私の造った漆器 製造工程解説2−1




根来塗り 桟俵 (ねごろぬり さんだわら)

香川漆器独特の木地くり技法である、桟俵(さんだわら)という渦文様を用いて 根来塗りで仕上げました。天然木の あたたか味を出すために、あえて渕部分は木目が見える摺漆塗りで仕上げました。根来塗りの持つ朱色の鮮やかさと、木目の素朴さを同時に感じられるような 仕上がりにするのに苦労しました。


RIM00030.JPG1日目〜 桂の樹をくりぬいた白木地(まだ塗りが入ってない状態の木型を、しらきぢ と呼びます。)生の漆だけを使い塗り込んで行きます。これにより木固めを行います。桟俵という渦文様は、荒々しいなかにも繊細な味がある香川漆器独特の木地くり技法です。表面は、たいへん複雑な凸凹で入り組んでいます。この凸凹の全面に漆が行き渡るように、生の漆を塗り込んで行きます。この工程で塗り残しがあるようでしたら、仕上がり時の強度(堅牢さ)に影響がおよびますので、ていねいに全面を塗ることが重要なポイントになります。




RIM00031.JPG6日後〜 漆サビとの粉 と呼ばれる肌色の土と生漆を混ぜ合わせて泥土のようなものを造ります。木地の木目をとめたり、表面を平らにしたい時に使う下地塗料です。)と呼ばれる黒っぽい泥土をハケで数回に分けて塗り込んで行きます。桟俵のように複雑な渦文様を下塗りする場合には、ヘラでは対処しきれないため、ハケを使って摺り込むように塗って行きます。このような下地(下塗り)をする場合には、主にヘラを使って行うのですが、器物の形状や文様によっては、ハケで塗り込むハケサビと呼ばれる下地(下塗り)を行います。




RIM00032.JPG11日後〜 下地が完成すれば、まず その表面に水研ぎを入れて、表面を滑らかにします。前回も説明した通り、塗りと塗りの間には必ず研ぎの工程が入ります。これは、塗りの接着度を より強度なものにするために欠かせない作業です。研ぎが終わると黒漆を数回塗り重ねて行きます。この黒漆を塗る工程には、ふたつの意味があります。ひとつは、中塗りとして、仕上がりが より丈夫になるための目に見えない重要な工程として。もうひとつは、根来塗りが仕上がった時に、微妙に見える黒文様の基としての意味合いがあります。     次のペ−ジへつづく・・・・


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