とにかく、麻酔が完全に覚めるまでの数時間、私も夫もオロオロし通しだった。



 夕方の6時には 少し落ち着いたので、「無事に麻酔から覚めました」と病院に報告の電話をいれ、サークルの隅っこでじっとしているきなこを見守りながら朝を迎えた。

                                               
  帰宅直後のきなこ                 
  
  ガリガリに痩せているのが分かる。
    ダメなお母さんで本当にごめん。


                
 
            手術が早まったおかげで きなこは助かったんだと心から思う。
                   気に掛けてくださった先生や病院の皆さん
           脱走してくれた猫ちゃん(笑)、早目に病院に連絡してくれた飼い主さん

                    
本当にありがとうございます!
       
奇跡みたいな偶然がたくさん重なって、きなこは元気に生きています。